【中世欧州料理試作】(6)ミンスパイ
このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。
ながーい歴史をもつクリスマスお菓子のド定番
ミンスパイ(Mince Pie)は、りんごやオレンジ、ドライフルーツなどを混ぜ合わせた具材にスパイスやラム酒などのお酒を加え、パイ生地に流し込んで焼き上げるという、イギリスのクリスマススイーツです。具材(以下フィリング)はただ混ぜ混ぜしたものでもいいんですが、1~2カ月ほどお酒に漬けこむととても甘く豊潤な味わいになるため、手作りしているご家庭では概ね11月下旬頃からフィリングの仕込みを始めることが多いようです。
現在は甘々な食材が主流となっていますが、元々は炒めたひき肉とラード(獣脂)を加えて漬け込むという、どちらかというとお肉料理に近い部類に入ります。フルーツと肉の混ぜ合わせた、酢豚みたいな感覚です(雑例題)。中世イングランドでもこの肉を混ぜ込む古のスタイルとしてレシピがいくつか残っております。現在でもお肉入りで作っているご家庭は少なからずあるようですね。
中世版フィリングに使う食材
自分は基本的に中世寄りのクリスマス装飾やれお料理を作るので、毎年ミンスパイもフィリングを一から仕込んでいます。もち豚肉入り(ガッツポーズ)。
お肉の種類は、豚ひき肉の粗挽きと普段挽き(というの?)をミックスして使うようにしています。牛との合いびきでもいいんですが、このあたりは好みでいいんじゃないかと思います。
また「固形の動物性油脂」を加えるのも忘れずに行います。牛脂はスーパーのお肉コーナーにあるので、ひき肉を買う時に一緒にゲットしてもいいかもですね。
で、下ごしらえとして「しっかり炒める」作業が必須となります。お肉は生で使うのは中世当時もご法度だったので、ご面倒でも必ず中まで火を通すことが鉄則となります(おなか壊したくないし…)。いかにお酒に漬け込むとはいえ、そのあたりは徹底してやらないといけません。
他に混ぜ込む食材としては、以下のものを使っています。
・カラントレーズン(ヨーロッパで古くから使われているこぶりな干し葡萄)
・ドライフルーツ各種(甘味多めにしたいので、デーツといちじくを使用)
・木の実(くるみとアーモンドを粗くつぶしたもの)
・家に余っていたふつーのレーズン
・混合粉スパイス(ジンジャー・クローブ・シナモン・カルダモン)
・ちょっとだけハチミツ
漬け込むお酒ですが、一般的にはラム酒かブランデーあたりを使うのが一般的とされていまして、日本で紹介されているレシピもだいたい同じものを使っています。
で、こちらは何を使うのかというとハチミツからできた「蜂蜜酒(ミード)」を使用します。中世版ミンスパイフィリングでは砂糖を使わず、ハチミツもほんの少しだけ使うので、ド級に甘い種類をチョイスするが吉ですね。
ミード自体は元々海外でよく飲まれていまして、日本に入り始めたのは比較的最近のこととなります。ここ数年でミードを取り扱う業者さんも増えたのと、国産ミードの提供ができるようになったこともあり、じわりじわりと知名度は上がっりつつあります。
どーしても某RPGゲームに出てくる架空のお酒という認識をお持ちの方が多いんですが、実物あるんで!ぜひ飲める方はお試し頂ければ!
パイとしての焼成はクリスマスイブ直前に
とにかくフィリングづくりに時間がかかるとはいえ、いい感じで熟成していると頑張った感があります(個人的感想)。で、実際にパイに包んで焼き上げるのはクリスマスイブの直前、だいたい冬至をすぎたあたりで一気に焼きます。
「パイ」と謳ってはいますが、実際使うのはタルト生地です。冷凍パイ生地を使う方もいらっしゃるんですが、中世版ミンスパイの場合はラードや牛脂が入っているので、美味かもですが、多少食感がアブーラ♪っぽくなるかもしれません。できればタルト生地を使った方がいいかなと思います。
焼き上げたら熱々を頂くのではなくて、しっかりと冷やしてから食卓にすすめます。というのも、中世のタルト全般に言えることなんですが、比較的低い温度で時間をかけて焼くので、焼きあがった時のあっちっちが半端ないんです(多分やけどする)。
昔は冷蔵庫とかはなかったので、あら熱がとれたらお外に出して冷やしていたのかもしれないですね。天然の冷蔵庫っぽくてよき。
そんなこんなでただいま熟成中です
実際に焼き上がりができましたらまた追ってご紹介したいと思います。
最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。
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