#071 病上りの事情

 無理に元ネタになるものを用意してタイトルを決めるものではありませんね。映画『昼下りの情事』が元ネタだって言われなきゃ分かんないでしょう。しかも内容、全然関係ないし。やだなー、そんな内容書けるわけないじゃないっすかー。

 要するに「病上り」という単語を入れたかっただけの今回の記事、この1週間のうちにやっていたことをちょっとだけ紹介したいと思います。「スキー」と「映画」の話です、先に言っておくと。
 こないだまで虫垂炎と格闘していましたが、今は大分落ち着いてきて普段の生活にも支障がなくなるぐらいには回復。入院生活であんまし動けなかった分、空いた時間、特にお休みの日には色んな所に行くようにしています。

 といっても大したことはしていないんですけれどね。他人の日記を見るようないつもの感じでスタート。今回から見出し機能も使っていきます。今後の活用のためのテストとして。

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スキーの話


 今年も行って来ました。といっても、退院後の最初の休日に行ったので今回はあくまでも肩慣らし。日帰りです。
 今シーズン中にもっかい行きたいところですけれどねぇ。本命に関しては、また行った後にでも。

 こないだ行ってきたのはわかぶな高原スキー場。大したもん蛇まつりなどで知られる、新潟県岩船郡関川村に位置するスキー場です。結構行きやすいところですよ。

 日帰りなのでたっぷり滑るため早朝に出発、リフトが稼働する8時30分前に到着。が、駐車場には既に結構な数の車が。春スキーだから客足もそんなに多くないかな? と思ったら外れましたね。ちなみにこのスキー場は初見です。
 ブーツをはめて、いざゲレンデへ。人は確かにいますが、かといってリフトがえらく混雑するほどというわけでもなく。スムーズにリフトを乗り継いで中級コースがある方まで。

 この時はまだお腹に力をかけると痛みが出ていたので、なるべく転ばないように滑ることを心掛けていました。が、そう心掛けた矢先に転倒。しかもリフト降りた直後。カッコ悪…。が、復帰するために力を入れても思ったほど痛くはありませんでした。
 虫垂炎の手術後で何が一番心配になるかと言えば、膿です。折角退院できても、膿の所為で痛みがぶり返して再入院するというケースもあるそうなんです。私の場合はまだ初期段階だったということもあってか、術後の経過は良好のようでした。少しだけ安心。

 降りた先で写真を一枚。いいですね。

 さて、ゆっくりと滑ることにしましょう。
 朝イチなため、コースはまだシュプールも多くなく。およそ1年ぶりのスキーなのでちゃんとターンできるかが気がかりではありました。私のスキー板はカービングにちょっちクセのあるやつということもあり。

 今回は時間と技術の都合上、主に2つのコースを何度も滑っていました。パノラマコースとスウィートコース、どちらも中級者コースです。え? 上級者コースは無いのかって? 勿論存在しますし、非圧雪かつ最大傾斜34度とスリルのあるコースになっていますが、思い出してみてください。1年前の蔵王に行った時の記事。
 ロクに滑れもしないのに挑むものではありません。というか周りに迷惑ですしね。手術後ですからなおのこと慎重にもなります。健康体でも過信or無茶、ダメ絶対

 中級でも風が気持ちいいですし、特に最大傾斜26度のスウィートコースはジャイアントスラローム大会の開催地ということもあり、カービングターンするにはうってつけ。まぁ下手くそなので、全然カービングターンになっていなかったんですけどね。
 というか、午後になるまで全然上級者コース滑ってる人はいませんでした。上級者コースのある第3ペアリフトに乗ってた人、みーんなスカイラインコース(中級)の方行っちゃってて。「なんだよー、せっかくそっちいくんなら思いっきり挑戦しろよー」と安全な場所からボヤいてみたり。

 が、割とお日様が照り付けていたこともあり、お昼を待たずに段々コース上の雪がシャリシャリに。うーむ、これは午後になったらますます足を取られそうだなぁ…。
 お昼休憩を挟んで午後の部に突入したら案の定、雪がひっかかりやすくなっていました。コース上で転ばなかったのがせめてもの意地。うん、スノボ客はど真ん中でくつろいでんじゃない
 結局この日は午後3時前で終了して帰路に就くことにしました。

 まぁ、あくまでも肩慣らしですしこんなもんでしょうか。
 今年は暖冬傾向にあると言われていますからねぇ。果たして本命の宿泊スキーでどの程度滑れるのかは分かりませんけれど、1週間ほどベッドの上で寝続けててすっかりと鈍ってしまった体をほぐすには丁度良かったかなと。

 翌日。
 見事な筋肉痛。特に二の腕が。あー、温泉行きたい。

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映画の話


 2本観てきました。思えば入院先でも映画ばっか観てたので、ここんところは映画三昧な日々だったんですね。でも、病院の一室と映画館とでは大違い。『劇場版 はいからさんが通る』以来です。

 まず観てきたのが『ボヘミアン・ラプソディ』。今頃? 今頃なんです。リピーターでもないんです。私ったら、こないだまで一回も観てなかったんです。『はいからさん』じゃなくてこっち先に観ろよ、と身内から突っ込まれましたが、まぁあの時は逃したら二度と映画館で観れなくなっちゃうという事情がありましたので。しかしロングラン・ヒット。3月になってもまだ公開されている辺り、その人気具合が窺えます。

 で、2時間半観た後に「やっぱりクイーンの曲はいいね」というのが、まず最初に出た感想。
 当然ではあるけれど、劇中で流れるのはどれもクイーンを代表するナンバーばかり。それを映画館ならではの音響で聴けるので鳥肌も立ちます。そりゃあアカデミー賞で音響編集・録音賞が獲れたのも納得です。同時にズルいなぁとも思っちゃったのね、勿論良い意味で。だってクイーンだもの。

 主演男優賞を獲得したラミ・マレック氏の演技も光りますが本作のキャスティングで一番ビックリしたのが、ちょっとネタバレになっちゃうのですが病院で"Ay-Oh"とフレディに向かって発した患者の役がトム・フェルトン氏(らしい)ということ。トム・フェルトンと言えば『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ・マルフォイでお馴染みの人です。

 身内からそのことを聞かされて…。驚きました。マルフォイ君こんなに大人になったのか…というのと同時に、"Ay-Oh"の一言だけのチョイ役で抜擢されてたのかよ!? という二重の意味で。
 ちゃんとスタッフクレジットにて確認できていないので話半分に聞き流してくれると助かりますが、もし余裕があれば件のシーンに注目してみてはいかがでしょうか。

 フレディが「スマイル」に加入してからのエピソードや、ジム・ハットンとの関係性についてなど、もっと深く観てみたかったシーンは確かにあり、批評家の言う「うわべだけの映画」だとか「凡庸なストーリー」だとか、その辺の厳しい意見に繋がる面を感じたのですが、本作を楽しむにあたっての障害にはならないでしょう。事細かに描こうというものなら2時間半で収まるような内容でもないですし、なにより実際に楽しい映画だったので。

 とまぁ、「今更何を書いてるんだお前は」と突っ込まれそうなことばかり書きましたが。周りがこぞって薦めてきただけのことはありましたね。是非手元に置いておきたい作品です。円盤は何時リリースされるんだろうなぁ。


 もう1つ。観てきたのは『翔んで埼玉』。話題の映画ですね、今週の1位はドラえもんに取られちゃいましたけれど。
 『よもやま To-Review-To』の方で紹介した『ゾンビランドサガ』でも、「存在が風前の灯火」だのなんだのと佐賀県をPRするはずなのに思いっきりディスっていましたが、本作はそれ以上に酷い。

 「中途半端にやるとイジメだから、徹底的にやり抜く」その姿勢は見事。できるだけ笑いを堪えて観賞しようかと思っていましたが、「埼玉県人かどうかを見抜くために草加せんべいを踏ませる」シーンで決壊したので、もう普通に笑って楽しむことにしました。地名すらもマトモに言えない県て…。
 あと東京だからってどこでも賛美されているわけではないんですね。田無や八王子がああいう立ち位置なら、もっと山奥の地域とか離島とかはどうなっちゃうんでしょう? 

 てっきり東京vs.埼玉(あと千葉)の構図かと思ったら、なんやかんやで関東地方全域が劇中で触れられていたのね。茨城と栃木の扱いが割と雑で、これはけなされるよりもキツいなと思ったけれど。
 非埼玉県民の私が言うのもアレですが、「ダサいたま」とか言われててもまだイジられるだけ良いと思うんですよね。「悪名は無名に勝る」とはよく言ったもので、特にこれと言って何もないからディスられもしない私の故郷の、もう何というか。

 「話の種になるより悪いことが一つだけある。 話の種にもならないことだ」とはオスカー・ワイルドの言葉ですが、こんな映画を作ってもらえる埼玉が羨ましいってもんです。『ゾンサガ』との大きな違いは「これといって埼玉の良いとこアピールになってない」という点ですが。良い所、ちゃんとありますよ。盆栽の聖地とか。

 色々と無茶苦茶な映画でした。GACKT様が相変わらず異質な雰囲気を醸し出していて素敵ですよ。とにかく勢いで笑っての2時間。早い話が楽しんだもん勝ちです。

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 『よもやま』で紹介できそうな作品を2つほど潰したところで、1週間の話はお終い。

 あ、そうそう。こないだ再診を受けてきました。といっても、ちょっと話をしてお腹の傷がちゃんと塞がったかを確認しただけで、大がかりなことは一切しなかったんですけれどね。せいぜい保険の申請に必要な診断書の作成をお願いした程度でしょうか。
 特に悪性なものも見つからず、ただの虫垂炎だったということでほっと一息。お腹の痛みとて、普通に過ごしていれば全然気になりませんしね。入院中は少し躊躇っていた寝返りも苦じゃありません。

 虫垂と共に、ちょっとした悩みの種も取っ払ったということで一先ずの決着。3月もあと2/3残っています。頑張りつつ、日常を楽しんでいかなくては…病に効くのは気持ちを高めさせてくれる体験です。


 余談。

 退院後に友人と逢って「色々迷惑かけてごめんね」と謝ったところ、ややあって友人から一言。

 「いや…別に何ともなかったから迷惑ってほどでも……」


 ……。

 まあそんなもんよね!