Review-#018 『2019年冬アニメを観たので感想を書く』Vol.01
まさかのショートレビューに退化
ホントは秋アニメみたいに単独記事を随時投稿していくつもりだったんですけれどね、一日1記事ずつの更新が出来なくても。
ただその形だと、全部書き終える前に平成から令和に変わっちゃうと確信したので、今回はいつものショートレビュー形式でざっくりと紹介。
で、「どうせショートレビューとか言っておきながら長くなるんだろ?」と察した方もいらっしゃるかもしれません、ですが今回はできるだけ自制しました。少なくとも春とか夏に比べると1作品あたりの文章はコンパクトになってる…はずです。
では早速紹介していきます。それなりにあるので、例によって分割です。
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<このページのお品書き>
① PERSONA5 the Animation
② 風が強く吹いている
③ ブギーポップは笑わない
NEXT》
(『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』
『私に天使が舞い降りた!』
『同居人は、ひざ、時々、頭のうえ。』)
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PERSONA5 the Animation
(2018年4月-9月, 2019年12月, 3月)
アニメーション制作:CloverWorks
監督:石浜真史
シリーズ構成:猪爪慎一
<TVアニメプロモーション映像>
<☟原作ゲームもおすすめです>
ペルソナ5 (PS4・2016年9月15日)
定価:4,980円+税(新価格版)
ジャンル:RPG
メーカー:アトラス
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忙しい人のための『ペルソナ5』
いきなりタイトル詐欺を働いていますが、春の特番を終えてようやく大団円を迎えましたので、最初に書くことにします。
それにしても2018年は、図らずも怪盗イヤーになりましたね。戦隊とルパン三世とペルソナと。どういう偶然?
2クール+2回の特番という形で放送された『P5A』ですが、駆け足にもなりますわな。レベリングしていたというのもあるけど、ゲームクリア時間が100時間オーバー。忠実かつ丁寧にアニメに落とし込もうものなら、第1話は渋谷駅で終わっちゃいますからね。巻いていかないと。
ざっくりと進めてはいるけれど、かと言って途中から理解が追いつかなくなる程でもない、というところか。よくまぁ最後まで纏めたとは思うが、贅沢を言うと、やっぱ3クール使ってキッチリ描いて欲しかったなぁ…。
特に後半のとあるトリックについて、何かしらのフォローが入るかなとは思ったのですが、これと言ってなし。終盤が1時間弱の特番×2だったから、本筋の本筋をなぞるだけでも精一杯だったんでしょうね。
個人的に気になったのがコープキャラの扱い。ゲームでも色々とお世話になる彼らを随所で登場させたのは嬉しかった、なんですが後半では尺の都合か適当に片付けられてしまったのが本当に残念。彼ら彼女らにもストーリーが用意されているんだけれど、それはゲーム本編でお楽しみくださいということか。
作画はCloverWorks。監督が石浜真史氏ということもあり、OPの演出はとてもお洒落。アニメ本編は…まぁ、元々のキャラデザが連続アニメでは動かしづらそうではあります。序盤はイマイチ原作再現しきれていなかった戦闘シーンも、後の回では大分頑張っていたと思います。ターン制RPGだからか、どうしても棒立ちになってることが多かったのですが。
評価は…GOOD、ですかね。原作ゲームをクリアした側としては、是非ともそちらからやっていただきたいところではあります。『P5R』とか『P5S』とかも発表されたしね。が、如何せん長所にも短所にもなり得るボリュームの多さ、エンディングまでたどり着くのには時間が掛かります。
対して『P5A』は駆け足フルマラソン感は否めないですが、トータル11時間で本筋をざっくりと追うことができる…その点はポイントになるか。
どちらを頂戴するかは、お任せということで。
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風が強く吹いている
(2018年10月-2019年3月)
アニメーション制作:Production I.G.
監督:野村和也
シリーズ構成・脚本:喜安浩平
<TVアニメプロモーション映像>
<☟原作の小説もどうぞ>
風が強く吹いている (2006年9月21日)
作:三浦しをん
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箱根駅伝に出たい男1位に脅されています。
1度のみならず2度までもタイトル詐欺を働いていますが、気にせず紹介していきます。三浦しをん女史による『風が強く吹いている』、原作を読んだことはなかったんですけれどね。アニメ化した、ということで視聴開始。
主人公であるカケルが万引きをやらかし、箱根駅伝に出たがっているハイジもやり口がほぼ騙し討ち、その他メンバーもてんでバラバラ。
うぅむ。ある意味最悪の出だし。何なんだコイツらは、と嫌悪感が出ても仕方ないっちゃあ仕方ない。1話切りも已む無しか、と言いたいところですが、まぁちょいと待ちなされと。
こんな状況から、果たしてどのように箱根駅伝に出場するに至ったのか? というスポ根アニメ、それがこの『風が強く吹いている』ですから。
強引極まりないスタートではあったけれども、お互いを知り、共に走り続けていくことによって、徐々に結束が高まり、箱根という目標に向かって突き進んでいくことになります。その過程で、不貞腐れていたカケルも人間として成長していきます。中盤から、「第1話で万引きしていた奴にはとても見えないな…」という変わりよう。各メンバーにも個別のフォーカス回が用意されているので、感情移入もはかどります(?)。
それでもって、ラストは5話分使って箱根駅伝での各々の活躍を描きます。Production I.G.による作画も良好。このために今までの紆余曲折があった、という感じ。心の中で応援していました。
うん、まぁ、過半数がど素人だったのに1年足らずで出場枠をもぎ取れる程にまで成長するって、いくら何でもスピード速すぎひん? これじゃあ憎まれ口叩きながらも努力していたワカメが浮かばれないやん…とは思ったけれども。
序盤こそ引っかかりを覚えるシーンがあるかもしれませんが、彼らの成長を見届ける中で、沢山の熱いシーンもありますから。良いスポ根作品でした。評価はGREATです。
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ブギーポップは笑わない
(2019年1月-3月)
アニメーション制作:マッドハウス
監督:夏目真悟
シリーズ構成・脚本:鈴木智尋
<TVアニメプロモーション映像>
<☟原作ライトノベル…の原点もどうぞ>
ブギーポップは笑わない (電撃文庫・1998年2月6日)
作:上遠野浩平
イラスト:緒方剛志
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視聴者を等しく篩に掛けるアニメ
……起こったこと自体は、きっと簡単な物語なのだろう。傍目にはひどく混乱して、筋道がないように見えても、実際は実に単純な、よくある話にすぎないのだろう。
でも、私たち一人ひとりの立場からその全貌が見えることはない。物語の登場人物は、自分の役割の外側を知ることはできないのだ。
原作からの引用ですが、アニメにおいても、この前提は必要でしょう。何故って? 第1話~第3話の「ブギーポップは笑わない」を観れば納得できるかもしれません。
時系列がコロコロ変わるんですね。というか、あるキャラクターからの視点で描くという方法を複数の人物で行っているから、多分1話だけ観ても全然分からない。分かるとすれば、それは原作を読んだ組ですね。3話通しで観ると繋がりが見えて、「ああそういうことだったのね」とピースが組み合わさる。構成としては原作に忠実なのかもしれませんが、アニメだと不親切な処理の仕方だったかなぁ。切り替わるところは演出でどうにかならんかったか、と思います。
第4話の「VSイマジネーター」以降は割と観やすい作り。「笑わない」で分かりづらさや取っつきにくさを感じた人も、こっちなら入り込みやすいんじゃないでしょうか。しかし、リアルタイムで観ていた時は変則的な放送スケジュールにビビりました。「歪曲王」までアニメ化されたのですが、「夜明けのブギーポップ」が全4話一挙に放送されて。今期一追うのが大変なアニメでございました。
もともと2クール予定だったけれど、1クールしか確保できなかったのでこんな風に捻じ込んできたと。世知辛いのう…。
頭を使う作品です。流し見では内容が分からなくなること必至です。それぞれのエピソードは興味深いし、ライトノベル界に与えた影響の大きさを感じられるんですけれど…映像化するには、あんまり向かない作品にみえます。でも以前、一度映画化&アニメ化されているのよね。
原作も読んでみたのですが、やはり内面描写を中心にカットされている部分が多いです。ファンであるほどむず痒さを覚えるのかも。「笑わない」で口笛吹かないとか。
冒頭の「等しく篩に掛けるアニメ」というのは、そういうことです。評価はGOOD。良かったとは思うけど、継続するハードルも高いと思います。
観るなら1話ずつじゃなくて、一気に観た方が断然よろしいかと。
あ、そうそう。炎上騒ぎにもなったキャラデザですが、決して悪くはないんじゃないですかね。皆似たり寄ったりな感じだから、誰が誰だか分かんねぇという混乱が最初の内は生じるかもしれませんけど。そういう意味では、リアルとも捉えられる。
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今期も結局、紹介する量はそれなりにありました。ただ同時に、秋と比べると出来のいい奴と悪い奴の差が広がっているような…。良い作品は良いと思えますが、悪いのがとことんなまでに…うん。
そういうのも含めて、今回はVol. ...何まで行くかなぁ。完全に見切り発車ですが、少しの間お付き合いくださいませ。Vol.02に続きます。
©ATLUS ©SEGA/PERSONA5 the Animation Project
© 三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会
©2018 上遠野浩平/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会