家庭訪問をした話
先日、個別療育支援の利用者さんの家庭訪問をさせていただいた。改めてどういう人たちが私たちのお客さんで、どういう課題や悩みがあって、どういった解決策を提示できるのか、を明確にしたいと思い訪問させてもらった。
都心部中心の乗り合いバス乗り場から1時間半ほどかけて始発の乗り場から終点まで移動した。穏やかな新興住宅地で大き目の戸建てが立ち並ぶエリアだった。道は舗装されておらず土の道になっている。雨が降ると車も通れなくなり大層不便なのだそうだ。どの家もまだ建設からそれほど経っていないらしく小ぎれいな感じで、まだ建設途中の家屋も多くみられた。乗り合いバス停留所の終点で降りて到着した旨を連絡すると、おじい様が車で迎えに来てくれた。車で土のでこぼこ道を移動して5分でご自宅に到着した。
今回訪問させてもらったご家庭には3歳の自閉症の子どもがいる。おじい様、おばあ様、母親、子ども、母親の妹二人と弟が住んでいる。おじい様は給与生活者だったが引退を機にこの場所に家を建てて引っ越してきたとのこと。引っ越してきてまだそこまで期間は経っていない。今の家に引っ越すまでは都市部のかなりゴミゴミした地域に住んでいた。今の生活環境はとても気に入っているそうだ。かなり不便だが住居が広く静かで緑もあって鳥の声が聞こえてくる。雰囲気がとてもよい。
居間にあるテレビでは幼児向けのアニメがずっと流れていた。子どもを遊ばせながらソファに座ってお話しを伺った。一時間強、ずっと孫(子ども)の家での様子や、親せきの子どもとのやりとりなど、本当に途切れなくずっと話していて、ご家族の皆さんが孫(子ども)のことを話している様子が本当に楽しそうだった。
もちろん楽しいことばかりではなくて、発話の遅れに対する心配とか、ほぼずっと主に母親が付き添っている必要があって、母親が仕事の復帰を断念したこととか、近所の幼稚園への入園を断られたとか、もちろん課題は山ほどあるのだがそれでも日々を楽しんでいる様子に洗練された強さを感じた。
一通りお話しして、おいとまをしましょうかという感じになったところで昼食をご準備くださり、ご一緒させてもらった。昼食はシンプルでおいしかった。目玉焼きとフライドポテトとキュウリのサラダをご馳走になった。
訪問したご家庭の今の状態が、微妙なバランスの上に成り立っていることが分かった。詳しくは書かないが経済的にそれほど裕福ではなさそうだった。家族のメンバーに何かあったらまた別の安定的な形を見つけ出すためには時間がかかりそうだなと思った。反面、どれだけ用心しても何かしらの変化は常にあるのだし、何をどこまで想像して備えが出来ていれば安心なのだろうかというとよく分からない。経済的には貯金とか稼ぎ手の多様化など、教育面では障害のある子を受け入れる教育機関、将来的には就労支援、グループホームもしくは頼れる親族などだろうか。将来への備えも大事なのだが、完璧な未来への備えなどないのだし、日々の小さいことを楽しむことをためらう必要は全くないなと思った。これから開く幼稚園はそういうことを意識した場所にしたいと思う。難しい顔をしていたら解決するような、そんな簡単な問題じゃないだろう。
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