【中世欧州料理試作】(19)ストロベリーポタージュ
このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。
■甘いポタージュ
前回に引き続きいちごを使った中世料理のご紹介となります。
「ポタージュ」という言葉を聞くと、生クリームたっぷりのコーンポタージュなどをポンっと思い出す方が多いと思いますが、ぶっちゃけ自分もそうです(冬は特にオイシイ)。単純に考えるとそのいちごバージョン?甘い?と首傾げになりますが、昔のポタージュの概念はちょっとばかし違います。
元々ポタージュは「とろみのあるもの(または濃い煮汁)」という意味を持ち、トロトロした感じの液体は概ねポタージュの種類に入っていたとされます。今回取り上げるいちごのポタージュも基本的にはとろっとしたものなのでそう呼ばれています。
中世ヨーロッパにおいてとろみを伴うスープ状のものは、大方「パン屑」を加えてもったりした感じにしていました。飲むというよりどちらかというとすくって食べる?といった具合でしょうか。
■ざっくり材料&ざっくり作り方
では、毎度恒例の食材+作り方ざっくり紹介を抜粋します。分量とかの仔細は拙著同人誌「中世ヨーロッパ料理アレンジおまとめ集」をご参照下さいませ。
■「アレ」に似てるんです。
要は牛乳と潰したいちごにパン屑(またはプレーンクッキー)を加えてまぜまぜするだけなんですが、食感が現代の「アレ」に似てるんです、アレ。
こちらのスイーツは現代ならではのペクチンを使ったりしているので、よりプルプルとろみ感がたっぷりなんですが、よくよく考えたらこのスイーツって作り方は牛乳と液体まぜまぜするだけでできあがりですよね。
まー、初めて試作した時の衝撃さよコレ。実際、普段から大好きなものでけっこうまとめ買いするんで、こうも似たものかー!と謎の感動さえありました(笑)。
当時のレシピでは砂糖などの甘味料は使っていないので、正直なところそう甘くはないです。もし試作再現で作られる場合は、おこのみで入れてもいいやもしれないですね。
■パン屑は大事な食材。
このポタージュで使う食材の中に「パン屑」というのがございます。これが中世ヨーロッパ料理においてはとても大事な食材のひとつだったんです。
現代のように片栗粉やゼラチン、ペクチンといったとろみをつけるものは当時なかったのですが、このパン屑を使ってとろみを出す料理は意外と多く残っています。特に肉料理や魚料理にディップする「ソース」にはよく用いられていたようです。パンを切った時の屑とはいえ、当時の料理人はめっちゃ大事に使っていたことがうかがえます。
そのパン屑なのですが、もし再現トライされる際に気をつけてほしいのが「日本のパン粉とは違う」ということ。すごーーーくたまにおられるのですが、日本のパン粉はPankoなんで、パンを切り取った時に出てくるパン屑とは種類が全然違います。
なもんで、ご面倒ではあるんですがパンを切り取った時のパン屑を乾燥させて使うか、カッチカチになった硬めのパンをゴリゴリとすりおろすなどをしてお使い頂ければと思います。
海外の歴史料理レシピ本には「bread crumbs」という名称で書かれていることがありますが、これを日本のパン粉という認識で作るとだいぶ違う完成品ができますので、くれぐれもご注意下さいませ。
最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。
■中世ヨーロッパなお料理や民俗文化ネタつぶやきについて
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