楽典基礎

はじめに

昔書いたものを移してきただけなので,内容は雑です.

内容をざっくり紹介すると,音律という音の決め方の話から始めて,音を扱うために必要な音の名前や音と音の差を表す単位,音の選び方の基本となる長音階,音を重ねて響きを得るコード,そのコードをうまく選び取るダイアトニックコード.といった流れです.

たしか,楽器を始めたばかりの友人に送ったもので,音楽の話をするうえで必要だった知識を厳選して書いたものだったと思います.

現代の音律

現代のポップスや主な楽曲では十二平均律という音律が用いられています.

音律とは音をどのように定義するかです.なのでこれ以外も純正律など有名な音律が存在します.

そして,十二平均律というのは1オクターブを12等分して,音を12個に定める音律です.

1オクターブは周波数の2倍を表します.これを12等分したそれぞれの周波数に音を決めたわけです.普段使う音は,♯や♭を含めて12個ありますよが,これは1オクターブを12等分して名前を当てたそれぞれの音ということです.

音名

音名というのはその周波数に対して定義した名前のことです.調べているとディグリーネームや移動ドなどの考え方に出会い混乱するかもしれませんが,音名は絶対的な定義です.等分した1つの周波数に対して音を当てたので,いつでも変わりません.一応,知っているかもしれまぜんが,オクターブ違いの音には同じ音名を使います.

日本では伊(イタリア語)がよく使われ,吹奏楽では独(ドイツ語),軽音楽では英・米(イギリス,アメリカ)がよく使われるようです.

日:ハ,ニ,ホ,ヘ,ト,イ,ロ

伊:Do,Re,Mi,Fal,Sol,La,Si

独:C,D,E,F,G,A,H

英・米:C,D,E,F,G,A,B

音程と度数

音程とよく聞くと思いますが,度数というのはあまり聞かないかもしれません.音楽をやっているとよく出るワードなので覚えておくとよいです.

音程とは音と音の離れ具合を表し,度数は音程の単位のことで,メートルやグラムのようなものです.基準とする音を1度として,1度,2度,3度のように数えます.

例えば,ドからファへの音程(ドとファの離れ具合)は,ドを1としてレ,ミ,ファと数えて,ファは4つ目なので,ドから見てファは4度の音程であるということです.

より細かくすると♯や♭などの半音分のずれによって長短増減が付くこともありますが,複雑になるのでここでは避けます.まあ,なくても伝わると思うので,省いても日常会話程度なら問題ないと思います.

長音階

長はメジャー,音階はスケールというので長音階のことをメジャースケールともいいます.ちなみに,短はマイナーです.

簡単にいうと,音階というのは音律からどの音を選び取るかという規則のことです.12個の音のどれを使うか決める規則を表し,長音階では7個の音を選びます.

メジャースケールの選び方は主音(音階の基準とする音)から,間隔を全音は半音2個,半音はそのまま半音1個を表すとして,

全 全 半 全 全 全 半

です.この間隔で選び取った音の並びをメジャースケールというわけです.

間隔は違いますが,マイナースケール(短音階)も主音を基準としてある間隔に従って音を選びます.

よく聞く「ドレミファソラシド」は,長音階において主音をドとして選び取った音でできています.鍵盤でその取り方をみると,長音階の選び取る音の間隔によって,うまく黒鍵が飛ばされているのが確認できると思います.

例として,主音をレにした場合に選び取ると

レ,ミ,ファ♯,ソ,ラ,シ,ド♯

になります.

なお,この主音というのは曲のキーと言われるものです.また,調という用語がありますが,これは何が主音で何の音階かを記したものです.例えばドを主音とした長音階はハ長調で,例に出したレを主音とした長音階はニ長調です.

キーというのは,カラオケなどで曲を上げ下げする際や曲の高低などに使われますが,実際にはその曲が何を主音として構成しているかを表すものだということです.

和音(コード)

和音の解説では□の部分が音名を表すとします.この□には,音名12個がどれでも入ります.

ここに入る音名がそのコードの根音(ルート)と呼ばれる重要な要素で,コードを構成する1度の音です.ルートはそのコードである事を表す特徴的な音で,基本的に一番低い音として演奏されます.ここでは,いくつかある種類のコードを構成する音を度数で表して確認します.

まずは三和音.三和音は音が3つのコードのことです.メジャーコードとマイナーコードは,さらに音を足して変化させていく基本となるので必須の知識です.

□ (□メジャーコード):1,3,5 度
□m (□マイナーコード):1,♭3,5 度

次に四和音.三和音に音を一つ足してできます.なので構成する音は4つです.ここでは7thコードと呼ばれるコードを紹介します.

□7:1,3,5,♭7 度
□m7(マイナーセブンス):1,♭3,5,♭7 度
□M7(メジャーセブンス):1,3,5,7 度
□mM7:1,♭3,5,7 度

コードについて

コードを度数だけで説明したため,実際にどうなっているのか具体例を出してみようと思います.ここでは,Cメジャー,Gメジャー,Dメジャーコードとそれぞれのマイナーコードまでを考えていきます.

まずはじめにそれぞれの長音階を考えます.今回使うのはC,G,Dを1度とするコードなので,これらを主音とした長音階を考えます.

ド,レ,ミ,フ,ァ,ソ,ラ,シ
ソ,ラ,シ,ド,レ,ミ,ファ#
レ,ミ,ファ#,ソ,ラ,シ,ド#

これらの音からそれぞれのルート,または主音を基準に1,3,5度を取ればメジャーコードが出来ます.

なので,Cメジャーコードはドミソ.Gメジャーコードはソシレ.Dメジャーコードはレファ#ラが構成して和音を作っているとわかります.

さらに,先程作ったメジャーコードをマイナーコードにします.マイナーコードの構成音の度数は

□m:1,♭3,5 度

なので,メジャーコードにおける3度の音をフラットさせれば良いだけです.

つまり,Cmはドミ♭ソ.Gmはソシ♭レ.Dmはレファラになります.

ダイアトニックコード

ここが山場です.単なるダイアトニックコードと,それを応用した長音階におけるダイアトニックコードについて解説します.

まず,ダイアトニックコードというのはその曲のキーの音のみで構成するコードのことです.

キーに忠実なので,そのキーの曲に良く合います.そして,多くの楽曲でこのダイアトニックコードを軸としてコード進行をつくります.それだけ重要なコードたちです.

前回,1つのコードの構成音を知るために長音階を書き出し,ルートのメジャーコードだけを考えました.これを拡張して,長音階で選んだ7つの音それぞれから1,3,5度でコードを作ります.つまり、長音階の7つの音をルートとした7つのコードを考えるということです.ここで,このようにつくった7つのコードはすべてダイアトニックコードだということを確認してください。

つくった7つのダイアトニックコードがそれぞれどんなコードなのかには,すべてのキーで共通する規則性がありますので先に記しておきます.この規則性によって,考えたいキーではどんなコードができるのか考える必要がなくなり,そのキーの長音階の音を把握するだけでよくなります.

□,□m,□m,□,□,□m,□m-5
□M7,□m7,□m7,□M7,□7,□m7,□m7-5

□には,その長音階を構成する7つの音が順番に入ります.あと,最後の□m-5と□m7-5は覚えなくていいです.滅多に出てきません.覚えておきたいのは,長音階の1,4,5度をルートとするときはメジャーコードで,2,3,6度をルートとするときはマイナーコードだということです.

では具体例を考えてみましょう.とりあえずキーGとします.まずGメジャースケールの音を書き出します.

ソ,ラ,シ,ド,レ,ミ,ファ♯

そしてこれを上に当てはめるだけ。

G,Am,Bm,C,D,Em,F♯m-5
GM7,Am7,Bm7,CM7,D7,Em7,F♯m7-5

これがキーGにおけるダイアトニックコードです.基本的には,これら7つのコードを用いてキーGの曲が作られているということです.このメジャーコードとマイナーコードの並び,規則性はどのキーでも長音階であれば同じなので,キーを調べて長音階の音さえ出してしまえばいいわけです.

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