#125 いつか100%を超える瞬間

 先日ちょこっと触れた「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R”~」、観ました。時間的にはちょっとギリギリではありましたが、堪能しましたよ。
 アーカイブ視聴はZaikoを利用したのだけれど、コレ配信期間を過ぎるとリロードや画面遷移をしなくても強制的にブツ切りするんだね。余韻に浸りながら「もう一度このシーン見返そう」としたら突然「配信期間は終了しました」だって。いやまぁ、そうなんだけれどさぁ。

 5月には本公演を収録した円盤が発売されるそうで。それを待っても良かったのかもしれないが、しっかりと熱が残っているうちに、春の『リベンジ』が始まる前に、復活のライブは何としても観ておきたかった。
 ホントはアーカイブという形じゃなくて生放送、もっと言えば現地で感動を分かち合えるのが一番だったのでしょうが。Zaikoで空っぽのチャット欄が常時右側に表示されていて(正直邪魔だったのだけれど消し方が分からなかった…というか消せない?)、あぁ土曜の夜はここで皆が想いをブチまけていたのだろうなぁ、と。

 今回はコロナウイルス対策の為、観客側も静かにペンライトを振って応援。全体的に歌唱もパフォーマンスもレベルアップしていたことも相俟って、非常にフランシュシュの歌が聴きやすかった。特に『特攻DANCE ~DAWN OF THE BAD~』がね。二階堂サキ役・田野アサミがこういう状況でもよりライブを盛り上げようとハッパをかけていて、ライブに限らず毎度のことではあるけれど「あぁ、本当にリーダーなんだこの人!」と気付かされます。
 でもホントは思いっきり、全身を使って盛り上がりたかっただろうなぁ。思わず声が出てしまいそうな場面でも堪えて、ペンライトと手拍子でフランシュシュに応えていましたね。


※若干のネタバレ(?)が入っているので、弐期が始まるまで情報はシャットアウトしておくんだ! という方はこのあたりで戻った方が幸せになれると思います。一言でライブの所感を述べると、うん。よかったよ!!


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 さて、フランシュシュの活動が始まって(アニメ準拠で)3年。途中でやや停滞してしまったこともあり、まだ潤沢に曲が用意されているわけではありません。実はあるのだけれどまだ聴けていない、知らないとも言う。
 ライブ初披露の3曲を含む全13曲、しかし『リベンジ』を約1ヶ月後に控える中での「これまでのフランシュシュの集大成」がギュッと詰まっていて満足のいく内容でした。セトリはググって調べてくれ!

 今回の公演では、品川や佐賀では見られなかった演出が盛り込まれていました。後ろに設置されている階段の有効活用。星川リリィのソロからオリジナル版アレンジに移行する『To My Dearest』。途中でステージが崩落することなく歌いきった『ヨミガエレ』。
 フランシュシュもこの日をウズウズして待っていたのか、ステージ上でエネルギーを爆発させていましたね。間違いなく完成度は前の2公演よりもグンと向上していて、CD音源以上にズシンと来たものもあります。
 特にライブ初披露曲『輝いて』は振付を控えめにした分、歌に集中できていて熱かった。リーダー、感極まって涙流していたし。「『TMD』よろしくカレーメシver.に移行しちゃったりする?」とか余計なことを考える余裕はありません。やれないこともないのであれば、いつかそっちもやってくれると嬉しいけど。

 トップバッターの『佐賀事変』では何と言ってもゆうぎり役・衣川里佳のパフォーマンスに惚れ惚れ。インタビュー映像を観る限り、やはり今回のリベンジで一番喜んでいたのはこの人じゃない? 星川リリィ役・田中美海の安定感も然ることながら、水野愛役・種田梨沙は声の調子が良さそうでなにより。『アツクナレ』と続く『目覚めRETURNER→目覚めRETURNER (Electric Returner)』でよく声が通っていました。
 紺野純子ヘアー&カラーに寄せていた河瀬茉希は…ブッ飛んでいたね。「純子ちゃん!?」とビックリするほどテンションが上がっておりました。いやいや、然もありなんよ。

 目玉の新曲『夢を手に、戻れる場所もない日々を』は『リベンジ』のED曲。80~90年代の曲を聴きまくって育った身としては一周回って聴き慣れそうなサウンドです。OPは『大河よ共に泣いてくれ』というタイトルだそうで、弐期は壱期とはまた違ったカラーの曲を沢山聴けるのかな? と期待が膨らみます。

 そうそう、アイアンフリル(2018)もフランシュシュのお着替えタイムに登場してくれました。曲はもちろん『ゼリーフィッシュ』。そりゃあ弐期での関りを匂わせているのだから当然ではあるけれど、皆がちゃんと揃ってパフォーマンスを披露してくれたのが嬉しかった。ほんのり初々しさも残っていてほっこり。
 果たして弐期では新曲が用意されているのか。あるとしたらどんな曲になるかなぁ。今回出演しなくてちょっと残念だったのだけれど、旧アイアンフリルとの絡みも見てみたいぞ。


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 人並みになってしまいますが、本公演で一番グッと来たのはやはりこの曲でしょうか。
 アンコール1曲目、映像演出に合わせて観客から(必死の)手拍子。源さくら役・本渡楓による渾身の『ヨミガエレ』でスタート。相変わらず歌唱難易度の高そうな曲ですが、最後までやりきった。えーでちゃんが非常にやりきった顔をしていた。
 まさにリベンジライブの象徴であった、と今なら自信を持って言えます。この日、この場所で披露したことは、1年前に滞りなく開催されていたとすれば無かったであろう価値があるのだと感じました。

 本来、昨年の春に幕張で開催される予定だったゾンサガLIVE。
 2019年末にフランシュシュの1stアルバムがリリースされて、果たしてどんなパフォーマンスが観られるんだろうか、やはり『佐賀事変』が1曲目に来てあのコスチュームで踊ってくれるのかな?
 なんて妄想を膨らませている中、忌々しきコロナウイルスが世界中に蔓延してしまい、イベント中止のお知らせが。昨年の2月26日、いまから丁度1年前のこと。

 何となく、そうだろうなという気はしていました。今までも流行り病は何度かあったけれど、これほどの影響を及ぼしてはいなかったように思えます。これからだという時に「持っとらん」けれど、それだけにフランシュシュには「絶対無理」なんかして欲しくない。
 ファンとしても、スタッフとしてもその想いは同じだったのでしょう。
 同時に、諦めもしなかった。今は絶対無理でも、いつか蘇る日が、リベンジできる日がやって来る…そう信じ続けて、2月27日に実を結んだわけです。

 "目の前に立つ壁を ぶち壊して"

 こんな状況だから、歌詞の一言一句がより心へと突き刺さる。待ち望んでいた光景を目の当たりすることができたのです。集大成である一つの「終わり」と、ここから再び動き出していく一つの「始まり」。
 否が応でも実感せざるを得ません。『リベンジ』は、すぐそこまで近づいてきているのだと。
 それでも、やはりと言うべきか思い描いていたこと100%を出し切れたわけではない。会場は幕張メッセから府中の森芸術劇場に移行、1年ズレたこともあって色々ボツになったモノもあるようで。しかしこうした経緯があったからこそ、このライブでなければ味わうことのできなかったであろう感動が生まれたのだと思います。

 それが良いか悪いかと訊かれると難しい問題です。たらればに言及するほど不毛なものはありませんが、そりゃあ、当初の予定で恙なく開催されるのが一番に決まっています。活動が滞ったことで、失くしてしまったものは決して小さくはないのですから。だがその場合、ここまで『ヨミガエレ』の存在を大きく感じられていたかどうか。

 そもそも、天秤にかけるような話では無いのでしょう。誰にも分からない、ならば肌身で感じたことだけがリアル。残酷と理不尽を懸命に乗り越えても100%には至らないかもしれない。だけど皆が100%に近づけるための努力をここまでしてきたのだと犇々(ひしひし)と伝わってきたし、想定していた100%の枠には収まらないかけがえのない価値がそこにあった。
 画面越しではあったけれど、約2時間のステージを鑑賞して得られた感情の数々。それは確かなものでした。

 何よりリベンジライブを行えたことは、これからのフランシュシュの戦いのターニングとも、バーニングとも言えるポイントになっていくでしょう。ゾンサガ自体にしたって、世界を取り巻く情勢にしたって、これから一体どうなるか想像もつきませんが、少なくとも先へ先へと前進していくにつれて、本公演の意義はより大きくなっていくと信じています。
 新たな「始まり」の第一歩が、きっと100のパーセンテージすら突き抜けてしまえるほどの原動力へと変わっていけるほどに。


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 いやー、実感がプラスされたからすっごくわくわくする。第一話、というか第十三話? の放送開始は4月8日の木曜日、ちゃんと仏滅の日に合わせてきましたね。あっ、今期はアマプラの方が速い(15分ほど)。

 どんな物語を魅せてくれるか、どんな曲を轟かせるのか。『大河よ共に泣いてくれ』、かぁ。『徒花ネクロマンシー』が特撮モノっぽい雰囲気の曲だとしたら、こちらはどんな曲調なんだろうか。

 気になる点は次々と思い浮かんでくるけど…。願わくは、その歩みの先にある世界が、優しくて暖かなものでありますように。