続・みかん|#祖父母宅にて
東京へ。土間に向かう途中、勝手場の机上にあるクリームパンが目についた。朝ごはんを食べる余裕などなかったので、新幹線の中で食べようと思い、ばあちゃんに「持ってっていいー?」と尋ねる。すると「持ってって。あと、みかんも持ってってけで。」と。例のみかん*は、少し柔くなっていた。
内心「(新幹線内でみかん...)」と思いとどまったけど、なんとなくパンと一緒にポケットに詰め込んで家を後にした。
新幹線はいつもE席を取る。二列の窓側。えきねっと予約時には埋まっていた左隣が、盛岡発車時には空いていた。きっと仙台あたりで乗車する人なのだろう。今がチャンス。流石に車内でみかんを食べているところを見られるのは恥ずかしい。でも、右を見ると、すぐ近くに車両に向かって立ち止まっているご家族がいた。お見送りをしている人たちにも見られるのが恥ずかしい。ポケットから取り出すのを後にした。
数分遅れで到着したこまちと結合し、やっと出発した。手を振っているみなが見えなくなり、これで安心。雪景色の盛南地域を眺める。朝は大振りだったのに、すっかり晴天で清々しい。そんな景色に見とれつつ、指を黄色くしながらみかんを口にしていると、左から車内販売のお姉さんがやってきて、明らかにこちらを見ているのを感じながら、気づかないふりをして矢巾の住宅街を眺めるのだった。
p.s.書き終わって気づいたけど、この時のトランヴェールの表紙、柑橘系特集だった。