#173 とはずがたりの夜(2024.05.31)

 台風第1号がやって来る、と思ったら夜中には温帯低気圧に。明日から6月で梅雨もそろそろかという季節ですが、調べてみると沖縄や奄美の梅雨入りは平年よりも10日程、昨年と比べても3日遅い感じ。
 まあ、だからといって北の方でも同じ傾向になるかと言われたらそうでもなかったりする(逆に平年よりも早かったり、むしろ南の方は早く梅雨入りしたのに北の方では結構遅めだったりもする)ので、なんにせよ近いうちに洗濯物の干し方を考える必要は出てきそうですね。

 さて、今月は「とはずがたりの夜」。実はこのタイトルで記事を上げるのは今年初。ということで珍しくテーマも用意していましてね、「チャレンジ精神」です。



映画


 この「うわそら」も7周年を迎えたことですし、昔の記事の話題関連でも引っ張り出してきましょう。投稿間隔が2週間以上空いたぐらいで喚いているの、今となっては余裕あったよなあ私って思います(笑)。あんま笑えんけどね。

  好きな漫画で『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』出してましたね。で、今劇場アニメやってますね。
 はい。行きましたよ。行きましたとも。前章後章どちらも観に行ってまいりました。

 ほい証拠。

 で、こういうものは「よもやま」でやればいいのに、とは自分でも検討したのですけれどね。こないだ『トラペジウム』の「主人公サイコパスでヤバい(笑)(意訳)」という感想がTwitterで変にウケてたのを見て、そういう風にいかにも分かりやすい言葉で片付けちゃうのはあんまり褒められたもんじゃないよね、と思いつつ、じゃあ『デデデデ』を最後まで観た上でどう書こうかと悩んだ挙句、

 なるほどね。

 という人のこと全く言えねぇ感想になってしまったので、もうここで消化します。

 連載当時の、平たく言えば3.11後の世相を原作者、浅野いにおの視点からシニカルとも、多分その手の人からは冷笑主義とも取れるように描いてるのがこの作品。直近のコロナ禍も相まって妙な生々しさが乾いてないもんね。
 なので随所随所で「うわぁ…」となりながらも、確実に変化していく情勢を横目にバカやりながら過ぎていく日常が、ふたりの主人公である門出とおんたんを中心に展開されていく。

 ちょっと驚いたのが、前章と後章の二部作で再構成された結果、「真相」が前章の段階である程度明かされているってとこ。原作を読んでいた時、「え、『デデデデ』ってそういう話なの? 」と困惑したとこ。前章を鑑賞した日のこと、おそらく原作未読であろうカップルがそのことで少しザワついていたのを覚えている。

 前後章あわせて4時間、ということで原作からはバッサリカットされた部分や、「真相」含めて時系列を前後させたところもある。まーカットした結果、「この人ら意味ありげに出てきた割には、あんまり物語に貢献なされていないな?」ってキャラクターもいたけどね。

 でで、今回、アニメ化にあたってエンディングはオリジナル(原作者監修)展開なのだが、ハッキリ言ってこれで賛否分かれないってなったらぜってー嘘だと思う。でも、いわゆるセカイ系の物語としては、これも一つの「落とし前」の付け方だよなと。
 曖昧極まりない世界そのものと、自分の近くにいる大切な人。天秤に掛けて、選ぶとしたらどちらか。そして選ぶっていうのは、そういうことだぞと。そういう意味での「なるほどね」、と後章を観終えて思ったことです。

 ででで、以上を踏まえて「チャレンジ精神が過ぎるな~ッ‼」って。だってさぁ、

  • クセの強い青年誌所載の原作(特に後章がPG12指定)

  • 劇場2部作

  • キャスト主役2人が有名人声優(幾田りら・あの)

  • 出来に関わらずやたら槍玉に挙げられやすいオリジナル展開付

 別に万人受けする作品こそが正義ではないので、上に挙げたことが全てネガティブ要素にはならないのですけれど、この条件で「ヒットさせよう!」と言われたら大分頭抱えることになりそうだなって、もし自分が企画担当だったらそう思います。『ソラニン』じゃないんだからさ。『おやすみプンプン』とか『虹ヶ原ホログラフ』とかよりは映像化のハードルは低いと思うけど、それはあくまでも相対的なお話であって。
 そりゃあ、アニメ化するって発表があった時は嬉しかったよ。でも「どうアニメ化するんだよ?」ってのは、実際こうして観るまで疑いが晴れなかった。

 あぁ、しかしこれだけは言っておきたい。ikuraちゃんとあのちゃんは良かった。最初キャストが発表された時には「えぇ?」って構えたけれど、これはまったくの無知のしるしとでも言おうか、(幼少時の時の演技はあのちゃんに軍配が上がるって感じではあったが)結構ハマってた。キャラクターのデザインがイモいのもあって、それほど乖離しているような印象を与えなかったのもあるとは思うが…

 なにはともあれ、手放しで「面白い!」と薦められる作品ではないにせよ、「凄い」作品だとは思うので、余裕のある方は鑑賞してみてはいかがでしょうか。アニメーションに関してはずば抜けて凄いって程でもないし、後章が1ヶ月公開延期してもちょっと間に合ってない感じのところもあるっちゃああったけど、基本的に原作のイメージを損なうことなく動かしてくれている。原作漫画だとちと浮いてるように見える背景(Unreal Engineで製作している)も、アニメとして観る分には気にならない。
 原作を読んでいても色々割れるとは思うが、個人的には『デデデデ』の映像作品として良いものが観れたなって所感です。

 でででで。もしこれで「興行収入爆死したんだけどー!!」とか「即サブスク落ちしたんですけどー!!」と煽られても、「はにゃにゃフワーーーッ!!」って笑って返すしかない。前者はさておき後者は…多分サブスクで観れるようにはなるんじゃねーかとは思うっす。


料理


 一方でわたくし。とある休日にて、

 牛テールと格闘していました。

 スーパーで売ってたり売ってなかったり、どちらかというと売ってないことの方が多いかな~とは思いますが、この度めでたく入手。レアな部位はついつい買ってしまいます。売れ行きによっては金輪際置かねぇってなる場合もあるしね。

 皆さんだったら牛テール、どうしますか。煮物やシチューにするとか、あるいは素材の味を活かしてテールスープにするとか。使い方はイロイロあるけれど、今回私がチャレンジするのは「テグタン」。

 焼肉店行った時のシメってどうしてます? 冷麺とか、場所によってはモツ煮込みだったりするのかな。私の場合だと、それがテグタンでございまして。頼める時はね。メニューに無かったりするからね。そういう場合は冷麺頼みます。盛岡かそうじゃないかを選べる時はじゃない方。冷麺もない場合はそもそもそういう所には行かない。

 ところが、テグタンが置いてあるからといって、それが自分の好みかどうかは別問題。いつか話したことがありましたっけ、一人焼肉した話。そこの店にもテグタンがあったので注文したのですが、これがまぁ…後悔する出来でして。
 理由は明快です。ベースがうっっっっっっすいの。味噌汁で言えば昆布出汁も鰹出汁も使わずにお湯に味噌を溶いたかのような、まるでメシマズの人が作りましたみたいな虚無さ。そこにクズ野菜が浮かんでいるんだけれど、基礎がなっちゃあいないので、野菜の味もこれまた虚無。大根とか地獄だった。トドメとばかりに、サービス精神利かせてくれたのか量がやたら多い。「地獄への道は善意で舗装されている」ってこのことなんだなぁ。

 尤も食えないわけじゃない。東中野の豚レバテキみたいに保健所案件で安全性がどうのこうのっていうわけでもない。ただ味が虚無いだけ。ええ完食しましたとも、ごちそうさま、次来る時はサイド金輪際無視で肉だけ食べることにします。肉は美味しかったし。サイドへの情熱が1カロリーも感じられんだけで。

 ともすると、焼肉店のテグタン。そもそも置いてあるかという問題に、更に「好みかどうか」という観点で絞り込みしていくと、スーパーで牛テールを見つける以上に、いや総菜コーナーのコロッケがリピートしたくなる美味しさかどうかっていうレベルで難しい議題なのかもしれません。
 ぶっちゃけ、コロッケは作る手間と難しさを取ったとしても、自分で作った方が断然いいと思いますよ。まぁコロッケに限らず、自分の好みで好きなだけ作っても誰にも咎められないのが自炊ですからね。

 基準値ですか? 最近ですと…上野に行った時かな(これもまぁタイムリーになっちゃいますが…)。行ったついでに寄った焼肉店、

 「焼肉 やまだ」ですかね。ここのテグタンは良かった。サービス旺盛なのでみんなも行こう。つってもそこまで店が広いわけじゃないので予約はしておけ。

 

 なにはともかく。牛テールでスープベースを作って、後は野菜やコチュジャンなどで深みを持たせつつ、テグタンを作っていきます。今回はご飯も投入、すなわち「テグタンクッパ」が最終形態。
 しかしテグタンのレシピというのは言うほどネットには転がっていない。パイカの塩焼きしかり、意外と集合知というのも大したことはないようで。かと言って私自身、ハッキリとしたレシピを持っているわけではないので、フィーリングで作っていくしかないのでした。

 ま、まぁ。コムタンスープのレシピもあることだし、ある程度はこっちも参考にして…。
 って感じでアレコレして、およそ半日掛けて作り上げました。頑張ったのでレシピも書いておきましょう。

フィーリングテグタンクッパ

◆材料(テグタン4人前)

牛テール 500gぐらい
人参(拍子切り) 1本
タケノコ(茹でたやつか水煮のを細切り) 150gぐらい
豆もやし(茹でるなり電子レンジでチンなりして) 1袋(200g)
ぶなしめじ(石づきを取ってほぐす) 1袋(200g)
ニラ(5cmぐらいに切る) 1束
長ネギの青くない部分(斜め薄切り) 1本分
ごま油 適量(牛テールの脂分に合わせて調整)

(スープベースで圧力鍋に掛ける用)
生姜(皮を剝いて薄切り) 1,2かけ
にんにく(叩いてつぶしたやつ) 1かけ(同量のチューブでも可)
長ネギの青い部分 1本分
酒 1カップ
水 ひたひたになるぐらい

(合わせ調味料)
コチュジャン 大さじ4 (分量の一部を味噌に置き換えてもOK)
醤油 大さじ4
酒 大さじ2
砂糖 小さじ1ぐらい
すりおろしにんにく(チューブも可) 小さじ1~2

赤唐辛子・ラー油 適量(スープをもっと赤くしたい人はお好みで)

卵 2~3個 (1人前に分けて作るなら1個)
いりごま 適量

(テグタンクッパにする際、1人前あたり)
ご飯 茶碗1杯分

(スープが足りない場合、以下の比率で注ぎ足す)
水 200ml
鶏ガラスープの素 小さじ1
コチュジャン スプーン山盛り1

①牛テールは流水で洗って血抜きしたり、茹でこぼし(15~20分程度)する。血が固まるので先に流水で洗う方がよい。
②圧力鍋に牛テール、酒1カップ、生姜、長ネギの青い部分、にんにくを入れて、ひたひたになる(電気圧力鍋であれば上限いっぱい)まで水を注ぐ。加圧して、肉が骨から外れてホロホロになるように煮る。高圧であれば40分ぐらい(それでも硬い場合は少しずつ加圧して様子を見る)。
③牛テールを取り出し、煮汁は生姜やネギなど浮いているものを取り除く。油が気になる場合は一旦冷蔵庫にいれておくと分離させやすい。
④ホロホロになった牛テールを、柔らかさに従うようにして(流れで)細かくしていく。脂部分も分けて細かくする。軟骨部分もほぐれそうならお好みで。鍋にごま油を熱し、牛テールを入れる。ごま油は大さじ1ぐらい入れればいいが、牛テールの脂が多い場合は少な目にする。
⑤牛テールに油が回ってきたら人参とたけのこを入れる。こちらも油が回ったら、さらに豆もやし、ぶなしめじを入れて炒める。
⑥野菜に火が通ったら、合わせ調味料をぶっこんで全体に馴染ませる。
⑦スープベース(③)を入れる。灰汁は適宜すくう。灰汁があまり出なくなってからフタをして15分ほど煮る。
⑧いい感じになったらニラとネギを入れる。
⑨ニラとネギに火が通ったら、味を見つつコチュジャン・赤唐辛子・ラー油を追加して調整する。クッパにする場合スープは多い方がいいので、ご飯を埋められそうになければスープを即席で作って注ぎ足す。
⑩強火にして、溶いた卵を流し入れる。固まって浮いてきたら火を止めて、フタをして少し蒸らす。
⑩クッパにする場合は丼に温かいご飯を入れて、先にスープを入れてご飯をほぐす。具の上からいりごまをかける。あれば三つ葉などをのせてもよい。

 ──って具合で、作ったのがこれ。

 見た目はそれっぽくなった。自分は大根は入れない派です。問題は味や。

 ずぞぞ。

 うん。しっかりと牛テールのベースが効いてる。いつかの焼肉店でお世話になった味と似ている。少なくとも出汁のない味噌汁ではない。具だくさんにしてよーく煮込んだおかげで味もしっかり通っているし、ボリュームも申し分ない。唐辛子マシマシにしたのもあって、辛旨に仕上がってます。

 手前味噌(コチュジャンだけに?)ではあるけれど、はじめてにしてはそれなりにやれてるんじゃないですかね。「信頼のおける焼肉店で頼んだ方がどう考えても手軽だし安上がり」だな~って結論にはなっちゃうのですけれど。
 いや、このオチは作る前から見えていたんですよ。コロッケを自炊するのは自分の好みが分かっているから。逆に言うと好みさえ合致していればスーパーで買った方が失敗しない。それと同じです。しかしその巡り合わせのなんと難しいことか。

 あと原価が高い。牛テールは安くなっているタイミング見計らって買った(それでもベストではない)のですが、4人前作ってみて、調味料などを含めて2,500円ほど。これを4で割ったところで、原価率を考慮すると2,100円ぐらいになっちゃう。高いな。これはメニューに書いたところであんまり売り上げが伸びませんわ。あー、だからテグタン置いてない焼肉店もあるんですね。納得。

 まぁ、色んな気付きを得られた実りあるクッキングでした。ゼンマイやワラビなどを入れても美味しいかもしれませんね。またいつか作るかもしれません。その時に牛テール、置いてあればいいけれどね。


 こんな感じに5月も終了。来月はどんな出来事が待っていますかね。空模様は雨でも、できれば晴れ晴れとしたイイ事がありますように。

 おしまい。

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