Review-#013 『となりの吸血鬼さん』
愛があれば年の差(340~350年程)なんて!
出来れば毎日投稿したい「アニメを観たので感想を書く」コーナー第4弾です。ここまで良い感じに投稿し続けているので後半もペースを落としたくないところです。
『となりの吸血鬼さん』は何となく観始めたアニメでした。その結果最終話まで観たんですけれどね。今期観た作品の中では一番のんびりと観ていられた作品です。まぁそれが「日常系」アニメってものですが。
というか秋アニメは人外系が頑張りましたね。ゴブリン然り吸血鬼然りゾンビ然り変態筋肉メイド然り。1人違うような気もしますがそこは気にせず本作の紹介に移りましょう。
アニメーションを制作したスタジオ的に「きらら枠」のように見えますが、本作は『コミックキューン』というメディアファクトリーの雑誌で連載されているものです。『ひなこのーと』等と同じです。萌え4コマ系という点は共通しているかな? 最近の連載ではあまり4コマに統一していないみたいだけれどね。
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<今回紹介する2018年秋アニメ一覧>
① SSSS.GRIDMAN
② 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
③ やがて君になる
④ となりの吸血鬼さん ←いまここ
⑤ うちのメイドがウザすぎる!
⑥ 抱かれたい男1位に脅されています。
⑦ 宇宙戦艦ティラミスⅡ
⑧ ゾンビランドサガ
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となりの吸血鬼さん (2018年10月-12月)
アニメーション制作:Studio五組・AXsiZ
監督:秋田谷典昭
シリーズ構成・脚本:高橋龍也
<TVアニメプロモーション映像>
<☟原作コミックもどうぞ>
となりの吸血鬼さん (コミックキューン連載・2013年8月~)
作:甘党
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【作品紹介】吸血鬼と人間のイシュカン・コミュニケーション
森の傍にある人形の館には、夜に魂を持った人形が現れるらしい――。
友人からそんな噂を聞いた人形好きの女子高生・天野灯(あまの あかり)は館を探しに行こうとした途中、森で迷ってしまう。
そこに現れた銀髪の少女、ソフィー・トワイライト。灯を助けた彼女こそ噂の人形の正体であり、実は館を所有している吸血鬼でもあったのだ。
ソフィーのことを気に入った灯は毎日彼女の館に遊びに行くようになり、ついには一緒に住み始めて…。
第1話で同棲にまで発展するおふたり。本作のタイトルの『となりの吸血鬼さん』って、別に灯の家の隣がソフィーの館だというわけじゃないんだよね。確かに森の傍にはあったんだけれど。ま、普通に考えたら心理的な意味での「となりの」だよね。
この作品は何かと『ぎんいろモザイク』と呼ばれることがあります。『あそびあそばせ』で「汚い『きんモザ』」と言われたようなもんです。確かに主人公の天野灯はおかっぱですしね、外見的に『きんいろモザイク』の大宮忍を連想させます。でもそれだけじゃなかったりします。
例えば、灯のソフィーに対する熱烈な溺愛っぷり。
天野灯が何故ソフィー・トワイライトを探そうとしたのか、と言えばそれは噂の「魂を持った人形」という部分に魅かれたからなのですが、もっと言えば「その人形を捕獲しよう」としたから。その為にわざわざ縄を持参する程度には本気のようです。もう既にヤバい。
それでも臆することなく、ソフィーは自分の名前を灯に告げますが、灯は自分の人形好きを語っていくにつれて様子がおかしくなり遂には「ナデナデしていい!? お持ち帰りしてもいい!? 髪を梳いたり着せ替えさせたい!」と自分の欲求を露わにします。
これには流石にソフィーも引くわけで。灯は「普通の人間なのに吸血鬼に怖がられた」とショックを受けますが…普通……?
対するソフィー。17世紀生まれの彼女ですが、意外にも現代社会に適応しています。
吸血鬼なので普段摂るものは勿論血液。ですが「変質者みたいだから」ということで、生身の人間から血を吸うことはしないようです。ではどうやって生きているのか、それはネット通販。
パソコンを巧みに使いこなして、冷蔵庫に保存してある血のビンが無くなりそうでもお急ぎ便ですぐに血液を取り寄せます。電子レンジを使ってホットブラッド(!)にして飲み、使い終わった食器は食器洗い機に入れるだけ。現代社会って本当便利ですね。ネット通販が生まれる前の時代はどうしていたんだろうか…。
ちなみにA型は「あっさり」、B型は「おいしい」、O型は「なめらか」、AB型は「コクのある」味だそうです。貴方の血液はどんな味?
余談ですが、リアルだと2002年に施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」により売血は禁止されています。実際、献血の記念品でも金券ではなくドリンクバーや食品が提供されていますからね。試験研究用としての血液の販売はあるようですが。
吸血鬼らしく、色んな弱点もあります。
日光に弱いので、ソフィーは夜型の生活を送ります。オタク趣味を持つ彼女は、深夜アニメを視聴してアニメのまとめサイトを閲覧することが日課。棚にはフィギュアが並べられ、寝るときに使う棺桶の中にはキャラクター抱き枕が。あれ、私も吸血鬼だったんかな…?
しかしラノベの原作者によるサイン会が日中に開催されるときは危険を冒してでも出かけます。ですが街には天敵がいっぱい。ロードローラーも軽々と持ち上げられる吸血鬼ですが、日光の下では(日傘を差していても)スペランカー並みの耐久力になってしまいます。そこに現れる犬、川と言う名の流水。館の中に居ても十字架やニンニクはお断り、こう見ていくと吸血鬼ってホント弱点が多い。
あと吸血鬼なのにホラーが苦手。趣味である夜中の散歩が怪談話のタネになっているという自覚もなく…。
とまぁ、キャラ的にも種族的にも一緒に暮らしていくのが大変そうではありますが、吸血鬼という存在を怖がろうとせず、むしろ友達になろうとしている灯にソフィーはちょっとずつ心の距離を縮めていきます。
で、その流れで同棲になる…かなぁ。当然ソフィーは心配しますが、灯の家族も大体灯みたいな感じなので難なくOKが出ます。大丈夫か。
同棲が決まった途端、灯は変態の限りを尽くすというわけでは決してなく、ソフィーの良いパートナーとして接しています。出掛け先でソフィーがピンチに陥りそうになった時には全力で助けたり、人間と吸血鬼の垣根を超えて楽しく暮らすために色んなことを考えたりもします。
2話以降は割と全ての文字に濁点が付いているかのようなダミ声でソフィーを愛でるキャラに落ち着いている(?)んですが、時々「鬼畜こけし」の名を継いだかのような突拍子もない行動に出ることもあります。気の抜けないお方です。
ソフィーも灯のことを大事に思っていて、お弁当を忘れた灯の学校まで届けに行ったり(勿論日中)、感謝の気持ちを込めて不慣れな料理に挑戦したりと、彼女のために体を張ることもあります。
吸血鬼ゆえにどうしても人間の感性とのズレが生じることがありますが、そのズレもまた、ほんわかと観れるコメディへと昇華しています。
ここに灯の友人…というか友人以上の関係になりたい夏木 ひなた(なつき ―)や、100年ぶりに目覚めたソフィーの親友…というか腐れ縁のエリーも登場し、館はどんどん賑やかに。
暗い話は殆どありません。日常系アニメとしてほんわかと観続けていられる作品です。途中、ヴァンパイアハンターを名乗るキャラクターが現れますが、なんとか切り抜けます。割とポンコツなので。しかも出番が1回限りだし。再登場しても面白そうだったけれど、流れからしてそれで良かったのかな?
最終回は綺麗に締めくくりましたが、ちょっとだけ切なさもありますね。こっちはずぅっと観続けていられるけれど、物語の中ではどこかで終わりが来てしまう。
吸血鬼は永く生きていられるけれど、人間はそうじゃない。このままいけば、灯とソフィーがお別れしなくてはいけない日を迎えることになるわけです。
EDの『HAPPY!! ストレンジフレンズ』で「いつまでも」というフレーズがあります。「ずっと一緒」は、人間と吸血鬼の間でも約束の言葉に成り得るものなのか。この世界の吸血鬼も、意思によって他者を吸血鬼に変質させることは可能のようです。だけど、灯とソフィーはその選択肢を採るのだろうか…
と、難しいことを考える必要はなく、お気楽に観ることのできるアニメで、ちょっとだけ考えていた自分がいます。多分原作でも、そこまでの未来は描かないと思うけどね。どうか今ある時間をお幸せに。
アニメーション制作はStudio五組。『きんいろモザイク』シリーズや『結城由奈は勇者である』シリーズでお馴染みです。『きんモザ』で脚本に参加した高橋龍也氏は、本作で初の全話脚本を手掛けています。
作画はAXsiZとの共同制作もあって概ね安定しています。OPよりも動くEDにも注目です。
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【総括】ゆっくりと観るには丁度良いほのぼの感
評価はGREAT。ザ・日常系というアニメですが、それがお薦めのしやすさにも繋がっていると思います。大きいインパクトを秘めた作品ではありませんが、これといって観るハードルを大きく上げる要素があるということでもないので、アニメに癒しを求めるというのであればチェックしてみてはいかがでしょうか。
「連続したストーリーを追うのはちょっと大変」という方も是非。
これで半分かー。後半はコメディ要素が強くなってきますよ。色々と強烈な個性を放ちつつ、それでも愉快な作品ばかりです。あと4日分。ちゃんと更新できればいいんですけれどね。大丈夫かな、きっと。
〈了〉
©甘党・KADOKAWA/となりの吸血鬼さん製作委員会