ぽぽら春日部モヤモヤカフェ(2022年9月)
9月17日(土)に、西金野井の新興住宅地の一角にある習字教室『ねね』で、モヤモヤカフェを出張開催しました!
今回モヤモヤカフェを開催させてもらったスペースは、ゲストととして話もしてもらった細谷ちさ代さんが運営する習字教室です。重厚な造りのちょっと昭和な日本家屋をリノベーションしたお部屋は雰囲気満点で、縁側から見えるお庭もホントに広い! 墨の匂いとともに不思議と懐かしさを感じてしまう空間で、ゲストの皆さんの話に耳を傾けました。
また、今回は終了後に参加者の皆さんと一緒にボードゲームの「コミュニティ・コーピング」を楽しみました。超高齢化社会の地域を舞台に皆で協力しながら地域崩壊を防ぐボードゲームで、遊びながら地域の問題に目を向け、会話をしながらいろんな気づきが得ていきます。当日は認定ファシリテーターの舟橋裕二さんの進行で、笑いと悲鳴の入り混じった濃密な時間を過ごしました(笑)
今回も一部ではありますが、当日のゲストのお話しをご紹介しますので、最後までぜひお楽しみください。温かいものが美味しい季節になりました、ホットな飲み物を片手にそれぞれの物語をお楽しみください!
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『子どもたちが教えてくれた習字教室でやりたいこと』
1.“居場所づくり”モヤモヤ
【モヤ友】細谷ちさ代さん(習字教室『ねね』代表)
習字教室『ねね』の西金野井教室があるこの場所は元々私のおじの家でした。藤塚にある弟の家の2階でも習字教室をやっているのですが、何年も前から駐車場のある場所で(習字教室を)やりたいと考えていました。そんななかでおじが亡くなり、この家が空き家として売りに出されるということを知って、「それならば」と譲ってもらうことにしました。この場所は元々林の中の何もないところだったので、最初はそんなところで習字教室はできないから買うのはイヤだという話をしていました。ところが、実際に来てみたら新興住宅地になっていて、子どもたちも住んでいそうなので、「藤塚以外でも習字教室をやってみよう!」とこの家を使わせてもらうことにしました。
墨をこぼしてもいいように二部屋あった和室をフローリングにしたり、空き家をリフォームしていきました。習字教室だけではなく“スペース”として地域の人たちにも利用してもらえるような場所になったらいいなと思っていて、ワークショップをしたりして、地域の人が集う場にしたいと考えていたらコロナが流行してしまいました。。
この家を手に入れるまではサラリーマンと習字教室の二刀流の生活をしていました。フルタイムで働きながら、それでいて習字教室も中途半端にできないので、13年ぐらいずっと自分に対して厳しい生活をしてきました。子どもたちは日々大きくなっていきますし、その子にとっての1年生は1回しかこないと思うと、毎回の教室も充実させなければと自分にストレスをかけていました。おかげさまで子どもたちも良い子に育ち、大学生や社会人になる子も出てきてきたので、一生懸命やってきて良かったと思っています。ただ、仕事と習字教室の両立が辛くてコロナ禍を機に仕事は辞めました。子どもたちが成長するにつれて進路のことや、就職のことを色々と相談してくるようになりました。親や兄弟には話せないけど、「先生だったらただ(話を)聞いてくれるからいいや」という感じです。そういうこともあって、習字教室のこの場をうまく利用して『子どもたちが出ていっても、また戻ってこれるような場所』だったり、『関わる父兄の方々とも情報交換ができるような場』をつくりたいと考えるようになりました。コロナ禍で思うように動けなかった自分の体調にモヤモヤしていたのですが、アロマの先生に来てもらって何回かワークショップも開催しました。そういった利用をもっと広げていきたいと考えています。最初はカフェのようにみんながコーヒー一杯でしゃべれるような場所をつくりたいと考えていました。それをきっかけにワークショップなどで人と人が知り合って、それでまたここに来てもらえればいいなと思っています。
私は元々保母さんでして、(サラリーマンのときに)職場に行く途中に大きな幼稚園があり、その前を歩きながら毎朝「こういう幼稚園でもう一回仕事がしたいなぁ」と思っていたんです。ただ、習字教室をやってきたことで「実は私は100人の子どもの面倒をみているんだ」と思ったら、「(やりたかった仕事を)やってるじゃん」と思えるようになった。お稽古の終わりには必ず子どもたちが集って、喋りたいだけ喋って帰っていく姿を見ていて、高校生や卒業しちゃった子どもたちが学校帰りにちょこっと寄って、「先生、今日こんなことがあったんだよ」とか、そういうことを話していける場がつくれたらいいなとずっと思っています。
今は自分の見直しをしているところです。「先生って、先生らしくない。うちのお母さんに似ている」と言われたことがあるんですが、親でも先生でもない立ち位置なのかなと思っています。利用してもらえるなら、ここはいろいろな人に使ってもらえる家にしたいなと思っています。今日ここで皆さんとお会いできたのも何かのきっかけになるかもしれないのでこれからもよろしくお願いします。
『武里団地と共に歩み、挑戦し続ける認定こども園』
2.地域共生に関するモヤモヤ
【モヤ友】太田勝基さん(学校法人双葉学園 認定こども園ふたば 園長)
私は武里団地の中にある学校法人双葉学園の園長を務めています。元々は幼稚園で、今は保育所を併設して認定こども園として運営しています。武里団地ができたときに、幼稚園や保育所を整備する過程でつくられた幼稚園で、今年で創立54年目を迎えます。できた当初は第二次ベビーブームで、園児が400人ぐらいいて、受け入れも断っていたような時代だったそうです。
私の祖母がつくった幼稚園なのですが、私が入ったのが16年前で、現場で幼稚園の先生を4年ほどやってから今の園長職を引き継ぎました。ちょうどそのときは70人ぐらいまで園児数が減少してしまっているときで、その数だと経営も立ち行かなくなってきます。職員も養っていかないといけないですし、園児数を増やすためにどうしようかと考え、まずは地域に目を向けることからはじめました。今まで行かなかった近隣の自治体の会合に行くようになったり、幼稚園に入る前の子どもたちに来てもらうような子育て支援活動も始めました。居場所をつくりたかったわけではなかったのですが、空き教室がいっぱいになってしまったので、たくさんの居場所ができてしまった(苦笑)。そのおかげもあったのか、少しずつですが園児数も増えていきました。
ただ社会情勢が変わっていくなかで、今まで専業主婦だったお母さんが働かなくてはいけなくなったとか、離婚して家庭事情が変わった(シングルマザーになった)ため退園するという方も徐々に増えていました。それで、施設としてもそういった方々に対応していこうと、今から7年ほど前の平成27年に園舎の一部分を改築して0歳から2歳の保育所をつくり、0歳から5歳までの、幼稚園の子どもと保育所に通う子どもがどちらも同じ場所に通える認定こども園という施設をつくりました。
一方で、近隣の自治会の会合に行ってみると、働き盛りのお父さんはいませんし、来ているのはお年寄りばかりで、毎年通っていても参加者の顔ぶれは変わらない。よくよく調べてみると、特にこの武里地区というのは全国的にも高齢化率が進んでいる地域で、最近聞いた話だと50%ぐらいになっているそうです。武里団地ができたとき入居した当時20~30代ぐらいの人がそのまま残っていて、生まれたお子さんは出ていってしまっているというのが現状です。このままだと高齢化が進んでまちがだんだん衰退していきます。園の方は形態を変えたりしながら一時のピンチを脱したのですが、50数年間地域の人に支えられてここまでこれたので、地域をなんとかできないかなと考えています。
近隣の地域包括支援センターの職員さんと会議で顔合わせをしていたので、敬老の日や誕生会などの園の行事に地域のお年寄りの方を招待してみました。子どもたちと地域のお年寄りの方たちが交流することはすごくメリットがあって、子どもたちにとってみると(お年寄りとの交流を通じて)思いやりやマナーが自然なかたちで育まれますし、お年寄りをいたわる心が生まれていきます。高齢者の方にとってみると、小さな子どもと触れ合うことが自分の活力や生きる力になっていくので、お互いに良いことがあるんじゃないかと思っています。
それで園の行事だけではなく、もっと交流行事みたいなものを増やせないかと5年前にオレンジカフェを開催するための場所を提供し始めました。オレンジカフェは地域包括支援センターが実施している軽度の認知症の方や認知症予備軍の方を対象にした取り組みで、みんなで集まって一緒にお茶を飲んだり、認知症予防の体操をしたり、お友達づくりをします。武里団地は老人の孤独死が増えてきているので、お互いに顔を知ることで「最近あの人来なくなっちゃったけど大丈夫かな?」となりますし、孤独死を防ぐことにつながるんじゃないかなと思っています。園のホールは午後の時間は使わないので空きスペースの活用もできますし、子どもたちが一緒に歌を歌うところをサポートしたりしています。コロナ禍に入った2020年からは一時中断していたのですが、今年の4月から少人数制にして再開しました。もう少し人数を増やしてもいいかなと地域包括支援センターの職員さんとも話しているのですが、お年寄りの方はSNSやネットでの告知がほぼ通用しないと言われているので、団地にはたくさんお年寄りの方がいらっしゃるのに(開催情報が)なかなか伝わりにくいとモヤモヤしています。
また、先ほどお話ししたように長時間就業のお母さんがだいぶ増えてきていて、専業主婦のお母さんが本当に減ってきています。園としても何かできないかと考え、今年の4月から買い物支援を始めました。毎週金曜の16時から18時までの間、春日部市で営業している移動スーパーのコンパスマートさんに園の駐車場に来てもらっています。すると、全然考えていなかったのですが、意外と地元のお年寄りの方がいらっしゃるようになって、思わぬ効果が出ています。これをさらに広げられないかなと今、駄菓子屋をイメージした取り組みを始めています。駄菓子屋は小学生から中高生ぐらいまでの子どもたちのたまり場になるし、今はそういうものがなくなっちゃってます。スーパー内にある駄菓子売り場は“たまり場”ではなく“買い物をする場”ですし、子どもたちが集まれるたまり場を週イチでもできないかと思い、8月末から移動スーパーさんの品揃えにお菓子部門を充実させて駄菓子コーナーを作ってもらいました。すると卒園児や園児たちが少しずつ来てくれるようになりました。幼稚園を卒園してしまうとどうしても(卒園児と)会える機会は少なくなってしまうのですが、卒園してからもつながりを持ちたいなという思いもありました。春日部市には地域子育て拠点という立派なものもありますけど、そこまで立派なものじゃなくても地域の子どもたちがゆるやかに集まれるような場所をつくっていけたらなよいなと考えています。
今年から地域のボランティア団体さんと協力して、フードパントリーにも一回挑戦してみたのですが、園に食品を取りに来る方は一人もいませんでした。おそらく常に人が出入りしている施設なので、なかなか取りに行きづらいのかなと思っています。まだまだ課題が多く、地域に何か貢献しているということがまだ何もできていないのでモヤモヤしています。
『あなたのおうちへ、“欲しい”を叶える小さなマルシェ』
3.おうちマルシェモヤモヤ~ママのみんなの力になりたい!
【モヤ友】山本昌代さん(布小物とがま口のお店 made by masa)
『布小物とがま口のお店 made by masa』というお店を白岡でやっています。普段は結婚式場で働いていまして、本業の傍らずっと趣味のハンドメイドを続けていましたが、コロナ禍に入ったことがきっかけでお店を開業しました。今までは作ったものを売ったりあげたりしていたんですけど、そこからもう少し先の、やりたいことを叶えられる場所をつくるために、今年の1月から家の前の駐車場のスペースを使って、ガレージセールみたいな感じの『おうちマルシェ』の運営を始めました。
ハンドメイドマルシェやものづくりマルシェみたいなものは最近増えていて、電車や車を使って行ける人は(マルシェに)行けます。でも、家庭の事情だったり、ご自身の体調だったり、行きたくても行けない人もいるよねとモヤモヤしていました。マルシェをやっているところはたいてい賑わっているところなので、なかなかそういうところに行けない人もいると思っています。
2020年にコロナ禍に入って、私の周りにも手作りマスクがほしいという人たちが多かったので、とにかく300枚のマスクをまずは作って寄付をしました。SNSでマスクが欲しい人を募って、北海道から沖縄まで発送しましたし、子どもたちがお世話になっている保育園や学童の先生にも寄付をしました。その他にもオーダーをいただいて、飽きるぐらいの量のマスクを作りました(笑)。
今まではSNSやネット販売が中心だったのですが、去年初めて実際にマルシェに出店をしました。本業もあり土日も仕事なので出れないということもあったのですが、「やってみよう!」と出店してみたら、たくさんの方に来ていただけました。元々今のブライダル業を始める前も接客業をしていたので、人と話しができるのがすごく楽しいと思いました。一方で、「行きたかったけど、行けなかった」という声も聞いていて、行きたくても行けない人のために自分にできることは何かないかなということを考えて今に至っています。
「マルシェを(自分で)開くってどんな感じだろう?」「まずはやってみよう!」ということで、今年の1月からリアルお店屋さんごっことして『おうちマルシェ』を始めました。私は設営をして、来てくれたお友達としゃべって過ごすだけで、子どもたちがワークショップの先生もしますし、レジと会計もしてくれています。近所の人たちにはものづくりをしていることを言っていなかったので、すごく緊張しました。恥ずかしいので宣伝もしていなくて、家の壁にポスターを貼っておいただけだったのですが、開いてみたら意外と来てくれて、「すごく楽しかった」と喜んでもらうことができました。それなら毎月続けていこうということで、家の前で月イチでマルシェを開いています。
「移動する委託販売車を運営したい!」という夢を掲げたら、子どもたちがすごく厳しくて、「ママの誕生月(3月)までにやるって決めたから、あと何ヶ月だよ!」と言ってくるので(苦笑)、本当に頑張らなくちゃいけないなと思っています。今は家の前だけで店舗を広げてやっているので、そうではなくて施設にいらっしゃる方とか、近くにかわいいお店がないけど買い物がしたいという方とか、足を運ぶことができない人のところにも行きたいです。例えば、私がそういう方のご自宅の駐車場まで行って、お店を開いてあげて、ワンコインでも、見に来たりわいわいしたりする雰囲気を味わえるような体験を提供したい。2台分の駐車スペースがあれば設営可能な小さなマルシェを開いていけるようになりたいなと思っています。
マルシェのときには必ずワークショップをやるようにしていて、『縫わないがまぐち作り』と『縫わないぱっちんぴん作り』をメインでやっています。ただ、それぞれ決められた金額があり、お子様のお小遣いでは毎月は厳しい金額でもあるので、それ以外にも300円ぐらいで娘が教えてあげられるような内容のワークショップを一緒に考えて計画しています。
その他にも「バックがあと5cm小さかったら自分のサイズにちょうどいい」とか「ティッシュケースが入るようなポケットがあったらいいのに」とか、既製品にはないけれどこんなのがあったら便利だなという自分だけの“欲しい”やオーダーメイドを叶えてあげられるような人でありたいと思っています。
普段家の前でマルシェをするときは自分の作品だけではなくて、全国各地のハンドメイドをしているお友達作家さんの作品も販売しています。毎月6~9人ぐらいで各10点ぐらいずつの作品を集めて、私が委託販売のオーナーという形で展示して、お買い物ができるようにしています。ファンのいる作家さんだと、愛知や長崎に行かなきゃ買えないけど、おうちマルシェの日であれば埼玉で買えちゃいます。都内とか熊谷とか、けっこう遠くから車を飛ばして来てくれる方もいて、その日は賑わっています。
子どもたちにはいろいろと体験させてあげたいけど、準備が大変というお母さんは多いと思いますし、ママたちもゆっくりと買い物を楽しみたい。買い物にいけなくても、贈り物は自分の手で自分の目で選びたい。そんな一人ひとりが抱えるモヤモヤを私が開くおうちマルシェでまるっと解決できるようなことができたらいいなと思っています。そんな活動をこれからもしていきたいと思っています。
https://www.instagram.com/masa.made._/
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モヤモヤカフェは、暮らしのなかで感じるちょっとした疑問や悩み、ワクワクするアイデアを、コーヒーなどの飲み物を片手におしゃべりをする場所です。これからも春日部で活動する個人個人の思いを紡いでいきたいと思います。
次回のモヤモヤカフェは2022年11月20日(日)の開催を予定しています。ぜひ楽しみにしていてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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