今こそみるべしパンク映画【パンク:アティテュード】
MC5の名盤「Kick Out The Jams(1969年)」はデビューアルバムにしてライブ盤という趣向が凝らされており、その1曲目「Ramblin' Rose」の前にヴォーカルであるロブ・タイナーの宣言で始まる。
これがめちゃくちゃカッコイイ(以下抜粋要約)。
おれは革命の音が聞こえてほしい。
問題になるのか、それとも解決策になるのかを決める時が来た。
選択しなければならない。
5 秒かかるんだ、決断するのに5秒、行動を起こす時だと気づくのに 5 秒。
今こそ行動を起こす時だ。お前の生きている証明をしてみせろ。
準備はいいか?
おれの証明をみせてやる、これがMC5だ!
このMCにはかなり重要なパンクスピリットが詰まっている(もちろん音楽もいい)。
パンクとは、詰まるところ、態度であるということを本作は首尾一貫して、様々な関係者によるインタビュー、パンク史、音楽などを通して語っている。
PUNK:ATTITUDE パンク:アティテュード(2008年)
MC5はパンクの始祖であり、イギー・ポップ&ザ・ストゥージズの兄貴分であるバンドであり、共にデトロイト・ロック・シーンを牽引した。
他にも、パンク黎明期にはベルベット・アンダーグラウンドも登場し、ニューヨークからパンクは始まったとされている。
1970年代中頃、それまでのロックがマンネリ化した反逆として自然発生したムーブメントだ。
プログレ、ハードロックが複雑化した路線にうんざりした聴衆が立ち上がり、ヒッピーを含め、これらを追い出し破壊して、等身大の音楽を求めて再出発を図った。
ニューヨーク・ドールズの台頭を筆頭に、ニューヨークのライブハウスCBGBではテレビジョン、パティ・スミス、ラモーンズなどが続いて出演し、USパンクムーブメントを形成。
その潮流は国境を越えて、イギリスへ飛び火する。
ニューヨーク・ドールズに帯同していたマルコム・マクラーレンがパンク・カルチャーを持ち込むなどがきっかけとなり、当時の世相である高い失業率、インフレ、生活水準の低下などにより、社会的な不満が溜まる社会現象と重なり、普及が加速した。
結果、クラッシュ、ダムド、ザ・ジャム、セックス・ピストルズなどのバンドが誕生し、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどのファッションも含め、UKパンクムーブメントへと発展した。
しかし、これら一連のパンクムーブメントは長続きすることなく、70年代とともに終焉を迎える。パンクは短命という宿命を抱えていて、それが魅力でもあった。
それでも、パンクの精神は今なお色濃く残っており、最後に映画で印象に残ったいくつかの格言を紹介したい。
今回からはじめるnoteではパンク映画を紹介。
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