【読書】競争と公平感―市場経済の本当のメリット
日本を代表する経済学者かつ大阪大学大学院経済学研究科教授である大竹 文雄さんの本。専門は労働経済学、行動経済学。市場競争とは何か、どういう時に公平だと感じるのか、身近な事例を扱い多くの示唆を与えてくれる一冊。
超ざっくり
本の内容はこんな感じ。
・日本人が競争嫌いの考察
・モノの見方によって公平さの感じ方も変わる
・働きやすさとは何か
読むきっかけ、期待
Q1. なぜ、この本を読もうと思ったのか?
A1. ATSUがオススメしてた。経済学に興味があった。
Q2. この本から何を得たいか?
A2. 競争が公平感に与える影響。
Q3. 読んだ後、どういう状態になりたいのか/したいのか
A3. 新しいモノの見方を得たい。
Point①市場競争に対する拒否反応
「日本では資本主義の国であるにもかかわらず、市場競争に対する拒否反応が強いのである」
市場競争が「運・コネ」ではなく、「勤勉さ・能力」が評価されるのであれば、これは公平と言えるのではないか。
しかし日本人はこれを信頼していない。
不況は、その様な考え方になった一因と言われている。「運・コネ」を活用できた人が上手く成功していた。それらを含んだ競争で負けた人々には不平等感が生まれる。結局は「運・コネ」が大事と考えてしまう。(自分も確実になる。)政府による、所得再分配があるが、そもそも政府をあまり信頼していない。
運・コネで決まる社会が悪いと思うのであれば、それらを最小化する競争社会は公平な社会ではないのだろうか。
「市場競争=弱肉強食」のようなネガティブのイメージだけではない。
Point②人生の成功要因
「アメリカ人が重要だと考えているのは努力、学歴、才能の順番であるのに対し、日本人は努力、運、学歴の順番である」2005年のデータ
ここでの注目は、「運」が2番目に挙げられていることである。これもPoint①と同様に「不況」がこれに関係していると筆者は述べている。
不況後つまり西暦2000年ぐらいから、風水や占いが日常的にテレビで流れていたことも理解できる。
上司のなかに、コネを大事とする人もいれば、競争を大事とする人もいる。
Point③平等は生まれながらに持つ価値観か
「利己主義か平等主義かという価値観は、教育や家庭環境によって形成されていく」と研究結果から示されている。
兄弟姉妹の有無でも、それら価値観に影響する。この価値観というものは、後天的に決まるものである。
・幼い頃は、自分が得すれば良い利己主義だった
・現在では、自分だけではなく周りにも分ける平等主義になった
これは、家庭や学校の教育などに基づく経験の結果である。
このほかにも、さまざまな認知能力・非認知能力の発達には感受性期が存在するため、就学前教育が価値観や収入にもたらす影響について(神経経済学)も述べている。また、経済学のモデルに心理学的に観察された事実を取り入れた行動経済学についても述べられている。
就学前教育が影響しているとしても、未来を変えたい。
言い訳にはしたくない。
次の一歩
✔︎ 行動経済学の本を読む。
✔︎ 経済や金融の基本的な知識をつける。
経済学や金融を知らなすぎていると感じた。日本社会の仕組みと雇用については就活前に徹底的に勉強する!でも、本当はどちらかというと行動経済学の方が読みたい!
まとめ
経済的なモノの見方の重要性。考えさせる様な内容が多く、読み進めるにつれて興味深かった。様々なの示唆があり、読んでから「考える」ことを頻繁に行った。政治で誰を選ぶか考える前に、その政策が与える真の影響をより注意深く考えていきたくなった。疲れた。
詳細情報
タイトル:競争と公平感―市場経済の本当のメリット
著者 :大竹 文雄
出版社 :中央公論新社
ページ数 : 245ページ