Review-#015 『抱かれたい男1位に脅されています。』
これが『HUGっと! プリキュア』ですか(違う)
「アニメを観たので感想を書く」コーナー第6弾、自分でもびっくりしているジャンルからの紹介です。今までこの手のジャンル、全然触れたこともなかったのによくもまぁ手を出す気になったよと感心しています。我ながら。
でも全話観たんですよ、私。で、全話観た感想として「結構がっついてる内容だったけど、それはそれで面白かった」んですよ。
まぁ、先日の『ウザメイド』の記事にてちょこっと触れたように、強烈ゆえ「人を選ぶ」作品なのは先に申し上げておきます。脳内でくっつける、いわゆる腐向け作品じゃないです。マジもんでくっついています。第1話から「きゃあああああああああ!!!」となること請け合いです。
この時点で自分の肌には合わんなと思った方は別のページに飛ぶことを推奨します。それを踏まえた上で作品紹介といきましょう。
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<今回紹介する2018年秋アニメ一覧>
① SSSS.GRIDMAN
② 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
③ やがて君になる
④ となりの吸血鬼さん
⑤ うちのメイドがウザすぎる!
⑥ 抱かれたい男1位に脅されています。 ←いまここ
⑦ 宇宙戦艦ティラミスⅡ
⑧ ゾンビランドサガ
--------------------------------------------------------------------------------------抱かれたい男1位に脅されています。 (2018年10月-12月)
アニメーション制作:CloverWorks
監督:龍輪直征
シリーズ構成:成田良美
<TVアニメプロモーション映像>
<☟原作コミックもどうぞ>
抱かれたい男1位に脅されています。
(MAGAZINE BE×BOY連載・2013年7月~)
作:桜日梯子
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【作品紹介】これでマイルドだと言うのだから恐ろしい
「抱かれたい男ランキング」1位の座を5年間守り続けてきた俳優・西條高人(さいじょう たかと)。しかし、その座は芸歴3年の新人俳優である東谷准太(あずまや じゅんた)によって奪われる。
屈辱に打ちひしがれる中、高人は映画『真昼の月』にて主演の准太と共演することになった。敵意むき出しの高人に対し、天使のように接する准太。
翌朝。気が付くと高人は准太の部屋のベッドの上にいた。裸で。
准太のスマホの画面には、昨夜飲んだ勢いで准太の前で醜態を晒した高人の姿が映っていたのだ。
強請りの材料として使われると判断した高人は自分から申し出る。
「言えよ、何でも聞いてやるから」
それに対する純太の返事は、高人の予想とは異なるものだった。
「高人さんを…抱かせてください」
うーん、凄いな。1話でここまで進展するもんなのか。
何が凄いって、この作品濡れ場シーンが多いんだ。いくら深夜と言え、流石に直接的な描写はなされていないけれど、いやそんなの無くてもお腹いっぱいだよって言うぐらいにはシーンたっぷり。
1話から滅茶苦茶キスしてますもん。このお二方。原作だともっと凄いんだって? そういえば20年ほど前にTBSで『真昼の月』っていうテレビドラマがやっていましたね。アレも第1話のえげつないレイプシーンがあったために当時は物議を醸したそうですが。
勿論攻めるのは准太。受けは高人です。
高人は子役で芸能界デビューを果たした芸歴20年のベテラン俳優です。芝居の世界ではその実力を存分に発揮する彼も、ベッドの上では立場が逆転。芸歴3年のペーペーの新人俳優である純太に身体を好いようにされては段々と顔がふやけていく。うん、そんな彼の表情はなかなかにキュート。
…何を書いているんでしょう、私。視聴していた時も時折休憩を挟みながらだったのですが、まさか紹介するのにも休憩が必要になるとは。
話を続けましょう。強烈な濡れ場シーンが特徴的な本作です…が、確かにその面ばかりが注目されがちではあるものの、高人たちの日常…ここでは俳優パートとしておきましょうか、そちらの方も手を抜かれることなくなかなかに面白いエピソードが展開されています。
因縁の相手とは言え、高人さんのプロ意識は高め。新人ということもあって、自分にとって適性のある演じ方がよく分かっていない准太にアドバイスをかける優しさを持っています。
言ってみれば塩を送っているようなものですが、役者を食うとか言っておきながら面倒見がいいんだよね、高人は。実際、彼のアドバイスを受けて准太の役者スキルはみるみるうちに上昇。演じる際その先に大好きな高人がいるっていうのもあるんですけれどね。
それなのに何で夜になると途端に防御力が低下するかね、この男は。
20年間芸能界に居ておきながら、ガチの恋愛に関しては全然経験値が無いのに原因があるんでしょうか。
タイトルだと『抱かれたい男1位に脅されています。』とありますが、実際のところ准太が高人に脅しをかけているシーンって全然無いんですよね。ぐでんぐでんの映像が強請りに使われるというのは、単なる高人の早とちりだったわけです。
とは言え、准太の恐ろしい一面は高人への脅し以外の部分で現れています。中盤、綾木千広(あやぎ ちひろ)という准太にとってのライバルになりそうなキャラクターが登場します。綾木、お前もか。寝取られかねないこの状況、果たして准太の取る行動とは?
俳優ってことで、ちゃんと映画・ドラマ・舞台での演技シーンもありますよ。特に中盤の舞台『紅葉鬼』のシーンはガッツリと時間を取っています。この気合の入り具合、観ているアニメがBLものであることを一瞬忘れさせるかのようです。え? コレリアルで舞台化されるの?? しかも今年???
本作品では、原作者である桜日梯子女史による監修のもと、オリジナルストーリーを交えつつお話が進行していきます。シリーズ構成は『プリキュアシリーズ』をはじめ、数多くの東映アニメーション作品の脚本を担当した成田良美女史。『HUGっと! プリキュア』の脚本も手掛けてますね。うん、だから何だという話ですが。こういう作品もやるのかと、意外の一言です。
全話通して、このハチャメチャぶりはテンポの良いギャグとして見ることもできるかと思います。私もBLコメディアニメとして視聴していましたし。「高人、お前堕ちるの早くね?」というツッコミを含めて、全然BLに興味のない人(特に男性)でも楽しめる作りになっているのかもしれませんね。
ちなみに、この作品はもともと読み切りだったようです。「エリート凌辱」という特集の。…ははぁ。連載前提のストーリーではなかったから序盤の進展が速かったということでしょうか。
ストーリー重視より濡れ場重視というタイプの作品です。あなたがもしお互いを好き合っていく心理描写を好んでいるとするならば、この作品に触れる場合はそうした期待を過度に持たない方が良いでしょう。わざわざ言うまでもないことですがファンタジーみたいなもの、そう割り切って視聴した方が多少気は楽になると思います。
アニメーション制作は『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』と同じCloverWorks。作画は『青ブタ』に比べると不安定だったかな…。静止画が多めな回もチラホラ。EDは予想以上に動いていたけど。
あとこれはキャラデザの問題でしょうか、首の影の斜線が気になる人は気になるかもしれない。漫画だったらともかく、わざわざフルカラーのアニメでも入れる必要は無かったんじゃないかなと思います。まぁ、好みの問題ですかね。
そうそう、忘れちゃいけないのが演出。この作品では羽根が良く飛びます。准太の背中から。嬉しいときは舞い散る羽根の量も増加しますし、ダークな気分の時は羽根の色も黒くなります。絵面がシュールで笑けてきます。
しかし小野友樹さんと高橋広樹さん、色んなアニメで名前を見ることの多い二人が、ここまで濃い作品に出演するとは。…凄いなぁ。凄いばっかしか言ってないな、この記事で。
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【総括】新たなる世界への扉を開けるかどうかはあなた次第
この手のジャンルに全然慣れていないというのもありますが、評価はGOODとしておきます。
少なくとも、スナック感覚で観る作品ではありません。ビールが出てくるかなと思ったら濃厚なにごり酒が出てきたようなものです、視聴する際は万全の覚悟で…と言うほどではないけれど、まぁ自分の肌に合っているかどうか、とりあえず1話を観て今後どうするか…よーく考えた方がいいかもしれません。合わなければ回れ右の精神で。
ラブコメと一口で言っても色んなタイプの作品があるように、BL作品にも色んなタイプの物語が存在しているということでしょうね。私は全13話、濃ゆいものを存分に味わわせてもらったわけですが、扉を開けるか(「あけるか」とも、「ひらけるか」とも)どうかは貴方の感性におまかせするということで、一つよろしくお願いします。
何だろう。この達成感は。強烈なやつ2作品を続けて、それでもなんとか紹介できたからでしょうか。ホントにちゃんと紹介できてんのか? と不安にもなりますが、まだあと2作品残っていますからね。最後まで気を抜かずに頑張りたい所存です。
〈了〉
©DO1 PROJECT © 桜日梯子 / リブレ 2018