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フィンランドのサウナで死にかけた話

一年経った今だから笑って話せる、教育視察ツアーの番外編です。
初日、フィンランドの北方にあるイソショッテのホテルに泊まりました。気温が低すぎて、カバー写真のように北海道でも見た事ない風景でした。顔が痛かった。

サンタさんも凍っている

ホテルに着いて、昼食。午後はみんなスキーをしたり、サウナに入ったりLINEグループが楽しそう。フィンランドといえば、やはりサウナ!ホテルのサウナがもう閉まりそうな時間に一人で行った。案の定誰もいない。1人優雅にフィンランドでサウナ、なんと豊かな時間だろう。

ロウリュもある本格的なフィンランド式サウナ

ここで15分くらいじっとする。ポカポカに温まった。
サウナには、外に出るドアがあった。外サウナは男女一緒と聞いていたので、念のためバスタオルを巻いて、そっと外をのぞいた。
もうすぐ終了時刻なので誰もいない。チャンス!と外に出る。
一人露天風呂感覚だ。
体は芯まで温まってポカポカ、外気が冷んやりしてとても気持ちいい。椅子に座って至福の時だった。
ここは、フィンランドの北のイソショッテの夜、マイナス30度近い。
こんな姿で椅子に座っているなんて、そのギャップも楽しんでいた。

外サウナにはトナカイの毛皮の椅子。至福の時だったはずが、、、

数分が限度と思い、そろそろ中へ入ろう。

ガチャガチャ

ん?

どして?

ドアが開かない!中に入れない!

ロックされている。
ウソでしょ?! バスタオル1枚ですが、私。
そしてここ、マイナス30度近い完全な屋外ですが。。。

もう一度 ガチャガチャ
マジで開かない。そして、誰もいない。

その時はまだ体が温かいものの、北海道人の私はマイナスの中でこのままいたら、凍死することを知っていた。
冷静になろう、落ち着いて考えるんだ。

少し遠いけれど、小さい雪山を挟んだ向こうのトレーニングルームでエアロバイクを漕いでいる金髪の若者を見つけた!やった!助かるかもしれない。できるだけ近づいた。

「Help!Help meー!!」力の限り、こんな大きな声出したことないよってくらいの叫び。
だって、このままここにいたら確実に死にますから。裸にバスタオル1枚で裸足ですから。

しかし、エアロバイクの金髪の若者は全く気が付いてくれない。何故?! 
断末魔の叫び。何度も何度も何度も絶叫したけれど見向きもしてくれない。

この事態にパニックになる。ど、どうしよう、私、ここで凍死?
「フィンランドのサウナで日本人女性凍死」とかって報道されちゃう? これから視察ツアーだっていうのに、大迷惑。ここで死んだら、家族だって困るよね。

頭グルグル。何分叫び続けたろう。裸足なので足元から冷たくなってきた。

もう一度、扉へ戻って中へ入ろうとしたけれど、やはりロックされて入れない。極寒の中、バスタオル1枚で何度も叫ぶしかない。

「Help! Help meー!!助けてええーーー!!!!!」

ダメだ。詰んだ。もう終わりかもしれない。絶望の淵にいた。

(カチャ)

私の後ろから音がした。
なんと!男性サウナの扉が開いて、バスタオルを腰に巻いたおじさまが外サウナをのぞいた。おそらくフィンランド人のその人からは真っ白な湯気が立ってる!神さまだ!私を男性サウナに招き入れてくれた。
「Thank you! Tnank you! ありがとう!」
私は、おそらく凍えて真っ白な口で、涙目だった。男性サウナに入った時、その場に崩れ落ちそうだったが、留まる訳にはいかないので、Thank you、Thank you言いながらそのまま廊下に出て、女性サウナへ。

助かった。。。

しばし、茫然とする。とりあえず体を温める。

それにしても、
どうしてロックされたんだろう?
注意書きとか何もないよ。

黒い石あった、、、。

よく見ると、黒い石があった。石をドアに挟んで、開けておくってこと!?そ、そんなことある?
部屋に戻って、落ち着いてからみんなに送ったLINEです。

現地時間は夜の20時過ぎ

先にサウナに入ったメンバは、特に問題なかった。
私の観察力の欠如と考え無しの行動が危険を招いてしまった。
それでも、凍死せずに済んだ。良かった。
命の恩人のおじさまとホテルの朝食で会えるだろうか。お礼したいと思っていたけれど、中高年の外国人はみんな同じに見えて、結局わからなかった。

翌朝、サウナの場所をホテルの外側から現場検証しに行った。エアロバイクの若者がいたトレーニングルームから、外サウナは真っ暗で全く見えないであろうことがわかった。また、極寒の地なので窓は厚いし、若者はイヤフォンをしていたかもしれない。聞こえる訳がない。

外サウナのさらに外は、真っ暗で全く見えなかったが、スノーモービルなどが置いてあるホテル裏だった。ということは、バスタオル一枚とはいえ、裸足で雪の中に入り、暗いけれど、ぐるっと周って歩けば、ホテルの玄関まで辿り着く。

もし、その最終手段も考えつかずに外サウナで凍死したら、この日本人、それくらい自分で考えろよ、ってなるだろう。(それでも真っ暗だし、途中で雪に埋もれてしまったかもしれないが、、、)

日本にいると、駅のホームでは電車がくる度に「白線の内側までお下がりください」と放送。公衆トイレにはキレイに使いましょうの貼り紙。イベント会場には入り口はこちらです。注意書きと案内だらけだ。いつの間にか言われないとわからない人になってる。

教訓「自分の頭で考えよう」

という訳で、バルト海の美しい朝焼けなどフィンランドでの素晴らしい思い出の中には絶叫外サウナ凍死未遂もプラス。しかも強烈な体験として私の中にある。

生きていることに心から感謝!!

日常に流されて生きてることに感度が低くなりそうなとき、これからも絶叫外サウナのことを思い出すに違いない。
北海道は今、雪の季節。薄暗い外の雪景色を見る度に思い出しています。

フィンランド教育視察ツアーの記事はこちら


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Tomoe Nakagawa
ありがとうございます!