Review-#021 『2019年冬アニメを観たので感想を書く』Vol.04

 さて、後半戦です。作成したらVol.05まで、でした。つまり計15作品。例によって観てはいた(または現在視聴を継続している)けれど記事に取り上げていない作品もあるので、うん。数はあるけれど、全部が全部楽しめているわけではないんだよね。単にアニメ制作のライン数の問題ではなくて。

 意欲作もあれば、思っていた以上に凄いものもあったし、思っていた以上にヤバいものもあった、良く言えば十人十色、悪く言えばこれまで以上に玉石混交だった2019年の冬。皆さんが注目していた作品はありますか?

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<このページのお品書き>

荒野のコトブキ飛行隊
ガーリー・エアフォース
ぱすてるメモリーズ

《PREV
(『上野さんは不器用』
 『えんどろ~!』
 『五等分の花嫁』)

NEXT》
(『エガオノダイカ』
 『バーチャルさんはみている』
 『フライングベイビーズ』)

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荒野のコトブキ飛行隊

(2019年1月-3月)

アニメーション制作:GEMBA
監督:水島努
シリーズ構成:横手美智子

<TVアニメプロモーション映像>

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飛行機道、極めます!


 『ガールズ&パンツァー』や『SHIROBAKO』で知られる水島努監督の最新作は、空が舞台。『SHIROBAKO』で登場する『第三少女飛行隊』を思い起こした人もいるのではないでしょうか。どうやら本人のTwitterによると4年ほど前からやりたがっていたみたいだけれど。『大空のテイクオフガールズ!』っていうアプリゲーが出ていたから、それの販促かなと思ったら逆なのね。

 冒頭で「飛行機道」なんて書きましたが、飛行機乗りが競技化されたお話ではありません。空賊から飛行船を守る用心棒の集まり、「コトブキ飛行隊」の大活劇です。
 うん、コレ水島監督の趣味バリバリに出てるわ。レシプロ戦闘機好きなんですね。色々と細かい。音響監督も兼任していることもあって、戦闘機の音、これが一番凄いと思います。迫力があります。視聴する際はイヤホン・ヘッドホン、あるいはテレビの両脇にでっかいスピーカーを設置することを推奨します。凝りぶりが理解できるし、何より耳が幸せ。

 「荒野」とタイトル名に含まれている通り、西部劇に出てきそうな舞台。『夕陽のカスカベボーイズ』かな? ここまで素材を用意したら、あとは「こまけぇこたぁいいんだよ!!」を貫くスタイル。
 作品としては、空中戦全ツッパな感じですね。「でっかい穴が開いて色んなものが降ってきて、それで航空技術が発展した」という何ともファンタジーな舞台背景がありますが、西部劇みたいな場所でレシプロ飛行機を飛ばすっていう為のようなもの。
 この世界にまつわる色んな謎は一体何なのか、それらは明確な答えが出ないまま終わります。キャラクターもキリエ以外の掘り下げはあまりされていなかった感じ。他にはやたら絡みの多かったチカぐらいかな?

 やりたいことをやった、ということがよく伝わったアニメでした。一に空中戦、二に空中戦、三四飛ばして五に空中戦。エンタメらしくて良いと思います。評価はGOODです。

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ガーリー・エアフォース

(2019年1月-3月)

アニメーション制作:サテライト
監督:小野勝巳
シリーズ構成:永井真吾

<TVアニメプロモーション映像>

<☟原作ライトノベルはついにクライマックスへ!>
ガーリー・エアフォース
(電撃文庫・2014年9月10日~2019年3月9日[全11巻])

作:夏海公司
イラスト:遠坂あさぎ

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OPの「むかうううううううううううう」が頭から離れない


 もういっちょ、戦闘機アニメのご紹介をば。今度は旧式レシプロではございません、ジェット戦闘機がビュンビュンと飛び交います。実在する戦闘機がベースになっているのは共通していますかね。本作では、戦闘機を操縦する人型機構「アニマ」のキャラクター名にもなっています。

 主人公・鳴谷 慧(なるたに けい)とタッグを組むのは、ポンコツ可愛いアニマのグリペン。ということで、搭乗する戦闘機はJAS39D"グリペン"。私、全然戦闘機詳しくないけどね!
 とある事をきっかけにして出逢い、共に過ごすことになった二人が、日常と謎の飛翔体「ザイ」との戦闘を通じて、かけがえのない関係になっていく…という感じのお話。宋 明華(ミン ホア)という慧の幼馴染キャラも登場するんですが、負けヒロインらしい立ち位置に。気の毒。

 1話を観た時点ではムチャクチャな展開で微妙かな? と思ったけれど、観続けていくにつれて、徐々にではあるがブーストが掛かってきた感じ。イーグルやファントムといった新しいアニマも登場し、ハーレムチックな要素も出てくるけれど、メインはへっぽこなグリペンとのやり取り。そしてほぼ負けヒロインを確立するためだけに出ているような明華さん…。もっと愛を。

 空戦シーンも毎回毎回用意されているわけじゃないけれど、ハッタリを利かせたドッグファイトは「そういうもんだ」と観れば悪くない出来なんじゃないかと。いかにもなEDM調のBGMも戦闘を盛り上げています。

 ただ、1クールだと中途半端に終わってしまいましたね。アニメの中で提示された謎もほとんど回収できていないまま「俺たちの戦いはこれからだ!」END。1,2合目ぐらいまでしか到達できてないです、多分。この先に一区切りポイントが存在するかのような、2クールある前提で作っているみたいなペースだったのにね。エンジンから煙が出ちゃいそうな不完全燃焼です。

 これも原作の販促アニメって所かなぁ。もう一声、という印象。評価はMEDIOCREです。作画は安定していたし、グリペンは可愛く描かれていたので、その辺に注目する分には見どころもありますが、逆に言うとそのぐらい、ということなのかもしれません。

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ぱすてるメモリーズ

(2019年1月-3月)

アニメーション制作:project No.9
監督:篠崎康行
シリーズ構成:玉井☆豪

<TVアニメプロモーション映像>

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いっぺん怒られてこい(なお、マジで怒られた模様)


 フリューの同名スマホゲーが原作の『ぱすてるメモリーズ』、平成最後の馬鹿アニメになるとは第1話の時点では思いもしませんでした。
 失いかけているアニメ・漫画の想い出を守るために、作品世界に乗り込むというストーリーなんだけれども、本作の特徴はベッタベタなパロディネタです。

 第1話は登場するキャラクター紹介に時間が割かれているため、これだけ観るとどういう作品なのかが分からないですが、本作は第2話からが本番
 実在するアニメ・漫画・ゲームを思い起こさせる、つーかハッキリとした元ネタが存在する世界でやりたい放題。第2話からして「某心がぴょんぴょんしそうな世界」だもん。その後も「まったく、小学生は最高だぜ!!な世界」とか「"せかいのはんぶん"をくれそうな世界」とか、見境なしに作品世界を冒険、というか蹂躙しまくっています。

 こんな感じだからか、大元のストーリーは…無いっちゃあ無い。
 もう場のノリと勢いだけで突っ走っているし、多分『ぱすメモ』を観ている間はパロディネタの方に関心が行って、整合性だの奥深さだのは割とどうでもよくなってくるような気もします。考えるな、感じろを地で行くスタイル。エンタメとしては正しい方向。でも中途半端な感じは否めなかったですかね。もっとはっちゃけてくれても良かったのよ?

 過去に『ロウきゅーぶ!』, 『りゅうおうのおしごと!』を担当し、冬アニメでは『みにとじ』も制作していたProject No.9ですが、作画は…何とも言えない。崩れているのが通常運転なのか、はてさて。でも綺麗過ぎちゃうとそれはそれでマズいので、ある意味無難ではあるのです。
 …無難ではないけどね。何故って、第2話が諸般の事情により配信停止、円盤未収録となったからです。何が一体マズかったのかは各自検索してもらうとして、今期一危なっかしいアニメだったということだけは確かに言えるかと思います。最早誇ってもいいかも。結果は全然良くないけど。

 その勇気あるんだか無いんだかな(無謀な?)スタイルを讃えて、評価はMEDIOCREです。大らかな気持ちで観ないと、多分後悔することになると思います。割と真面目に。観るんなら頭を空っぽにして楽しみましょう。

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 次はいよいよ最終パートのVol.05です。評価のネタバレをすると、前回よりも評価画像の制作の手間数が増えました。画像枚数が増えた、という意味ではありませんよ。全体的にクオリティが良かった2018年秋と見比べた時に、ある部分が…。実はこのページでも増えているんですけれどね。


©荒野のコトブキ飛行隊製作委員会
©2018 夏海公司/KADOKAWA/GAF Project
©FURYU/「ぱすてるメモリーズ」製作委員会