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【最新中世欧州料理試作】2024.11/マルメロのマーマレード

昨年から過去試作した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介する「中世欧州料理試作」シリーズを展開していますが、加えて最新の試作報告もこちらに記載しております。
時間の合間にれっつらクッキング♪しているので不定期ではありますが、忘備録も兼ねております故、なまぬるーい目でご笑覧頂けますと幸いです。


秋の数週間だけ入手することができる期間限定の果物「マルメロ(Quince)」をご存じでしょうか?姿形がめっちゃ似ている「かりん(花梨)」だったら知ってるよー♪という方は多いかもしれないです。かりんとマルメロは激似ではあるものの、種類としては全然ちがうシロモノとなります。

マルメロ。見つけ次第即確保しています(燃)

かりんとの見分け方は、ネットで検索ポチすればだいたい出てくるのでここでは説明を割愛します(説明雑)。今回は14世紀末フランスの家政指南書「メナジェ・ド・パリ(Le Ménagier de Paris)」より、マルメロのジャムのようなもの?を試作検証していきます。
…名称はジャム?まーまーれーど?なんですけどねぇ。

■材料

※試作検証目的のため、具体的な分量は割愛します
・マルメロ
・ハチミツ(大量)
・水
・赤ワイン
・冬の魔除け(温)の混合スパイス
・自身の気合い(いつでも大事)

冬の魔除け(温)の混合スパイスというのは、自分で調合したものにはなりますが、現代でもよく使う「温まるスパイス(ジンジャー・クローブ・シナモンまたはナツメグ)」のことをさします。これから日本各地でも爆誕するであろうクリスマスマーケットでもポカポカあったかなスパイスワインにも必要不可欠な食材ですしね。

■作り方(ざっくり)

1)マルメロはうぶ毛をとって水洗いし、4つ分の縦割りにして中心の芯をとります(とらなくてもいい説あり)。さらに輪切りにしておきます。

2)鍋に赤ワインと同量の水を加えて煮立たせ、切ったマルメロを加えてやわらかくなるまで弱火で煮込みます。

3)火を止めてあら熱をとり、漉します。漉した液を鍋に戻しておきます。「温」の混合スパイスを加えて軽く混ぜ合わせておきます。
※漉して残った果実はこれ以降使いませんが、別途砂糖などと水を加えて現代版のジャムにしてもいいかもです。

4)別の小鍋にハチミツを入れてとろ火で温めておきます。少し濃くなるまで温めるとよりOK。

5)漉したマルメロ液が入った鍋に温めたハチミツを入れて弱火で混ぜ合わせながら煮込んでいきます。もったりとした感じになったら火を止め、まとまるまで混ぜ続けます。

6)クッキングシートなどに広げてあら熱をとります。常温でもじゅうぶん固まるのでそのまま放置してOK。固まったら適当な大きさにきって食卓にすすめます。

煮込む時間がけっこうかかるので、調理時間には余裕をもって頂いた方がいいかなと思います。赤ワインは安価なものでじゅーぶんです。中世ヨーロッパ料理には赤ワインはホント欠かせないんですよネ。

■食感は「固めのゼリー」です

できあがり写真はコチラ

どこがージャム―?!(叫)ってぐらい、しっかり固まってくれました。しかもぷにぷにゼリーじゃなくて、ハードグミみたいな感じのアレ。常温でも固まる、と作り方に書いたんですが、これはマルメロに含まれる「ペクチン」の含有量が理由かなと思います。
ゼラチンなどもそうですが、熱が放出されると固まるペクチンが特にマルメロは含まれている量が多いです。現代版ジャムとかも、けっこうしっかり固まるっぽいので、まぁそういうことなのかなと。

あと似てるなぁー、と感じたのがトルコの伝統菓子「ロクム」というオサレなスイーツ。現代のロクムは200年ほど前にできたっぽいんですが、大元となる種類はもう少し古い1600年代かも?ともされています。直接の関連性はないとは思うんですが、食感とかがなんとなく似ているような気がしました。

トルコの伝統菓子「ロクム(左)」。トルココーヒーと一緒に頂くのがポピュラー

このマルメロのゼリーの跡継ぎであろうものがスペインの「メンブリーリョ」、フランスの「パット・ドゥ・フリュイ」というお菓子。赤ワインを使わず、ハチミツから砂糖に、マルメロからかりんに材料が変わったぐらいであとはあまり作り方は変わってないです。もちろん、現代版の方が美味しいと思いますので、お見かけする機会があればぜひ試してみて下さい。自分も見つけたら頂きたいです(食い気)。

■味は「かりん飴」です

そのまんまです(笑)。
薬局とかスーパーに置いてある「かりん飴」ハチミツ入りのアレ。味はほぼそれです。ハチミツと温めるスパイスを含んでいるので、コレってば秋から冬にかけてけっこう身体にいい甘味なんでないの?って思いました。

あとクセ強のチーズと一緒に食べるとめっちゃくちゃ美味しいです。ブルーチーズ買っちゃったぐらいでしてコレ(笑)。ずっと置いておくといたんでくるので、やはりお早目に召し上がって頂くのがよきっすね。

中世ヨーロッパでは「身体から魔を退かせる食材」というのがとても重宝されました。寒くなる冬の時期は、今と違ってそう容易に食材を入手できる環境ではなかったため、健康を維持するためにさまざまな料理や甘味を作っていたと思います。
いつの世も自分の身は自分で守るべしってことなんでしょうね。ホント勉強になるものでございます。


最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


■中世ヨーロッパなお料理や民俗文化ネタつぶやきについて

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