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「世界は一家、人類は皆兄弟」

言わずと知れた笹川良一氏の言葉である。日本船舶振興会(現・日本財団)の元会長にして、右翼の大物とされる。還暦過ぎの私くらいの年代では、「♩ 戸締り用心、火の用心〜」や「お年寄りを大切に」などを訴える日本船舶振興会のテレビCMが沢山流れていたことを覚えているはずだ。

安倍元総理銃撃事件に関連して、旧統一教会と自民党等の議員とのずぶずぶな関係が連日報じられらようになった。その話題の中で、統一教会の創始者・文鮮明氏と笹川良一氏との暗躍ぶりにも注目が集まっている。また、統一教会は、現在、文化庁のお墨付きを得て「世界平和統一家庭連合」と名称を変更している。当時の文科大臣・下村博文氏は、改称は部下がやったことと、今のところ、自らの責任は認めていない。

ここまでに登場した「家庭」「一家」「兄弟」という言葉に、私はいかがわしさしか感じない。本当の家庭で家族間の愛情について言及するのなら、それはそれでいいのだが、家族でもない間柄で、家族や兄弟を強調することは、「世界の支配」「反多様性」にしか感じられない。それぞれの個性が尊重されなければならないのに、それを無視して何らかの思想で束ねてしまおうとしている。つまり、人々に軛(くびき)を掛けているのだ。

この話になると、私は三原じゅん子議員がのたまった「八紘一宇(はっこういちう)」という言葉を想起してしまう。今から7年前の参院予算委員会で発されたものだ。ひどく時代がかった用語を使うなぁと、私は思ったものである。三原じゅん子議員は、「国際秩序は弱肉強食ではなく、人類全て一家のように経済活動をすべし」という意図で話したようである。ただし、「八紘一宇」は神武天皇がそのオリジナルとされ、元々は「全ての方角の人々をまとめ、一つの屋根を架ける」という意味である。一昔前のフジの人気ドラマ「ひとつ屋根の下」のような意味である。しかし、この言葉は日本が海外に侵攻する際に使われることが多く、徐々に軍国主義、植民地主義の意味合いを持つこととなった。

画像の十銭紙幣(←20年くらい前、地元の中合百貨店の骨董市にて250円で購入)の左側にあるのが、「八紘一宇の塔」。皇紀2600年(昭和15年)を記念して、宮崎市に建立されたものだ。現在は、平和台公園の「平和の塔」と呼ばれている(苦笑)。だから、「家庭」や「兄弟」が声高に叫ばれると、うさん臭いと思ってしまうのだよ…。「こども庁」が「こども家庭庁」になったのも根っこが一緒だと思うな。
(T ^ T)

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