みうらじゅんフェスのこと 〜この収集魔・分類魔は牧野富太郎だ!〜
9月23日から、仙台市で「みうらじゅんフェス」が開かれていることをSNSで知りましました。
みうらじゅんさんを積極的に追い掛けたことはなかったのですが、いつも気になる存在でした。学生時代、就職した頃のJICC出版「宝島」でお名前をよく見掛けしていたし、
講談社「見ぐるしいほど愛されたい」(昭和61年刊)を手にしたことで、私の心の奥底にみうらさんが潜むことになりました。熱狂的なファンではなく、ずっと「平熱的なファン」です。みうらじゅんさんが「タモリ倶楽部」に出ていれば見る、雑誌に載っていれば読む、…、そんな程度でした。最近では、水道橋博士とのYouTube対談で、自分の老いを笑いにしていたことに非常に好感を持ちました。「老い」の大先輩だと。
仙台市での開催なら向かえます。私が住む福島市から新幹線で30分、各駅停車で1時間半です。定年退職をした今なら時間がたっぷりあるので、10月3日に各駅停車の東北本線で向かいました。それも、白石駅での乗り換え付きで。笑 10月3日は、会場から少し離れた東北電力ホールで「みうらじゅんといとうせいこうトークショー」が開催されるので、もしかしたら、会場にお2人が訪れるかも…との甘い予感もあったからです。
会場は、仙台駅東口から歩いて3分ほどの東北福祉大学の東口キャンパスのTFUギャラリーで開かれていました。正直なところ、サブカルなアーチストの作品が狭い部屋にぱらぱらと展示されているのだろうと思っていました。ところが、いい意味で裏切られました。そして、近作の「無意識スクラップ」以外は撮影OKというところも好感度マックスです。
フェスのサイトには、「1万点以上の展示物(メンバー)」とありましたが、これが本物! 水道橋博士や町山智浩さんが中学時代の生徒手帳を保管していることが、少し前に話題になりましたが、みうらさんもその系統でした。幼稚園児の頃の「くじらの絵」「ケロリ新聞」から始まって、膨大な量のみうらさんの資料に圧倒されました。早い話が、「よく、こんなのを取って置いたなぁ!」「どうかしています…」です。本人だけでなく、ご家族の尽力もあったことでしょう。
MJ(みうらじゅんさんの愛称)の生きてきた60年間がありありと見える展覧会でした。自作の新聞、寺社見聞記、自作の音楽、漫画、イラスト、そして、数々のコレクションに言葉を失いました。栓抜き、灰皿、和人形、EPレコード、ヌードトランプ、全国のゆるキャラ、天狗、絵葉書、飛び出すな坊やなどです。みうらじゅんさんの素晴らしいのは、集めただけでなく、彼なりの分類を行っている点が特筆ものです。みうらさんは、単なるコレクターではなく、「分類師」なのです。金持ちが金に飽かせて物品を集めている例はありますが、MJのものは彼の感性で、種や属にしっかりと分類されており、まるで牧野富太郎のようです。
フェスは1階のギャラリーだけでなく、階段を上がった2階にも続き、みうらさんの「コロナ絵」が展示されていました。
兎に角、展示されている一つ一つが濃く、私は見るのに3時間掛かりました。もうこれは、私にとっての「万国博覧会」と感じました。
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