今こそみるべしパンク映画【ギミー・デンジャー】
映画では挨拶程度のアバンタイトルが終わるや否や、オープニングと共にタイトルにもなっている「ギミー・デンジャー」が流れる。
日本では邦題「淫力魔人」として知られる、パンクの聖典「Raw Power(1973)」に収録されている、ゴッドファーザー・オブ・パンク、イギー・ポップの代表ナンバーのひとつ。
イギーポップは昔からいつもみなれた上半身裸になり、奇妙な動きでステージを動き回り、パワフルかつ過激なライヴ・パフォーマンスを披露する。
この企画は、イギー自ら「俺たちストゥージズの映画を撮ってほしい」と監督のジム・ジャームッシュにオファーし、実現したもの。
本作は、今まで映像で語られたことのなかったイギーポップが率いた伝説のバンド、ザ・ストゥージズの軌跡を綴る、ジャームッシュにとっては20年ぶりとなるドキュメンタリー。
ギミー・デンジャー(2016年)
オープニングのあと、イギーからさっそくパンクの流儀が語られる。
ジャームッシュは、パンクな映画作家だ。それは監督デビュー作から顕著に表れているし、その姿勢はずっと変わらない。
そんなジャームッシュがイギー・ポップ&ザ・ストゥージズのドキュメンタリーを撮るという待望の組み合せからしてワクワクであったし、身震いを感じ、刺激的であった。
イギーは、ジャームッシュ作品にも多数出演しており、「デッドマン」、「コーヒー&シガレッツ」、「デッド・ドント・ダイ」で存在感のある役者としても活動するなど、親交を深めてきた。
ジャームッシュは、史上最高のロックンロール・バンドに宛てたラヴレターだと語っている。
ストゥージズは、1967年から74年にかけて活動し、「The Stooges(1969)」、「 Fun House(1970)」、「Raw Power(1973)」といった3枚のアルバムを残し、バンドは自然消滅。
パンクムーブメント以降、評価は高まりのちに伝説のバンドとして語られるようになる。
MC5、ヴェルヴェット・アンダー・グラウンドと共に、パンクの始祖としてイギーとストゥージズのメンバーがどのような活動をしてきたのか、その過程でいつ代表曲が生まれてきたのか、誰と共演することで成長してきたのかといったことが描かれる。
そして、重要なことは、彼らは何に対して抗っていたのかも。
映画は、生々しく荒々しい等身大のイギー・ポップ&ザ・ストゥージズに対する、バンド愛とセンスが光る敬意に満ちた作品となっている。
タイトル曲の他にも「I Wanna Be Your Dog」、「No Fun」、「1970」、「1969」などの名曲に彩られており、これからもインスピレーションを与え続けるだろう。
イギー・ポップ・フォーエバー。
最後に映画で語られるイギーの印象に言葉を持って締めくくりたい。
noteではパンク映画を紹介。
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