#Ex-002 追憶:少しも俺には関係ないのに
おい、ついにネタ切れか…と言われるかもしれないので一応言うとそういうことでは全くなく、「少しも俺には関係ないのに」を書いた後に色々とネットサーフィンしていた時に、過去に販売されていた懐かしい携帯の画像を目にしたこともあって、なんとなーく書きたくなったのである。要は前回の補完みたいな文章である。くどいようだがネタ切れではない。断じて。
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<画像元:
http://k-tai.watch.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/19333.html>
2004年7月に発売された「enjorno V102D」。私の祖母が愛用していた携帯電話である。2004年と言えば、J-PHONEからvodafoneに代わってまだ1年も経っていなかった頃だろうか。現在は既にソフトバンクになってるし、いつの間にか携帯会社にアステルもツーカーもウィルコムの名前も無くなっていたりと、この10年間で随分と変遷が激しかったものだ。まぁ携帯電話がめっちゃ発展したから、最早「簡易型」のPHSは御役御免になったのだろうけれども。
この携帯は今でも果たしてあるのだろうか、プリペイド式。3,000円あるいは5,000円のプリペイドカードを登録することによって通話ができる。逆に言えば登録しなければ通話ができない。これなら無駄に、余計に通信しすぎて通話料を心配することもない。残高が無くなりそうになる前に、祖母の代わりにコンビニまで行ってプリペイドカードを買ってきた。いい想い出だ。
マーブルチョコのパッケージが印象的なenjornoシリーズ、この機種の一番の売りと言えば着せ替えパネルの存在だろう。私にとって着せ替えと言うとソニー・エリクソンが微妙な位置のジョグダイアル並みに好んで使うアイテムというイメージがあるのだが、これはとても面白い試みをしている。写真をよーく見てもらうと分かるのだが、取り付けてあるパネルが上下で分かれているのである。ここがミソであり、本体を買うと2色のパネルが付属されているので上下で違う色を取り付けることもできるというわけだ。同じ機種で違う色のものを所持している友達とパネルを交換すれば、着せ替えのバリエーションは更に広がる。
おや、ちょっと調べてみるとこの機種、どうやらこの年のグッドデザイン賞を受賞していたらしい。グッドデザイン賞ってモンドセレクションみたく金を出せばもらえるんじゃねぇの? ...という野暮ったいことはさておき、納得がいく。パネルを取り付けても、膨らみを持たせたボタンは押すのに全く支障がない。パネルを取り付けなければもっと押しやすい、ということではないけどね。
んで、授賞理由が…「3~9歳の男の子・女の子をターゲット」? ん? んん?? あ、これってあれだったの? キッズケータイ的な立ち位置のやつだったの? だが言われてみれば確かにカラーリングもパッケージも子供を意識しているような感じではある。
2006年頃にvodafoneがソフトバンクに代わってから、何だか味気なくなった。プリペイドはそれまではコンビニでもカード形式で買えたのに、印刷された紙媒体になってしまった。そしてどういう経緯だったかは知らないが機種変することになり、色鮮やかなストレート型の携帯電話は普通の、至って素朴な二つ折りの真っ白な姿へと変わった。だが間もなくして祖母が施設に入り、使われなくなったその携帯電話はまだ自分自身のものを所有していなかった私の手元へと渡った。
だがある日、唐突に通話が出来なくなった。そんな、プリペイドは以前登録したし、十分に残高もあるはずだ。サービスセンターに訊いてみたところ「長期間使用していなかったので通話できなくなりました」だって。それっきり。実はまだこの携帯は残っている。それと機種変する前のenjorno 2の着せ替えパネルも。携帯の方は本当は資源回収のために返却するべきなんだろうけれどね。
ガラケーと言えば二つ折りのイメージが強いが、調べてみると色んなタイプがあるのね。ストレート型、フリッパー型、スライド型、リボルバー型、回転2軸ヒンジ型、デュアルオープン、サイクロイド。2軸ヒンジ型は昔から憧れのモデルだった。何ていうかおしゃれだよね。基本形は二つ折りと同じだからスライド・リボルバー型みたいに画面を傷つける心配ないし(それでもまぁ、使いようによっては傷つくんだけれども)。要は今私が持っている携帯というのは憧れの最先端なわけで。ついでに言うと、タッチパネルを採用しているのでまるでスマートフォンを操作しているかのように、他人に見せつけられるのだ。iOSはおろか、Androidさえ入っていないからその後若干虚しくなるが気にしない気にしない。
スマートフォンは本体だけだと、かつての携帯電話ほどのデザイン差がないようにも見える。もっともデザインが奇抜過ぎて、肝心の使いやすさが犠牲になってるタイプが散見されたからそれを考えればスマートフォンという一種のノーマライゼーションは当然であるとは思うが。スマートフォンを購入したらほぼほぼセットで購入するような向きがあるケース・カバーは携帯電話以上にバリエーションがある。多種多様なので、人と被ることを気にしなくていい。
ただ私はそれを差し引いても、やはりスマートフォンへの移行に乗り気じゃない別の理由として、携帯電話特有の操作に慣れてしまっている所為か、タッチパネル単体の操作がおぼつかないということにある。フリップ操作による文字入力も、画面に指をつけてからどの方向に指を動かせばどの文字が打てるのか、ということは覚えられても実際に自分で文字を打っているという感覚にはなかなか到達しない。なんせ真ったいらのパネルである、キーストロークもへったくれもない。「カカカッ」という音はなるが、指に手ごたえがないというのは不安にもなる。私のガラケーもタッチパネルで文字入力が可能であるが、スマートフォンよりも深刻である。まず画面が小さい、そりゃそうである。親指が変に干渉して狙い通りの入力がしづらい。スマートフォンのQWERTY配列入力よりもしんどい。たまに妙に気取ってタッチパネルを使ってメールを返そうにも、小さい画面がキーボードエリアのせいで下半分以上が埋まってしまいテンキーで打つよりも倍以上の時間を費やす。無駄である。
近頃はガラホなる、スマートフォンと携帯電話のテンキーの融合を果たしているものも展開されているが、結局携帯電話並みのサイズに収まってしまいスマートフォンとしての機能が端折られてしまっている。うーむ、それじゃあ意味がないよなぁ。LINEができるとかwi-fiにつなげられるとか、そういうのは現行のでも一応できているわけだし。
話がやや飛躍するが、こないだの「ニンテンドースイッチ」を触っていて思ったのは「二刀流がコンセプトの商品は器用貧乏あるいは中途半端になり得る」ということである。ニンテンドースイッチ、大きさはティッシュボックスをやや一回り大きくさせたぐらいのサイズである。ちょっと昔ので言うと「Atari Lynx」とタメを張れる程度。あれも当時の携帯ゲーム機としては凄いスペックであったそうだが。
詳しくは当記事を見ていただきたいが、発表されてからずうっと思っていた、「コントローラーの非対称性」。ニンテンドースイッチのコンセプトのひとつである、その場で相手にコントローラーを一つ渡して遊ぶ「おすそわけ」を可能にするために、左右のコントローラーでスティックとボタンの配置が逆になっている。それでもって一人プレイを意識していると思われる、全体的に上部寄りのボタン配置。これが何をもたらすかというと、いざおすそわけプレイしようとしたときに、左右の指でスティックとボタンのあてがう位置が非対称となるのである。横持にしたとき、左のコントローラーはスティックが真ん中、右のコントローラーはボタンが真ん中に来る。これが意外と操作において独特のクセを持たせている。特殊な条件下でもない限り、ボタンやスティックを操作する指は親指になるのが普通である。真ん中に来る、ということは親指をそこまで伸ばす必要がある。このアンバランスさがじわじわと、ゲームプレイに影響をもたらしているのである。
こりゃあコントローラーの取り合いになるかもな。スティックさばきが重要になるゲーム、ボタン操作が重要になるゲーム、こうしたゲームでおすそわけプレイをしようと、コントローラーを相手に渡すのはある意味ハンデをあげる、もらうようなものである。となると、コントローラーの取り合いで喧嘩になるという、ゲーム内容以外でのリアルファイトが発生してしまうんじゃないかと思った。せめてゲームをやってからにしろよ。実際どうなっているのかは分からない。周りに所有している人の母数が足りていない。
かと言って、安易にコントローラーの下部分を削ればいいということでもない。シェア機能を持つボタンが付いているし、そもそもコントローラーが小さいのでこれ以上小さくなると通常時も横持もプレイしづらくなる。何より削った分だけ本体も小さくしなければいけなくなるので、画面の視認性が下がってしまう。ということを色々考えてみると、この大きさになるべくしてなったのだろう。大きすぎず小さすぎず、かつ当初のコンセプトを実現するためのデザイン。なかなか難しい問題である。
だからガラホもスマートフォン並みのサイズにして、そこにテンキーを付けようということにはならないのである。だって大きすぎるとテンキー部分の方が持て余すことになるのだから。それに画面を開いた時の縦長は実質スマートフォン2台分。やっぱり大きすぎる。
あ。今思い出した、スライド式のがあるじゃん。あれなら1.5台程度に落ち着ける。でもスライド式はボタン配置にやや難がある。全体的にボタンサイズが小さい。そもそも先述したようにガラホとよばれるタイプのものはスペックがオミットされていて、どうしても「中途半端」感が浮かび上がってしまうのだ。イヤホン挿せるようにするとか、ガラケーで使用できる機能の互換性を持たせるとか、やりようはいくらでもあるんだろうけれども、うーん。言うだけなら何とでも言えるわな。まぁ現時点のラインナップを見る限り、そういうものを選ぶぐらいなら普通にスマートフォンにしたほうが良さそうだよねぇ…。
頑張れメーカーさん。それまで私もiPod touchでフリック操作の練習しますから、ね。