To-Review-To_とりびゅーと_トップ

Review-#007-C ショートレビュー Vol.03 Part 3

 Part 3です。


 ………。


 Part 3です。えーと、このページは完全にギャグに振られております。リンクはこちらから。

--------------------------------------------------------------------------------------
・2018年春夏アニメのおしながき

<Part 1>
ルパン三世 PART5
はたらく細胞
<Part 2>
はねバド!
ちおちゃんの通学路
<Part 3> ← いまここ
あそびあそばせ
Back Street Girls -ゴクドルズ-
<Part 4>
深夜! 天才バカボン
ISLAND -アイランド- 
<Part 5>
 百錬の覇王と聖約の戦乙女
⑪ 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

--------------------------------------------------------------------------------------
あそびあそばせ (2018年7月-9月)

アニメーション制作:Lerche(スタジオ雲雀)
監督:岸誠二
シリーズ構成:柿原優子

<☟原作コミックもどうぞ>
あそびあそばせ
(ヤングアニマル連載・2015年6月26日~2016年10月14日(densi)
           2016年11月25日~(ヤングアニマル))

作:涼川りん

--------------------------------------------------------------------------------------
ざんねんなびしょうじょ事典


 2018年夏アニメ。あ、PV貼り付けるのを忘れていましたね。ほいこれ。




<TVアニメプロモーション映像>


 …PVと円盤ジャケット・原作コミックスの表紙とで大分作風が異なって見えますが、同一の作品です。同一の作品です!
 
実は原作全巻持ってます。アプリ「マンガPark」でも1話からある程度エピソードが配信されていますので、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。そういや、第7巻の限定版にはOAD付くのか。うーん、早めに決めないともう手に入れられなくなっちゃうな…。何にせよ、この作品をアニメでどう進めていくのかわくわくしつつ視聴開始。

 『あそびあそばせ』とあるように、この物語は3人の女子中学生を中心に色んなことで遊んだりするという、要は美少女癒し日常系のアニメ…。のはずなんだけれど、第1話からして美少女としても癒しとしても怪しくなっている。日常系は辛うじてキープしているが。でもこれってアニメだから、ではなくて原作の時点で既にそんな感じなのです。これから観る人はその辺をよく理解して視聴しましょう、んじゃないと「思ってたんと違う!!」と、絶望の深淵へ堕とされるかと思われます。しかしまたそれも愉し。

 第1話を軽く紹介すると、転入生のオリヴィアが、彼女の案内役を頼まれた華子と眼鏡っ子(適当!)の香純といっしょにあっちむいてホイをしたりして楽しい時間を送る…っていう話なんだけれど、お前らいつも変顔してんな。ぽわぽわした作画なのに、普通にしていれば可愛いはずなのに、随所随所で挟まれる「美少女系漫画なんてクソくらえ」とでも言って人差し指と中指を鼻の穴に向かって突き出さんばかりの変顔のせいで全部台無し。でもそこが本作の魅力(?)なんだよね。日本の文化を深くは知らない外国人でもインスタントに笑える。変顔は国境を越えるのです。あと下ネタも多い。美少女に言わせたいだけかっ、作者は。
 このアニメを汚い『きんいろモザイク』とかマリア様がみてないほうとか堕天使の3P!とか月がきたないとかおっしゃっていた方がいたが…うん、まぁ、概ねそういう作品であると見ていいんじゃないかと私も思います。
 余談だがこの漫画、何をトチ狂ったのか『花とゆめ』に出張掲載したこともあるんだよね。…いまを生きる少女たちは『パタリロ!』とか読んでその辺の耐性つけているんだろうか。読んでみたら案の定、お花じゃなくてハナクソをページにねじ込んだような内容だったし。完全にティッシュ扱い。

 キャラクター設定も強烈である。
 成績優秀・スポーツ万能・家は大金持ちの御嬢様といたりつくせりな美少女その1、本田華子。そんな彼女に欠けているものは、リア充ライフと胸の大きさ。リア充とボインの女の子に強い憧れと妬みを抱いて、顔芸と奇行を繰り返すというエキセントリックぶりを発揮する。
 金髪碧眼のあるある外国人である美少女その2、オリヴィア。さぞ英語も堪能そうなお方と思いきや、日本生まれの日本育ちで英語はさっぱりできず、その実力のなさは編入試験で赤点を取る(代わりに国語は優秀だった)ほど。それでもメリケン人のふりをして片言で喋るのは「華子をからかいたいから」という理由。あと(普通にしていりゃあ)可愛いのに脇から「アポクリン汗腺」(花子談)を放っているお方でもある。ホント何故に夏期はこのネタで3作もかぶっちゃったんだろう。こんな生物学用語、日常じゃめったに使わないし…。そこ、ジビエのことをオリヴィアって言うの止めなさい
 眼鏡を掛け、女子中学生とは思えない巨乳の持ち主であるボブカットの美少女その3、野村香純。読書好きの優等生…ぽい見た目だが、実は英語が壊滅的にできない。序盤で(は)英語ができそうに見え(てい)たオリヴィアに、遊びを教えてあげることを見返りとして英語を見てもらうように頼むのだが…。
 まぁ、つまりこの3人は「残念な美少女」を通り越して「残念な3バカ」である。原作者の涼川りん女史はどういった心境でこの漫画を描いているんだろうか。違うな、どういった心境ならこんなにも素敵な画力を無駄遣いしまくった漫画を描けるんだろうか。脳内メーカーで覗いてやろうか。
 …調べた。「金と食とH」しかなかった。中心の"金"を"食"と"H"で囲んでた。なるほどわからん。

 その結果が上の残念過ぎるPVである。どこの美少女癒し日常系アニメで美少女が美少女に鼻フックを仕掛ける展開を盛り込もうとするんでしょうか。この作品以外にもそれをやってのけた作品が何かの手違いで存在しているのかもしれませんが、いずれにせよ私には理解できません。つーかしたくありません。でもそれが許されてしまうのが『あそびあそばせ』、恐るべき作品…! 
 しかしこんなのはまだ序の口。もう勘弁してくだせぇと言いたくなるところではあるが、まー彼女たちは止まらない。止まることを知らない。
 あ、そうそう。最初の「等価交換」「チープなスリル」ではボケに回っているオリヴィアとツッコミに回っている華子ですが、その次の「遊び人」から立場が一転し、オリヴィアが常識人ポジションに立っています。割と。比較的。だってやっぱりこの娘、バカなんだもん。
 んでもって華子はここいらから変顔にブーストをかけます。本作において顔面崩壊率がずば抜けて高いのはこの娘、さすがは主人公ですな。主人公の定義としてそれは合ってんのか?

 監督が岸誠二氏、シリーズ構成が柿原優子女史。このコンビは『Persona4 the ANIMATION』や『月がきれい』と同じ…強い! 何言ってんのか自分でも分からないが、ただただ強いと本能的にそう感じる。何言ってんだこいつ。

 …さて、例によって全話観た感想ですが、こいつもOP詐欺アニメじゃねーか! ある意味原作再現してるけど! そして何だこのED! 「高低差激しすぎて耳キーンってなるわ!」を見事に体現しやがった。第2話以降もこれなので漂う白々しさ10割のOPである。一周回ってEDが癒しに見えてくる。
 OPに登場する黄色い百合、その花言葉が指し示すのは…。各自ググって察して頂ければ。ちなみにこのOPの制作秘話は原作の第66話で描かれていますので、気になる人は漫画配信サービスで閲覧するか、単行本を購入してくださいませ。そういう経緯だったんかい。
 このアニメ、全編通してプレスコ収録、つまり先に声を録ってからアニメ部分を製作するという手法を取っている。収録の段階では原作コミックを元にしているそうだが、アニメ部分のクオリティが申し分ないおかげで声優さんの演技とのマッチング具合も上々。主人公格の3人を演じる声優さんは近年頭角を見せている新人であり、キャラの自然さの演出に一役買っている。
 アニメ化による最大のポイントは原作の再現度が高い「顔芸」にプラスして「声芸」が本作のエッセンスになっていること。視覚的なインパクトと聴覚的なインパクトが両方そなわり最強に見える。逆に何が何だか分からず頭がおかしくなって死にそう。

 特に本田華子演じる木野日菜さん、キャラ的にかなり難しい役となることは必至だが、それに一切負けることなく迫真の演技を見せている。発狂したようなセリフは若干日本語リスニング問題化しているというのがちょっと難ではあるが、少なくとも(嘘偽りで塗り固められた)ビジュアルからは想像もつかない声のギャップが笑いを誘う。どこから出しているんだこの声。収録後、喉めっちゃ痛めてそう。この特徴的な声…もそうだし演技は癖になる。これからの活躍に注目したい。

 最終回だからっていかにも最終回という風には終わらず、いつもの感じで締めくくられる。続きがありそうな感じ(原作単行本7巻の限定版にはOADが付いてくるとのこと)だが、『ちおちゃんの通学路』が1話で原作の2話、多くて3話分を消化したのに対し、『あそびあそばせ』は1話で3,4話を消費するというハイペースっぷり。テンポよく進んでくれるおかげで放送時点では6巻発行されていたのに、アニメはもう5巻のエピソードまで達してしまっているのである。縦しんば2期の発表が来たとしても…それは2,3年後の話になるだろう。 

 ギャップがもたらす独特の破壊力を備えた『あそびあそばせ』、私からの評価はGREATです。顔と声が織りなすコメディとふわふわとしながらも原作の再現度が高い作画。何にも知らない人がいたら、「このアニメすっごくキャラが可愛くて癒されるよ!」とだまくらかしたいぐらいにはおすすめできる1作。んー、どこかにいないかな。実際に試して反応を見てやろうかしら…。

--------------------------------------------------------------------------------------
Back Street Girls -ゴクドルズ- (2018年7月-9月)

アニメーション制作:J.C.STAFF
監督:今千秋
シリーズ構成:山川進

<TVアニメプロモーション映像>

f<☟原作コミックもどうぞ>
Back Street Girls
(ヤングマガジン連載・2015年3月16日~2018年3月19日(第1部)
           2018年6月18日~2018年9月15日(第2部))

作:ジャスミン・ギュ

--------------------------------------------------------------------------------------
(本人の意向とは全く関係なしに)カワイイはつくれる!


 2018年夏アニメ。もうビジュアルとPVで視聴決定いたしました。反則だよこんなの。原作は1話しか読んでないので、ほぼ初見状態です。

 とある大ポカをやらかしてしまった犬金組の3人、山本健太郎と立花リョウと杉原和彦。犬金組長から提示された落とし前の付け方は「アイドルになること」! 半ば強制的にそれを受け入れることとなった彼らは即刻、性転換と全身整形手術を余儀なくされる。
 それから1年後…。日本では地下アイドル「ゴクドルズ」が着々と人気を獲得していた。山本アイリと立花マリと杉原チカ。彼ら改め彼女たちはアイドルと未だ魂に残り続けるヤクザとの狭間で今日も苦悩するのであった…。

 出オチ感が半端ないけど、原作コミックは既に11巻まで刊行されているというのだから『ちおちゃんの通学路』と同様、作者の技巧で題材を活かせればここまで話を続けられるんだなぁと感心します。
 しかしアニメーション制作はJ.C.STAFFだけど、製作には東映ビデオも関わっているのね。私は最初東映アニメーションが作るものだと誤解した所為でいよいよ東映がトチ狂ったのかなと勝手に困惑してました。アレか、東映は『仁義なき戦い』シリーズがあるもんな。でもヤクザ繫がりってだけでコンセプトが真逆じゃねーかこの作品。そんなんでえーのんか東映。

 OP『ゴクドルミュージック』は作詞・作編曲にあの大石昌良氏が参加。聴いててアレ、なんか聴いたことあんな~…と思ったら『ようこそジャパリパークへ』だった。予想以上にジャパリパークだった
 あとOP映像ではアイリ・マリ・チカがシルエットで踊っているんだけれど、実際はコレって監督である今千秋女史が3人分のカツラをつけて17テイク重ねて踊っているんだよね。しかも撮影まで1週間少々っていうギリギリのスケジュールで。その、何ていうか、お疲れ様です。そりゃあいい経験にもなるだろうよ。ちなみにOPダンスの振付はダンサーとしても活動している声優の小林元子さんです。…何やってんですか皆さん。

 PVのアニメ、あんまり動いていないな…と思いつつ本編を観てみたら、予想以上に動いてなかった。本作、ほぼほぼ口か手をちょいちょい動かしているだけの、基本止め絵の連続で構成されている。言ってみれば全編フルカラーで崩さない程度に動いて声が付いてる漫画みたいな感じ。
 めっちゃ低予算感バリバリ…なんだけれど、原作のやや癖のある表情などの再現度が高いという点では意外にも褒め言葉なんですよ。何より本編のギャグのテンポの良さのおかげで動きのなさは大して気にならない。まぁ、それでも味気無さが残っている感じだが、紙芝居アニメも見せ方次第でここまで面白くなるんだねぇ。やっぱりギャグアニメはギャグ要素を如何に面白く見せるかが肝心要ですね。
 ところで…犬金組長、藤原啓治さんだよね。大丈夫なんだろうか、こんなテンションの役で。体調を考慮しつつ徐々に仕事を再開するとのことだけれど…逆にこのぐらいイキイキしている方がいいのかも。観ているこちらとしてはバリバリな演技を聴けて嬉しいです。

 外面はカワイイ正真正銘のアイドルなんだけれど、内面までは全身手術を施しても変わらずヤクザのまま。しかし犬金組長直々のプロデュース、1年に渡って行われた猛特訓という名の洗脳教育は着々と彼…彼女らの内面を蝕んでいく…。
 命あっての物種とは言いますが、これなら死んだ方がよっぽどマシなんじゃね? と思えるぐらいには、彼…彼女たちにとっては酷な運命ですね。それにしてもこのアニメを観ていると、なんかもう現実のアイドルが普通に信じられなくなってきます。お前ら実は性転換と全身整形手術を施したヤクザなんじゃねぇの? というね。失礼ですね。どんなアイドルでも気持ちのオンオフは存在しているでしょうけれど、オンオフの落差がここまで激しいのは「ゴクドルズ」だけであってほしいね。アイドル業界をよく知らない私が言うのもなんだけどな…。

 これは原作者のジャスミン・ギュ氏の作風というのもあるんだけれど、3人のカワイイ表情を拝めるシーンがあんまりない。基本的にはオフの時間の話だから基本彼…彼女たちは眉間にシワを寄せていたり、酒をラッパ飲みしていたり、泣き顔でクシャクシャになっていたり、組長やらにボコボコにされて酷い有様だったり、内面がホントに表情に現れてたりと、先に紹介した『あそびあそばせ』程のインパクトはなくとも、こいつらの顔も相当にヤバいです。

 暴力団に対する条例による取り締まり強化で、ヤクザたちのシノギも減ってきている様子。何でも近年は農業やスーパー経営といったカタギな商売を始めるお方もいるそうで、とするとヤクザの「地下アイドル」への転向も現実味を帯びてきて…いるんですかね? マジで現れちゃったとしても「売れちゃったよオイ!!」と叫べるグループが出てくるかどうかは別問題ですが…。

 低予算のためかアニメも全10話。それから間もなくして原作も完結。綺麗に終わりましたね。アニメというよりは紙芝居を観ている気分だったけれど、内容そのものは面白かったし、下手に動かして作画が崩れるぐらいならこの感じが案外この作品にはあっていると思う。
 出オチ案件にならずに、最後まで楽しめましたね。1話で原作の5~7話を消化するという恐ろしいまでのテンポの良さも相俟って失速することがなかった、というのは今回のレビューで紹介したギャグ系アニメの中で一番凄くて、そして一番おすすめしていいのかどうか迷う作品になりました。どう考えても深夜枠以外で流せない内容だからなぁ。顔も濃いし。どうもこの作品、監督が絶対やりたいとゴネてアニメ化したそうです。よくやった。

 評価はGOODとしていますけど、かなり前向きなGOODです。まぁ、このレビューを観ている人なら普通に薦められるかもね! しかし…秋アニメもアイドルもの(?)を観ているけれど…普通のアイドルじゃない方が今ドキはウケるんでしょうかね??

--------------------------------------------------------------------------------------

 本当に夏アニメはギャグアニメが概ね当たりのクールでした。今観ている秋アニメのコメディもなかなかにぶっ飛んでいるものもありますが…。
 Part 4に続く。


原作:モンキー・パンチ ©TMS・NTV
©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会
©2018 川崎直孝/KADOKAWA/ちおちゃんの製作委員会
©涼川りん・白泉社/「あそびあそばせ」製作委員会
©ジャスミン・ギュ・講談社/犬金企画
©赤塚不二夫/深夜! 天才バカボン製作委員会
©2015 Frontwing/PROTOTYPE/アニメISLAND製作委員会
©鷹山誠一・ホビージャパン/ユグドラシル・パートナーズ
©むらさきゆきや・講談社/異世界魔王製作委員会