漫画「ブルーピリオド」12巻 感想
自分の人生や、今の生き方は、これでいいのだろうか。
それが大学だろうが、職場だろうが、大なり小なり悩むわけです。
漫画「ブルーピリオド」は、満たされているはずなのに、自分に違和感を感じていた主人公が、美術に出会うことで、無難な生き方をやめる物語として始まります。
美術を通じて、創作する人間の苦しみを描きつつ、日本藝術大学という狭すぎる門に挑戦する人たちの挫折も描いていることもあって、読む人間の立場次第で、その印象も異なるところ
そんな主人公も大学に入ると、違ったところで悩みます。
高校時代の主人公を描いている頃も、色々な人間の人生を描いていきますが、大学に入ってきますと、さらにえぐいことになっていきます。
創作というのはとことん沼だな、と思わされます。
見えたと思ったらまた、深みにはまる。
自分が輝くものであるかもわからないまま、それでも、進むことができるのは一握りです。
美大生たちを、ダイヤの原石を磨き、輝かせるためのクズダイヤとして扱う大学。
ブルーピリオドも12巻になってきますと、大学に行く意味も含めて、考えさせられるようになっていきます。
周りが学生だけとは限らなくなってくる大学での生活。
とんでもない人と出会うことで、将来につながったりもするわけですが、主人公が絵を描いていなかった頃から見ている我々からすると、いったいどういう風に物語が動き出すのか、ハラハラします。
色々な大人によって支えられている主人公は、大学という場所をどうとらえるのか。
大学の意義や意味を問いながら、美術についてさほど興味がなくても、知らなかったことがわかるような気にさせてくれる漫画のうまさが際立ちます。
特に、デッサンとか、エスキースとか、クロッキーとか、解説されても意味はわかりませんでしたが、そのニュアンスの違いが1ページにまとめられているあたりは、絵を描く人はぜひ見てもらいたい。
最後まで目が離せません。
ちなみに、ムービーメーメーでは、がっつり解説も以下のリンクから見ることができますので、気になる方はぜひぜひ。