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今こそみるべしパンク映画【シド・アンド・ナンシー】

セックス・ピストルズの2代目ベーシスト、シド・ヴィシャス。

ここで紹介する作品として本人ではない映画だが、音楽性としてではなく、シドはパンクの化身であり象徴としての存在として考えるものとする。

アレックス・コックス監督・脚本による、映画史に残る反逆のカリスマ的存在の作品として、カルト的な人気を博した。

本作が揺るぎなき素晴らしいポイントは、「パンク界のロミオとジュリエット」とも評されているように、主演のゲイリー・オールドマンとクロエ・ウェブのなりきり具合の本物さ。

70年代ロンドンを舞台に、UKパンクのファションとしてシドの痩身に欠かせないアイテムとして、レザージャケット、ナチスシャツ、南京錠のネックレスなど再現レベルはかなり高い。

気になるのは、他のメンバーがややおざなりだが。

墓場でディープキスというキャッチコピーにも示されている通り、その刹那的な生き方が絵になるビジュアルを含めて、これぞ「ディス・イズ・マイ・ウェイ」を体現している。

賛否両論あるものの、特にジョン・ライドンの反応は印象的で、1994年の自伝では「ROTTEN: No Irish, No Blacks, No Dogs」で次のようにコメントしている。

シド・アンド・ナンシー(1986年)

IMDb公式サイトより

ライドンは本作について、「他人のクソみたいなファンタジー」と呼んだ。

作品としてのみせ場が多くなく、自分(当時のジョニー・ロットン)の描れ方や、ナンシーとの関係性を強く否定しており、作品についての正確性に欠けていると指摘。

そして、ライドンはシドにドラッグをやめさせようとし、それができなかった事を悔やんでいるが、映画はヘロイン中毒を称賛、美化していると嫌悪を示している。

また、音楽についても自分にオファーすることなく、ジョー・ストラマーへ依頼した事を強く非難している。

公式サウンドトラックでは、セックス・ピストルズやシド・ヴィシャスの曲は収録されておらず、ジョー・ストラマー、スティーブ・ジョーンズ、ジョン・ケイル、ポーグスらが参加、ゲイリー・オールドマンのヴォーカルを含めて構成されている。

シドについて少し触れておくと、バンドのマネージャー、マルコム・マクラーレンがかつて言ったように、「ジョニー・ロットンがパンクの声なら、ヴィシャスは態度だ」という表現がしっくりくる。

シドは気まぐれで楽器の弾き方さえ知らず、特に才能のあるミュージシャンでもなかったが、ピストルズに加入するのに理想的な人物とみなされ、ピストルズの初代ベーシスト、グレン・マトロックの代わりとして迎え入れられた。

時を同じくして、ナンシー・スパンゲンに出会い、2人は切っても切れない仲になった。

1978年初頭には、ピストルズのアメリカでのツアーにも同行した。ツアーでは数回のライブを行ったが、シドの薬物使用の増加、人間関係の対立などによりバンドは解散してしまう。

ストーリーがある映画として盛り上がるように史実から脚色されているため、本作のみでは偏った情報になってしまう可能性が高い。

そのため、ピストルズ関連の作品は多く制作されているいるので、いくつかを比較して、その判断をする必要がある。

noteではパンク映画を紹介。

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