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『バレエ団のねこ ピンキー』

バレエが大好きすぎて劇場で働いているクロネコのピンキー。
肝心のネズミ捕りの仕事はからっきし苦手だけど、バレエを見るためなら頑張れる。でもある日、ピンキーがネズミを逃したせいでプリマドンナがけがをしてしまった!いよいよクビになっちゃうと泣いていたら、ほかにも泣き声が聞こえてきて…。

とても可愛らしくて、大人の目にも楽しい児童書です。
ところで。
「自分にしかできないことを見つけるおはなし」と紹介される本作。
おばけのバーバパパ』や『ぐるんぱのようちえん』など、”居場所がなかった主人公が、自分のできることを見つけて仲間を得るサクセスストーリー”は王道中の王道です。そこでいつも気になってしまうのが、他人の役に立つことで認められるという展開。もちろん自分が持っている力や才能で社会に貢献できれば素敵だけれど、それが認められることの条件になってしまっては少し窮屈な気がします。”居場所のなかった主人公が、まず認められて、安心してのびのびと自分のできることを見つけていく”というのも良いなあと思うのです。
この本に登場するピンキーの活躍はそのあたりの塩梅が絶妙で、安心して読めたのもおすすめの理由です。

2024年度神奈川県優良図書・福井県優良図書選定
ノエル・ストレトフィールド・作
スザンヌ・スーバ・絵
田中潤子・訳
ページ数:24ページ
対象年齢:小学低学年以上
2023年3月

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