もういいんじゃないかという2つの団体;日本医師会と国際オリンピック委員会
少し前のことになるが時事的な内容でかいてみる。
1つ目は日本医師会、そろそろみえてきたが、この団体は日本の医師を代表する団体ではない。従って日本の医師、ひいては医療システムに対して影響力を持っていない。医師、とくに開業医を中心とした自らの権利を主張する圧力団体といって良い。どんな職種にもそのような団体は存在し、発信を行うことは全く批判されることではない。批判されるべきなのは、「実態のない」ものをあるかのようにみせている言動である。「全面的に協力する」といって該当問題が大幅に前進したように思わせたが、実のところこの発言で動いた医師、機関がどれだけあっただろうか。逆に本会の人が「高級会食」をしたからといって批判される必要もない。該当問題に彼らは「影響力がない」といっていいのだから。寿司にシャンパンを合わせるという無粋を笑えばよいだけの話である。
問題の真相はもっと深いところにある。それは「医師を統率することができるのは保険制度のみ、すなわち診療報酬のみ」という事実。日本医師会の会員数は2020年の発表によると約17万人で全医師数約35万人の半分程でしかない。専門医制度を管理する各種学会は日本医師会の下部組織となっているが、半分ほどの医師がその日本医師会の会員ですらないのである。前述した「影響力がない」といった事実が理解できるであろう。医師は専門医資格は保とうとするが、それ以上の管理は受けない構造になっている。だから今回のような有事の際に、行政は頼みにいくところがない、医師会くらいしか思いつかない、ということになる。だから保険制度、診療報酬の改革で医師を動かすしかできない、後手後手になる最大の原因であるといえる。医師の多くは管理されず、高邁、自己犠牲、博愛の精神で労働基準法には関連なく働くことが理想であると考えるが、その詳細はまた別に述べてみようと思う。とにかく、日本医師会は本問題について、もういいんじゃないかな。
2つ目は国際オリンピック委員会、なんとか男爵などといわれているが、そもそもこれは当たり前のことである。本会はアスリートファーストの聖典を行う聖人聖者の会ではない。祭典を管理することで得られる収入を各競技団体にばら撒き、スポーツ全体を支えるという名目の営利団体の1つである。本会が担ってきたスポーツ界への貢献は絶大である。しかしながら、オリンピックが平和の祭典などと偽装されて肥大化し、政治の駆け引き道具となり果てた現在では、オリンピックの意義自体を考え直すべき時にきていると思われる。もはやアスリートは小さい頃からの夢の舞台といった発想を辞めた方が良い。そしてアスリートファーストというならば、その舞台を別に設置するべきである。僕が絵が上手であれば、「太って禿げた男が片手に札束、片手には命がけのアスリートを文字通り手の平で泳がせている」風刺漫画を描くであろう。その構図の理解なしに本会の是非を議論しても空虚となる。
有事の際には、というが、まさに有事となった。平時では気づかれなかった既得権益、その攻守が他のところでもなされているだろう。寝た子が起きた世界でいかに生きるべきか、考察を続ける。