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日本と英国 同じだけど違うこと
今日は鶏もも肉を使った料理にしよう、何か良いレシピはないかな、そう思って開くサイトは、日本のレシピ集。たくさんのレシピが紹介され、とても便利。けれど、私が住んでいるところは英国。微妙に不便が生じてきます。例えば、鶏もも肉にしても、まず売られている形状が違うのですから。
鶏もも肉は英語でChicken Thigh チキンタイ。どこのスーパーでもこのようにパックに丸まった形で入っています。
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日本で売られているもも肉との違い、おわかりになるでしょうか。そう、一つ一つに骨がついているのですよ。
日本では、鶏もも肉を料理する際は、広げて一口サイズに切るだけですよね。けれどここでは、まずこの骨を取り除く作業をしなければいけません。私は英国に住む前は、長い間オーストリアのウィーンに住んでいましたが、ウィーンのスーパーで売られている鶏もも肉も、同じくこのような骨つきでした。ですので、もう今となってはこの骨を取り除く作業もだいぶ慣れたものです。まずは手で無理やり広げて、骨に沿って包丁を入れます。そして、力ずくで身と骨を引き剥がしながら、骨を取り外すように切っていくのです。
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しかし、骨周りもしっかりしていていると、うまく包丁が入らない場合もあります。そんな時は、とにかく骨の周りを削いでいくしかありません。そうなると、日本のレシピに紹介されているような、広がった形の鶏もも肉はどこへやら。
さて、今回は割とうまく開けました。このように、日本の鳥もも肉と同じような形状に捌けるようになるまでに、何年かかったことでしょう…。
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でもこれって、日本で言うところの1枚より小さいのですよね、半分くらいでしょうか? もうその辺りは日本の分量は気にせず、今日は2鶏か3鶏か、と勝手に分量を決めます。
ここからようやく、一口サイズに切って、料理を始められます。今日は簡単に、トマトソースで和えたパスタにしてみました。
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バジルを収穫して上にも乗せることも忘れずに。
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なぜはじめからこの骨を取って売ってくれないのかなと不満に思っていると、あるスーパーで、骨なしのチキンタイを見つけました。けれど、それは骨なしであり、さらに皮なしでもあるのです。もちろん試してみましたよ。料理は驚くほど楽チンでしたが、なんだかお肉はもも肉なのにパサパサしていて、やっぱり皮付きの方が好きなのですよね。なぜ皮まで取ってしまうのか…。残念だけど、やはり骨削ぎ一手間からは逃れられそうもありません。
同じように、日本と英国での違い、この時期ならではのものをご紹介しましょう。
5月の始め頃から、住宅街を歩いていると見かけることができる美しいお花があります。フジのお花、英語でウィステリア。フジは日本でももちろん美しいお花として愛でられていますよね。紫の小さな小花がフサとなって垂れ下がり、気品漂う形で私たちの目を楽しませてくれる蔓性の藤。幾多ものフジのお花が壮大な列をなして藤棚を覆う姿は、言葉を失うほどに見事な美しさがありますよね。この春、noteでも見事な藤棚を紹介していただいた方々のおかげで、ここイギリスからも日本の藤棚の鑑賞を堪能させていただきました。ありがとうございました。
日本ではこのように、家庭のお花というよりは、公園や施設などの庭園に咲くお花というイメージですが、ここ英国では違います。フジのお花を見かける場所は住宅街。それぞれの家の外壁を覆うようにフジ、ウィステリアの花が咲き誇るのです。お散歩中に見かけたウィステリアをいくつか紹介します。
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日本のように一様に整えられた、圧倒的な気高さを感じる藤とは違い、それぞれの家をそれぞれの形で美しく見えるように整えている英国のウィステリア。日本に住んでいる頃には、近くに藤棚を見れる場所がなかったこともあるかもしれませんが、日本の藤は高級な尊いお花のイメージがあります。けれど、散歩をしているだけで目に入るこのウィステリアの花は、スッと心の中に笑顔で語りかけてくれているような、ほっとするようなイメージなのです。
海外生活がすっかり長くなっている私ですが、初めてウィーンに住み始め、2-3年経った頃は、日本だったらこんなことはないのに、などと日本の生活が恋しくなり、帰りたいと思ったこともありました。けれど、今では日本だったら、などと比較することも無くなりました。日本でもヨーロッパでも、それぞれ不便なこともあれば素晴らしいこともあるのですよね。同じものでも親しまれ方は違い、それぞれの良さがあるのです。生活するということは、そこのスタイルに馴染んでいくことなのでしょうね。
オマケにもう一つお花をご紹介してしまいましょう。フジのお花とは逆に、上を向いたフサのように咲くお花がこの時期街路樹に並びます。セイヨウトチノキ、フランス語名でマロニエ。
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去年もこの時期noteで紹介したことがありましたが、私このお花が大好きなのです。白とピンクのお花が空に向かって咲く姿は、見ているだけで心の奥から元気が沸き上がってくるのです。
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ヨーロッパで咲くお花の移り変わりが、すっかり身につくようになったみたいです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。