新人死者は怖くない。映画「ビートルジュース(1988年)」
公 開:1988年
監 督: ティム・バートン
上映時間:92分
ジャンル:コメディ/ホラー
35年が経って続編として製作された「ビートルジュース ビートルジュース」が公開されるなど、映画「ビートルジュース」は、ティム・バートン監督の作品の中でも、根強い人気を誇る作品の一つです。
バイオ・エクソシストなる自称600歳以上の幽霊ビートルジュースが、無茶苦茶なことをやるコミカルホラーコメディとなっていますが、名前こそでてきますが、物語の前半では、ほとんど登場しません。
本作品は、事故で死んでしまったコチカネットの田舎に住む仲良し夫婦が、自分の家を守ろうとしながら奮闘する物語となっています。
あまりにあっさり死んでしまった為、幽霊になったことを自覚できない夫婦が手に取ったのは「新人死者ハンドブック」。
しかし、ハンドブックをたいした読みもしないで、テレビCM(?)のビートルジュースに頼ろうとしてしまいます。
本作品のタイトルはビートルジュースですし、マイケル・キートン演じるビートルジュースもまた愛されているキャラクターではありますが、主人公というより、どちらかというと、平穏を乱す存在となっています。
スケベで自己中心的であり、お茶の間で放送するには時代と乖離する部分がありますので、続編が公開されているとはいえ、調整が難しい作品ともいえるでしょう。
とはいえ、憎めない愛すべきキャラクターであり、物語を引っ張っていく存在ではあるのですが、本作品の最大の魅力は、ティム・バートン監督による世界観にあるといっていいでしょう。
死者の世界にいった若夫婦は、ケースワーカーに相談をしたり、役所のようなところでそっけない扱いを受けたりして、死者の国の大変さも描かれます。
新しく家にきた住人たちを脅したりするのですが、なかなかうまくはいきませんし、お気に入りの家はどんどんセンスの悪い家に改造されていってしまいます。
ティム・バートン監督の「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」等が好きな人であれば、好きな作品の一つに既にに入っていることでしょうし、死後の世界がコミカルに描かれる点については、映画「リメンバー・ミー」とかも好みに合うかと思います。
また、穴をあけたシーツをかぶって住人を脅そうとする場面がありますが、シーツをかぶったゴーストが、家を守ろうとする話ですと「ア・ゴーストストーリー」なんかも、オススメです。
家に幽霊が囚われて、その住人の変遷を眺めていく、というモチーフは、哀愁と共に幽霊になったからこそ、何かできないか、と思ってしまうところだったりもします。
ポルダーガイスト的な存在を、必ずしも悪く思えなくなってしまうところも面白い点ではないでしょうか。
さらには、デビューして間もないウィノナ・ライダー演じるリディアも有名です。
ゴス少女を演じるウィノナ・ライダーが、幽霊夫妻と親交を持ち、いったいどうなってしまうのかと思いきや、ビートルジュースが暴れまくるところも本作の面白さです。
初期のティム・バートン監督による魅力が詰まっているのが「ビートルジュース」となっていまして、さくっと見ることができます。
そして、もしも、死者の世界にいったならば、「ビートルジュース」と3回唱えたくなることでしょう。