#157 新年のなやみどころ
あけましておめでとうございました。
今年もよろしくお願いしました。
通常運行で行こうと言ったけれども、だからってこんなギリギリの更新ペースはいい加減改善しろっつってんだろ、と何遍自分に言ったことでしょうか。まぁいいや。ネタの構想は固まったからあとは書くだけ。そんな感じで2023年も「うわそら」を宜しくお願いします。
さて、2023年といえば、そう。
SING LIKE TALKING デビュー35周年の年です。
はやいね。つまりは竹善が還暦というわけでさ。
もうそんなに? そんな事実に驚きを隠せない自分がおります。
4月2日には、今年で閉館が決まった中野サンプラザにて最後の(あくまでもサンプラでの話ね、念のため)、そして療養中だったギターの西村さんが復帰した記念コンサートが開催される予定です。
4月はじめ。うーん、ライブ配信もあるとはいえ何か予定が入りそうで怖い。アーカイブ残らないし。
で、今回の気になるモノがこれ。
これまでのオリジナルアルバム14枚と、アルバム未収録曲(主にシングルのカップリング曲)を詰め込んだボーナスディスク1枚、計15枚&ブックレットがセットになったてんこもりボックス。
お値段何と33,000円(税込)。CD1枚あたり2,200円。
初期のアルバム(『TRY AND TRY AGAIN』~『Ⅲ』)とボーナスディスクはリマスタリング仕様です。
いやはや、悩みますね。あっちこっち迷い過ぎてもう「迷いの要塞」になってます。"You have to tell me why"(ここのコーラス好き)と訊かれた気がしたので、そうですね。「きっと言えるさ」なんて勿体ぶらず、今回は少しばかり言葉にしようかと思います。
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というのも、オリジナルアルバム。全部持ってるんすよ。
5年前に『Befriend』までのアルバム、あとこの年に出た『Heart of Gold』については書かせていただいてるもん。はじまりは『DISCOVERY』(8thアルバム)だったけれど、それからちゃんと買い揃えたもん。
なんだったらコレも持ってるし。
2000年リリースの『THE REMIX of SING LIKE TALKING』。
文字通りのリミックスアルバム。これね。ファンでも持っている方、少ないと思うんですけれど。ある意味必聴の一作ですよ。
なんでって、リミックス曲って基本的に「原曲超え」を望んではいけないジャンルだと思っているんです。何の考えも無しにサウンドを作れるのが原曲ではない、当然のことではありますが。
例えばSLTの1stアルバム『TRY AND TRY AGAIN』では、デビュー曲の『Dancin' With Your Lies』のリミックス『Dancin' With Your Lies (I'm hot version)』が原曲と併せて収録されています。「…要るか(しかも原曲と同じアルバム内に)?」とはなってしまうのが本音ではありますが。
ちなみに元メンバー(デビュー前の)佐藤達郎氏が担当しているだけでなく、このバージョンのために竹善も新規でボーカルを録っているので、よくあるただのリミックスでは無いんですよ。
高く見積もっても「これはこれで」という感想に落ち着くのがリミックスなのだと、私はそういう認識でいます。とはいえそれで十分だし、そうなるのがリミックスの持つ価値だとは思っているんですね。ダンサブルなアレンジだったら、色んなところで使えそうだし。そういった意味では、この『THE REMIX of』に期待していたところはありました。あったんです。
聴きました。イギリスのジャズバンド"Incognito"のBlueyによる"Rise"が入っていたから、初回盤のはず。なので全14曲。いやもうビックリしました。
「あぁうん、1回聴けば十分だわ」
となって、そっと棚の奥にしまい込んでそれっきりCDプレーヤーに掛けてないアルバム。そうそう無いよこんな体験。「これはこれで」さえ無かった。
サウンドもリズムも中途半端で。原曲リスペクトも、破壊的創造も、そのどちらも感じられない。中途半端にイジられて、でもって中途半端に放り投げ出されたような往年のヒットソング"だった"何か。
あ、この作品では『心の扉』もリミックスされているんですけどね。1回聴いてそれまでなので、どんなリミックスされていたかは忘れちゃった。でも今回のために聴き直す気にもなれない。
まぁ、うん。アーティスト名だけで購入しちゃいけないよな、と気付かされた1枚です。どのぐらいアレかというと、『The Doobie Brothers Revisited』を聴いた時ぐらいのアレ。ドゥービー・ブラザーズのコンピレーションアルバムか何かって思うでしょ? 違うんすよ、そういう名前のコピーバンドによる、何一つ勝るものがないコピーサウンド20曲詰め合わせ。
地獄の煮凝りみてーな円盤でした。そのぐらいの虚脱感を味わえる『THE REMIX of SING LIKE TALKING』、もし運良く中古屋とかで見つけたら購入して聴いてみてください、騙されたと思って。多分騙されたと思うから。
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なんの話でしたっけ。あぁ思い出した、CDボックスの話。
そういうことで、公式サイトのディスコグラフィにすら載せてもらえないやつも持っている身としては、なかなか手が出しづらいところではあるんですね。リマスタリング処理されているものもあるとはいえ。
なので注目すべきはボーナスディスクの存在。
公式サイトからの引用ですが、
いや、これは魅力的ですよ。⑭の『愛を止められない』なんて、ファンハウス時代のシングルだからもう正規の手段じゃ聴けないとも思っていたし。
こんな形で救済が入るとは予想だにしていなかったので、正直そこで思いっきり心が揺らいでいるのでした。
なんですが。せっかく救済してくれるんだったら、もっとそういう「現在聴きにくい曲」を優先して収録して欲しかったのはあります。
私が使っているSpotifyではアルバムはもちろん、ユニバーサルに移籍してからのシングル作品を聴くことができます。その分を差っ引いてみると、こう。
うぅむ。そうなんですよ、意外と今からでも聴けてしまう曲が多いんです。確かに14枚のアルバムには入っていないんだけれども。
オールタイム(とか言いつつ初期3作のアルバムが除外されている)セレクションアルバム『Anthology』(2015)収録の『Ordinary』~『眩暈』(正確には『眩暈』は25周年ライブのボーナスディスクが初)はEP扱い。『Home Town』も『Anthology』で収録されていますが、こちらまではカバーされていないので、円盤を手に入れるしかないですね。
逆に『Ⅲ』は唯一配信から外れておりまして。でも初期3作の楽曲を中心に収録されたベストアルバム『REUNION』は配信されていて、『Livin' For The Beat』と『未来のために』は聴けないけれど『Find It』と『Is It You』は2018年のリマスタリング版として聴ける、と思いきや『REUNION』の2018年リマスタリング版自体は配信から外れていて(Apple Musicだと聞ける?)…何だかよくわからないスタイルになっています。
という具合に、やっぱり割高感が出て即決できていないんです。
ちゃんと聞いたことのない4(5)曲、それを目当てに3万出す、出せるのか? そこの踏ん切り次第ですね。
千章さん曰く、時間の都合とか、その他諸々の事情で収録できていない曲もあるようで。例えば2001年にリリースされた『ROUND ABOUT』(バラード中心のベストアルバム)では、『Time Is Over』(とカバー曲とライブ音源を合わせた5曲)が収録されていますが、残念ながら今回のボーナスディスクでは対象外。私は円盤を持っているからいいけど配信されていないからねぇ。中古屋に行けばあるんだろうか。
あとはシングルバージョンとかね。『心のEvergreen』はExtendじゃなくてシングルバージョンを聴いてみたかった(あくまでもロングバージョンかそうでないかの違いだと思うけど)。9thアルバムの『Welcome To Another World』に収録されている『Flame』『Spirit Of Love』はシングルとは別バージョンだし。これら当然ながら配信に期待できそうもない所は、もう埋もれていくだけになっちゃうのかなという気持ちがあります。
15、という数字には「完全」という意味を持たせることがあります。
しかし龍安寺の石庭では、置かれた15個の石を同時に見ることはできず、どこか「不完全」さを残している。「完全」であることが「それ以上にない」ことと同義であるとするなら、15枚目のボーナスディスクでもっても完全に拾いきれない現状は幸せなことかもしれません。この続きを追いかけることができるんだから。
西村さんも帰ってきたし、15thアルバムも発表される…と期待していいのかな。『Hope』が作られるのはまだ先の話だと祈って、これからも自分のペースで楽しんでいきたいと思います。
…え、龍安寺の石は普通に15個同時に見ることができるって? ただの俗説?
……。
前言撤回!
いつかキッチリ補完してくれると嬉しいです!
あとそろそろ配信版の曲名、『Fair ~Just The of Us~』って誤表記しているの直してね!!
そんな感じの与太話でした。おしまい。