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越後妻有の空気

雨が降ったり止んだり晴れたり霧が出たり、コロコロとうつろう越後妻有の忙しい天気。
ワイパーをオンにしたと思えば気づけば乾いたフロントガラスを擦ってしまっている。忙しいはずの天気なのに、パッと晴れた空があまりにも綺麗で居心地が良い。

妻有で育つ木
大地から切り離された宙吊りの樹木
2000年の第1回芸術祭にて設置
設置当初と比べると静かに成長しているようで大きくなっている
1人でも、生きていけそうな強い気持ちになった
いちばん長い川
日本一長い信濃川の流域に住む高校生の詩が刻まれてる
発電のための取水により川の流量が減ったため、
川の記憶をテーマにしているそう
苔むした文字が、刻まれた年月の記憶を可視化しているみたい
ドキッとした言葉
我々は見えていないものの本髄を考えようともしていない
何事にも、意味がある

それぞれ閑静なところにあるので一見ささやかな作品だけど、視野を広く持って物事を知るようにしたいなと感じる。
今までの私なら素通りしてしまっていた気がする。
心を豊かにしてくれる、大地の芸術祭。越後妻有の空気が私を成長させてくれる。

市街地へ車を走らせ、MonETへ行く。

大きく展示は変わらないが新作がありますよとSOKOのお母さんが言っていたのでわくわくしながら向かう。雨が降ってきて、傘を持ったまま回ったのですこし大変だった。
四角い池に雨粒が跳ねていて、いつもシンとしている池が楽しそう。

海に生きるネモ船長とは相反した、大地と生きるモネ船長
MonETのモネからの由来とは思うが
ネモとモネ、海と大地、大地の芸術祭
なんだか妙に紐付けられていてよく考えられている


回る音
風があれば風鈴のように音が鳴るそう
あいにく音を聞くことはできなかった
溢れる
ぷにぷにの水風船に反射するMonETの景色
角度や圧により景色がいろんな角度であらわれる
ぷにぷにに蜘蛛の巣に
わくわくする景色
Tape Echigo-Tsumari
MonETに寄生する大きな蜘蛛が巣を作ったような
一見普通ではないのになぜか馴染んでいる
200円で中に入ることができるみたい
ワンピースだったので今日はやめておいた
外から見ると、実在する人が入っているのになんとも非現実に見える
神獣の猫龍
中国では猫は不吉、龍は吉祥とされていて
二つを組み合わせた多様性の共存
colony
段ボールでできた月基地のような。
中に入ると宅配便が届いた時のにおいがする
移動してる(電車)、意識も飛んでる
つくりものの見慣れた光景
電車でふと寝落ちして目覚めた時の違和感のよう

冒険を終え、館内へはいる。
蒸し暑い外から、キン冷えた美術館。疲れて緩んだ体の意図がピンと正されるような美術館の空気が好きだ。見慣れた展示を見て、ホッと一息する。

ゴーストサテライト
越後妻有の物で作られた衛星たち
越後妻有は日本の中心から遠く離れた衛星のようだという
確かに、山を越えてやってきた私たちからすれば
遠い世界に感じるかもしれない
絶対にこのカブトムシキューピーを探さないといけないという
自分ルールがある
エアリアル
美しい幽霊、妖精、この世のものではないのに
やさしく私に語りかけるように幸せそうに舞う姿
大好きすぎて、この2人に囲まれて息を引き取りたいとも思う
Force
シリコーンオイルが永遠に循環している
見ても見ても見えない動態に夢中になる
空から降る雨粒が地面に落ちるまで見守ろうとして見失う
みたいな気持ち
白い服 未来の思い出
妻有の住人から集めた野良着を題材にしているそう
野良着とは野良仕事で着る作務衣のようなものらしい
白とは死、純潔、天使、など神聖な色
妻有の大地で働く人々の熱心な心を神聖なものとみているのかな
地球を守っている人々

作品を見終わり、ミュージアムショップでお土産を買う。
タラの芽のハンカチ、しおまめおつまみ、蕎麦を買った。
その後隣接する道の駅へ行く。

旅先で道の駅に寄ると、その土地の特産品が待ってましたと迎えてくれる気がする。
インターネットや流通が発達した現代では、道の駅でないと買えないものはあまりなく、なんだかんだ他のサービスエリアや地元のスーパーにも売ってたりするのだけど。
未知との遭遇のような、宝探しのような空間が好きだ。

夜ご飯にがんもどきの煮物を作りたかったので椎茸を探すが、あいにく売っていなかった。
ハロウィンの季節が近いので津南で採れた飾りカボチャが170円で売っている。あれこれ吟味して、2つゲットする。

自宅が一気に秋めいてうれしい

お土産も買い、夕焼けに染まる空を見る。
いつの間にか雨が上がり、雲の狭間が光っていて綺麗だ。
ふと、あの窓を見てから帰ろうと思い立つ。

たくさんの失われた窓のために
窓から覗く、越後妻有の大地
静かな美しさを持つこの大地を、やさしく見守っている窓
風が吹くとレースのカーテンがふわりとふくらむ
静かな空気だけど
妖精が遊びながら通り抜けるような美しさを感じる

越後妻有の空気をふんだんに楽しみ、帰路に着く。
夢見心地な高速道路。
アートサイトはいつも私を特別な気持ちにしてくれる。


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