見出し画像

「ディープシーク」ショックは,令和の「スプートニク・ショック」だ


中国の人工知能企業「ディープシーク」が公開したAI技術が世界に衝撃を与えた。それは,GPT4やジェミニ・ウルトラと比べると桁違いに安い開発費で,アメリカ主要企業のAIの性能を上回ったとされたからだ。

1月27日のニューヨーク株式市場では,AI分野でのアメリカの優位性が崩れたと,半導体界の雄エヌビディアは前の週から17%の暴落,ハイテク株中心のナスダックや東京市場もがくんと急落させた。私も社会勉強のために、昨年8月にエヌビディア株を10株だけ取得し,300ドル近くの利益を出していたものの,一晩で(←ニューヨーク株式市場が動いているのは,大半の日本人が眠っている時間帯)振り出しの、損益ゼロに戻ってしまった…。
(>_<)

エヌビディア株を119ドル/株で購入したので、利益が一時ゼロに…

中国政府は経済専門家との座談会を積極的に開き、ベンチャー企業家もそれに出席している。それまでアメリカ留学などの経験のない,「純国産(!)」の若き中国人ベンチャー企業家が中国の大学や研究機関と連携して,技術開発を進めているとされる。どの程度,データセンター等のインフラを整備できるのか,今後,AIがどんな学習方法を獲得できるのかなど,不確実なものもあるが、世界第2位の超大国となった中国のこの技術は,西側諸国にとっては大きな脅威であることは間違いない。


世界初の人工衛星スプートニク号

それで思い出されるのが,「スプートニク・ショック」である。そう,アメリカとソビエト連邦とが冷戦下でしのぎ を削って宇宙開発を進めていた1957年10月にソビエト連邦が,ミサイル開発のリーダーを自認していたアメリカに先んじて,人工衛星スプートニクを地球周回軌道に乗せた出来事である。ソ連の科学技術を見くびっていたアメリカや西側諸国は強い危機意識を抱いた。アメリカはNASA(アメリカ航空宇宙局)設立や研究機関でのコンピュータ導入,科学研究に対する金銭的な支援を急ピッチで進めることとなる。

私が生まれる前の事件であるが,私のひと世代上の人々には大きな衝撃と受け止められた。そして,私は教育学部に通っていたため,「教育原理」等の講義で「スプートニク・ショック」という言葉が何度も何度もたたき込まれた。単に軍事力や科学技術の問題でなく,国民が受ける教育全般の底上げと,質的な改善を図る必要があるということである。日本でも学習指導要領(←学校教育の基本方針)の改訂で,授業時数が大幅に増えたり(いわゆる「詰め込み教育」),理数教育の構造的な改革が行われたりと少なくない影響を与えたのである。

それにつけても,早いところ,エヌビディアの株価が元の水準に戻って欲しい…。
(T ^ T)


追記(2月4日)
翌週となりました。エヌビディアは回復どころか,完全に元本割れです…。
ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!



いいなと思ったら応援しよう!