陰キャと陽キャ。どちらが勝つ? 映画「アダムス・ファミリー2」
公 開:1993年
監 督: バリー・ソネンフェルド
上映時間:94分
ジャンル:ホラー/コメディ
見どころ:ディズニー作品の使い方
陰キャと、陽キャ。
映画において、二つのまったく異なる価値観をもつ人やグループが一つの場所にいなければならなくなった時、何かが起きそう、とわくわくするのは必然です。
「アダムス・ファミリー2」は、1から引き継がれている価値観の相違による面白さが描かれたゴシック・ホラー・コメディとなっています。
資産目当てで、奇妙な一家に入り込もうとした結果、とんでもない目にあうという構造は変わらないのですが、2においては、笑わない女の子ウェンズデーが、微笑むところに恐ろしさを感じるところです。
Netflexでドラマ配信されるもされるウェンズデーの魅力と、ミステリー解決能力の片鱗を十分にのぞかせる内容となっていて、予習にもいいですし、復讐するにしても損のないない内容にもなっています。
一家に赤ん坊が生まれたことで、乳母を雇うことになった一家の元に、これまた1と同じく、セクシー全開の女性がやってきて、資産目当てで一家をかき乱すという話になっています。
乳母の策略で、陰キャな姉と弟は、サマーキャンプにいくことになるのですが、陰鬱さを絵にかいたような二人とは、まさに真逆の場所です。
陽キャの人たちが、建前の仲良しさを強要してくるあたり、ウェンズデー達の気持ちに思わず共感してしまうことでしょう。
「仲直りの、ハグだ」
と、笑顔で言って、悪いことを見ないようにする姿勢の恐ろしさ。
ウェンズデーがする怖い話は皮肉が聞いていますし、彼らを陽キャに矯正するために使われるのが、ディズニー作品というところもまた、ツッコミどころ満載です。
価値観が違うだけで、愛情の表し方もそれぞれとなっており、他人に興味のなさそうなウェンズデーが、サマーキャンプで出会ったアレルギー体質の男の子へ、心が動く様子がわかる演出は、キャラクターの性格に抜群に合った、奥ゆかしい演出となっています。
無茶苦茶な話なのにもかかわらず、根底にあるのはテーマにブレがないおかげで、安心してジェットコースターのような面白さを味わうことができます。
アダムス家は、芸達者であり、登場人物たちは、赤ん坊も含めて、怪人のような人たちですが、その身体能力や技能が、やりすぎな行為を面白くしています。
キャラクターの魅力、価値観が一般的なそれとは真逆となっていることによる化学反応含めて、色あせない面白さに、何度見ても心が和むことでしょう。
ただ、時代的な皮肉をユーモアたっぷりに行っているため、今の時代の倫理観だと、地上波放送とかは難しいのかも、と思いました。
赤ちゃんをギロチンにかけようとしたり、ボウリングの玉と一緒に落として、どちらが先に地面につくか試そうとしたり・・・、これは、テレビでは放送できませんね。
ちなみに、これは完全に蛇足ですが、ミニオンズでお馴染み「怪盗グルーと月泥棒」におけるグルーと、アダムス家のフェスタ―は、ものすごく似ています。
元ネタというか、インスパイア元か、と思ったりしますし、ゴシックホラーな雰囲気は、ティム・バートン「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」を思い出させます。色々なところに影響を与えているのがわかる作品というのは、やはり、お得ですね。
ちなみに、1のさっくり紹介もしていますので、是非。