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映画、あるいは多様性について

映画、この世の数あるエンタメの中では割と好きなジャンルである。少なくとも朝のニュースよりは前向きに観ている。
映画の何が好きかというと、感じ方が人によって違うところだ。森羅万象「感じ方は人それぞれ」なことは重々承知だが、こと映画に関しては、一部の爆発的なヒット作品を除くと、ありとあらゆるジャンルがあり、ありとあらゆるファンがいて、ありとあらゆる良さがある。ストーリー展開を楽しむ、登場人物への強い共感による感情の起伏を楽しむ、好きな俳優や女優を見て楽しむなど、ちょっと考えるだけで多岐にわたる楽しみ方がある。面白いかどうか、好きかどうかが、多岐にわたるエンタメ分野でも特に人それぞれ感が強いので、「これが面白い!」と大声で言いやすいジャンルだと思う。
映画に限らずそうではないか……というご指摘については、いったんここで耳をふさがせていただく(私個人が映画に対して特にそう思うというお話である)。

そんなわけで、今日は個人的に好きなサスペンス映画について語る。

■少年の君(中国、2019)
激しいイジメに遭っている女子中学生と、彼女がふとしたきっかけで助けた不良少年の、純粋すぎて哀しい関係のお話。

サスペンスというよりヒューマン系かも。私は、しゃくりあげる振動が隣の人に伝わっていそうで怖くなるくらい、ボロボロに泣いた。

いじめ、ストリートチルドレン、受験戦争、中国では日本よりも深刻な社会問題がダイレクトに盛り込まれた作品。時間軸が錯綜するので、ストーリーはちょっと頭使わないと入ってこないんだけど、頭で理解するというより、感情に直接ぶっ刺さしてくる感じで、考えなくてもなんかわかるというか……、この理解のさせ方(あえて「させ方」と書こう)はお見事だった。言葉はないのに、カメラワーク、音楽、役者の表情、いろんな形で刺しにくるし、まんまと刺さる。
世界に二人しかいないみたいなつながりの強さ、美しさに、まるで撃たれたみたいな衝撃を受けた。

映画の面白さって40%くらい「どう終わるか」が決めてると思ってるんだけど、かなりきっちり描いてくれる、かゆいところまで手が届くタイプのラスト。私はすごく救われたので、ありがとうと思った。想いあうことの美しさに心打たれる非常に良い映画。

■オールドボーイ(韓国、2003)

「少年の君」は恋愛要素が強いが、こちらはとにかく「ヴァイオレンスが強い」。
そもそも韓国映画って、男がボコボコになるのはもちろんだが、女の扱いがことごとくエグイ。女が暴力によってボロボロになる映画って少ないような気がする。女と暴力といえば性に関わるものになりがちだが、髪の毛引っ掴んで引っ張り回されるとか、殴られっぷりとかがもはやアッパレという感じなのだ。SAWシリーズみたいなグロさというより、振るわれる暴力自体はシンプルなのだが、精神的な暗さを交えているので、ダイレクトに来る感覚といえば伝わるだろうか。韓国映画の味は、ストーリーの面白さと、こうしたえげつなさにあると思っている。

オールドボーイは、そんな韓国映画の「えげつなさ部門」では個人的に断トツ1位の映画。

平凡な生活を送っていた主人公は、ある日突然拉致され、謎の部屋に監禁された。その歳月、なんと15年。ある日突然解放された主人公は、復讐のため、監禁した人物や目的を明らかにすべく奔走し、徐々に真実が明らかになっていくが……みたいな話。

ストーリーとして、次から次へと明らかになっていく事実や仕掛けにも驚かされるし、横スクロールのアクションシーンも圧巻。また、「監禁した人物」の狂気的な想いの強さに恐怖すら覚える。この相手役がとにかく頭がおかしくて、仕掛けてる数々の罠もおぞましさマックス。人間が思いついた話とは思えない(誉め言葉)。

それなりに胸糞だけど、刺激的な映画が見たいならぜひ。練りに練られた狂気のグロをお楽しみいただける。

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はじめてきちんと映画の感想を書いたが、面白さや受けた衝撃を客観的に文字で伝えるのが思っていたよりかなり難しくて、悔しい。けど、映画に限らず、おススメを人に伝えていきたいというのは自分の根底にあるので、めげずに今後も書いていこうと思う(特に意味のない自戒)。


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