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別冊宝島のこと

YouTube「『博士の異常な対談』【月イチ博士と町山】8月号第7話」を見ていたら、パンチラ写真やパチンコ雑誌で名を馳せた末井昭氏の話題と共に、「別冊宝島 おたくの本」が町山智浩さんの口から紹介されていた。

平成元年12月に出された「おたくの本」

別冊宝島…。僕らの「シン・岩波新書」だ。昭和の終わり頃から、平成の前半あたりまでは最強の入門ムックであった。RCサクセションやYMO、ビートたけしなどのロングインタビューが売りの雑誌「宝島」を販売しているJICC出版(後の「宝島社」)が出す初心者向けムックだからつまらないはずがない。そして、超初心者にも分かりやすい書き振りであったし。

当時、ある分野の手軽な入門書といえば、岩波新書か講談社新書くらいしかなかった。雑誌「宝島」の巻末には「別冊」の紹介があり、先ず手にしたのは文体やレトリックの本であった。昭和58年に小学校の教員として就職したが、「自分らしい文体」というのがなかなか見つからなかった。教員は学級通信を始めとして、通知表所見や研修会に持参するレポート、保護者との連絡帳を通じた情報交換等、文章を書く機会が想像以上に多い。他人からの借り物でない、自分の文体を創作していきたかったのだ。勿論、昭和の終わりだから、ほぼ手書きである。東芝や富士通製のワープロ専用機がぽつぽつと売られ始めてはいたが、1台が30万円以上もする頃で新人に毛が生えた程度の私には払える額ではなかった。また、昭和の終わりに花開いた嵐山光三郎や椎名誠らの昭和軽薄体にも興味があったからだ。

とってもお世話になって文体関係の本

「別冊宝島」は兎に角、対象にストレートで、読み易かった。短文中心で、面倒臭い比喩をはらんだりしていなかったから。そして、他社の新書と比べると、本の大きさゆえか、写真や図解が多く、読んでいてビジュアル的に理解できたのだ。大雑把に言うと、第1巻から80巻台半ばくらいまでは昭和の時代に発行されたもので、特にこの辺りは独身だった私を虜にした。金銭的に全て買うわけにはいかないから、文体論、精神世界論、韓国語、学校論を中心に精選して購入し、確実に私の血や肉となった。その後、別冊はプロレスや性風俗、パソコンまでに守備範囲を広げていったことは皆様もご存知のことと思う。

小学生の頃の「少年マガジン」誌連載の「〇〇の不思議50シリーズ」(宇宙や海、恐竜などがテーマとなって、ミニコラム的に50個の解説があった)、中高生の頃に聞いたラジオDJのおしゃべり、そして、この別冊宝島が私の脳をがっちりと構築しているのは間違いないようだ。
(*´∀`)♪

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