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今こそみるべしパンク映画【ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア】

ザ・ジャムは、5大ロンドンパンクバンドとされているが、やや風変わりの一面があることで知られている。

郊外出身、綺麗でスタイリッシュな格好、60年代好きなど。特に、その音楽には、他のバンドにみられる刹那的な破滅願望や衝動のようなものはほぼ感じられない。尖っているわけでなく、妙に端正でマジメだ。

しかし、これがめちゃめちゃカッコイイ。

初期は、ドクター・フィールグッドに衝撃を受け、ザ・フーに影響されモータウンなどの曲をカバーした。バンドはパンクバンドなのに、スマートに仕立てられたスーツを着ることで、ほぼすべての同世代のバンドとは一線を画していた。

ポール・ウェラーが造った世界観、早熟ながらの王道にして卓越したソングライティングは本物で、パンクにしっかりと根付いており、圧倒的な存在感をもつ稀有なバンド。

そんな印象であったが、本作をみることで改めてそのことを認識ことすることができる。パンク全盛期の真実をみすごすな、刮目せよ。

ザ・ジャム - アバウト・ザ・ヤング・アイデア(2015年)

IMDb公式サイトより

映画では、バンドは次世代のビートルズになるのが夢だったと語っている通り、このグループはやや異端児として登場し、同年代の仲間が聴いていたものよりもザ・フーに夢中だった。

それが、ザ・ダムド、ザ・クラッシュやセックス・ピストルの登場により、パンクへ参入するようになる。

それでもザ・ジャムは完全にパンクというよりも、ザ・フーやスモール・フェイセスのような60年代半ばのモッズバンド復活の先頭に立つ、モッズ・リバイバルバンドとして知られている。ネオ・モッズの雄。

モッズ・リバイバルは、1970年代後半にイギリスで始まり、広がった。モッズ・ルックを採用し、パンクのエネルギーを混ぜ合わせ、アメリカのR&Bを崇拝したサブカルチャー。

ザ・ジャムは、ウェラーが中心人物となり、オリジナル曲のほとんどを書いてギターを鳴らし歌っている。

ベーシストのブルース・フォクストンはバックボーカルと巧妙で力強いベースライン、ドラマーのリック・バックラーにより、ザ・ジャムはシンプルにみえて、その思想とスタイルが複雑に絡み、洗練されたサウンドを生み出した。

1stアルバム「In the City(1977)」、2ndアルバム「This Is the Modern World(1977)」を経て、ウェラーのソングライティングは大幅に成長。

3rdアルバム「All Mod Cons(1978年)」では大成功を収め、キャリアの転換点となった。以降もザ・ジャムの人気が国民的に高まり、サウンドがよりポップ志向になり、音楽的にも親しみやすくなるにつれても、60年代のロック美学を守り続け、バンドはエネルギーを少しも失わなかった。

逆説的に、これはザ・ジャムの音楽がパンクというよりポップになったときでさえ、パンクの価値観を放棄しなかったことを意味した。

本作では、ウェラーが18歳であったザ・ジャムのデビューアルバムから、最後のアルバム「 The Gift(1982)」までが描かれるが、人気絶頂で解散したウェラーはまだ23歳だった。

noteではパンク映画を紹介。

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