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機械仕掛けの脳は迫り来る黄昏に

私はどんな臓器でも創ることができる。
機械の目、耳、心臓、肺…。
本物より品質のいい物を、が私のモットーだ。

その客は若い母親だった。抱き抱えられ眠る赤ん坊には眉毛から上が、人を人足らしめる大脳が存在しなかった。

子供に脳を造ってほしい。
そのような依頼だった。

私はすぐ制作に励んだ。しかしヒトの脳は多機能な精密機械だ、どうしても幼い頭蓋骨には収まりきらない。だので外付けにした。受信機だけ頭蓋骨の中に収納し、外部の機械脳から電波を出し身体を操作する仕組みだ。

問題は外部に露出する機械の脳。無機質なのはつまらない。そうだ、動物の形にしよう。
タツノオトシゴ?イルカ?そうだ、フクロウとかどうだろう。

こうして完成した少年は、常にフクロウを肩に留まっている事以外普通の子供だった。臓器の性能で差別されることのない、未来世代の子供だった。



さて、私が違和感に気づいたのは彼が5歳の誕生日を迎えた時のことだった。
【続く】

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