シェア
小さなマチアスくんは、自分サイズの真っ白い機関車を造り上げます。 しかし、意地悪な工場長に取り上げられてしまい、町を出ていくことに。 残された小さな機関車はマチアスを追って旅に出ます。 とにかく美しい!絵が素晴らしい! 絵画のような見開きの場面がたくさん差し込まれています。 物語をすべて絵が語っているような印象です。 ページをめくるのがもったいないくらい。見とれてしまいます。 原画が見たいなあ…。 森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』にも登場する絵本です。 ペーター・ニクル
穂村弘氏の『ぼくの宝物絵本』という本があります。 彼がお気に入りの絵本を紹介していくのですが、その一冊一冊がとても魅力的に語られ、全て手にしてみたくなる内容です。 問題は、どれもこれも絶版の古いものばかりであるということ。 文字通り、もう手に入らない「宝物絵本」なのです。 穂村氏が古本市などで手に入れたものもあり、図書館などでも見当たらず、この本を読んだ方は「そんなに素敵なら今すぐにでも見てみたいのに!」の気持ちのやり場に困るはず。笑 私もそのひとりで、紹介された本の中でも
トチくんに100かいだての家への招待状が届きます。 地図をもとにたどりついた1階の玄関から入ってみると、 10階ごとに違う虫や動物の部屋が続いています。 見開きで10階分描かれているので、 トチくんと一緒に各階を辿ることができます。 最上階の100かいで待っていたのは…。 トチくんは100かいの頭上に広がる宇宙を楽しんで、 帰りは出来上がったばかりのエレベーターでしゅるんと帰ります。 小学1年生の娘さんが算数で繰り上がりを理解できるように、 というアイディアをもとに描かれた
お母さんとけんかして家出したぼくの前に、 どこかいきのバスがあらわれた。 バスだったのに、船に姿を変えて無人島に連れて行ってくれた。 そのあとは飛行機になって家の裏山へ。 だんだんおなかもすいてきて、ちょっと家に帰りたくなってきた。 だけどバスは必死に止めてくる。 このバスの正体は…? お母さんとけんかして家出!なんて、小学生くらいのお子さんなら少し憧れたりするんじゃないでしょうか。 私はしたことあります、家出。正確には家出をしたふりをして、押し入れに隠れていたのですが。ど
さくら子はお母さんと自分の名前の由来となった桜の木を見に行きます。 その桜の木は折れてしまった栗の木に芽生えたもので、「みごもり栗」と呼ばれています。近くの「子宝の湯」に一緒に入り、親子の時間を楽しむさくら子とお母さん。 数年経ち、さくら子は、お母さんの妹である叔母さんのお墓参りに行きます。そこで叔母さんの命日と自分の誕生日が一緒であることに気付き…。 12歳の春を迎え、再び「みごもり栗」を訪れるさくら子とお母さん。 さくら子がかけがえのない大切な娘であることを伝えるお母さ
子ザルのモンちゃんは歌いながら自転車をこぎます。 「おじいちゃんの おじいちゃんの おじいちゃんに あいに いくんだよ」 からかわれても気にしません。 そして一本の大きな木にたどりつきます。 「げんきで なによりだね」 とモンちゃんに声をかけたのは…。 詩のような文体で語られる本作。 シンプルでやさしいことばはダイレクトに届きます。 モンちゃんが小さいながらに感じている自分のルーツ。 おじいちゃんの、おじいちゃんの、おじいちゃんからつながっている自分。 そして、こどもの
弟が熱を出して休んでる。 私は学校に行かなくちゃいけないし、お片付けもしなくちゃいけないし、 ピアノの練習もしなくちゃいけないのに、弟はみんなから優しくされて、 何もしなくていいなんてずるい! と思っていたら、今度は私が熱を出して…。 あるある。こういう気持ち、あるよね。 病気で特別扱いされている友だちを見て、いいなあと思ったりするけど、 いざ自分が病気になったら、退屈で元気なお友だちがうらやましくなったり。そんな様子が可愛い猫さんで描かれます。 親子で読んで楽しい絵本です
さむい日の朝、スケートをしようと凍った池へ行くと、 なんと池と一緒にあひるが凍っていた。 あひるの名前はかいちゃん。 お家に連れて帰り、洗ってあげて、かいちゃんはすっかり元気に。 ケロはかいちゃんが大のお気に入り。ずっとどこでもついて行く。 一緒に遊んでいるうちに夜になり、眠ってしまったバムとケロ。 朝になったらかいちゃんは帰ってしまって…。 我が子の超お気に入り絵本。 家中ミイラになるシーンでずっと大笑いしています。かいがいしいバムも、一生懸命なケロも、すべてを無の顔で受
大きなマンションに挟まれた小さな家。今は誰も住んでいません。 この家を気にしているのはアリスとジェーンと…もうひとり。 小さな家は小さすぎて住み手が見つからないまま。 その様子を見ていたアリスとジェーンはついに小さな家へ侵入。 おままごとをしていたのですが、ひょんなことからクッキー屋さんがはじまって、子どもたちに大人気! 怖い大家さんは出て行けと言うけれど…? 『クーちゃんとぎんがみちゃん』や、古いところでいうと『ふたりのロッテ』など、性格の違う2人組の女の子が活躍するお話
てんこうせいはワニだった! 隣の席にきたワニをお手伝いすることになったオースケ。 でもワニだから、いすに座れなかったり、鉛筆を持てなかったり、給食をお盆ごと食べちゃったり…事件の連続! ワニはクラスメイトになれるかな? ぶったまげーたー、アリゲーター! という思わず口に出して言いたくなる名文句で、もうこの物語が好きになってしまいます。 なぜワニが転校してきたのかはさておき…(特に理由はないようです)。 喋れないし、座れない。だってワニだから。と、物語が始まります。 次々と勃
ちいさなふたりのくるみの家が壊れてしまいました。 新しい家を求めてたんぽぽの綿毛で出発。 いちごの家は熟れすぎる…すいかの家は破裂しちゃう…りんごの家は…。 ふたりは無事に新しいお家を見つけることができるでしょうか? 春、夏、秋それぞれの実りが美しい絵本です。 ポジティブでアクティブなおじいさんとおばあさんが大好きになります。 次々にぽんぽんとアイディアを提案するおばあさんと、 「ほう、それはいいかんがえだ。そうすることにしよう」 とほいほいついて行くおじいさん。最高のバデ
自分の名前が好きではない“へいたろう”。 ぼくの名前なのにどうして僕が決められないの?おかしいよ! 改名のこと、他の国の名付け文化、人気の名前の変化など…名前にまつわることを知っていくなかで、両親に自分の名前のことを聞いてみることに。 へいたろうくんは、自分の名前とどう向き合うのでしょうか。 自分が違う名前だったら…と、誰しも一度は考えたことがあるもの。 人によっては死活問題。名前とは一生のお付き合い。 読み進める中で、子どもが悪魔に悪さをされないように、わざと変な幼名をつ
クラスのガキ大将に「あおびょうたん」というあだ名をつけられた。 お父さんに聞くと“あおっちろくてよわむし”っていう意味らしい。 くやしいけど当たってる。 体育はきらい。図工はすき。 転校生に声をかけてみたい。あの子は体育が得意みたい。 お互いに得意なことや苦手なことを少しずつ知り合って、 友情が芽生えるお話し。 小学生特有のお友だちとの距離感。 素直だから変なあだ名を勝手につけるし、裏がないからすごいことは褒め合える。大人同士の社交辞令なお付き合いとは全く違う一体感。 あっ
クラスでひとりぼっちになってもへいき。 帰ってお母さんがいなくてもへいき。 だけどやっぱりちょっとさびしくて…。 ひとりぼっちのまま歩き出した一平くんに、次々と出逢いが舞い込みます。 ひとりぼっちは悪いことじゃないと教えてくれるあたたかい物語。 なんとなく不安に感じてしまう心に優しく寄り添ってくれます。 という著者の言葉にも励まされますね。 自分がひとりぼっちのときにどんなものと出逢えるか、楽しみが増えた気持ちです。 2020年度 厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文