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男女の枠を超えた「強さ」の表現『海月姫』(俳優ピックアップ-菅田将暉.2-)

チア部の藤原です。今日は菅田将暉さん特集第二弾として『海月姫』をとり上げます!

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最初にロードショーでこの映画を観た時、私は高1でした。
その時は、この物語の中で菅田将暉さん演じる蔵之介が女装している理由がいまいちわかりませんでした。「なんかわからんけどキレイね~~」以上!という感じでした。
でも、今この作品を改めて観て、蔵之介が女装をしている理由がなんとなくわかった気がするんです。
それなので、今日の記事では、この理由を紐解いていくと共に、「蔵之介がしているのがただの女装ではない!」という理由がしっかり考えればわかるように演技で表現している菅田将暉さんはすごいねー!というまとめに持っていきたいと思っています。
よろしくお願いします。


それから、この『海月姫』という作品なのですが、イマイチ、オタクに対するリスペクトに欠けているので、私自身はこの作品全体全部が好き!というわけではないことと、原作・ドラマ版は未履修ということだけ補足させて頂きます。

配信・レンタル

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観られるところ多くてビビりました

蔵之介が抱える生まれつきの事情

女装をして、のん(能年玲奈)さん演じる主人公・月海の前に彗星のごとく現れる鯉淵蔵之介。彼は大物政治家の鯉淵慶一郎と、その愛人の間に生まれた子供です。幼少期は実母と暮らしていましたが、跡継ぎになり得るという事で、今は、実母と今後一切合わないという約束で鯉淵慶一郎に引き取られています。

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大物政治家の次男として生きる事を強いられている。「男」であるから必要とされている自分の存在に疑問を持っている蔵之介。
「政治家は息子なんか何人でも欲しいからさ」「俺は政治の世界じゃなくファッション界で生きていきたいから!」と、セリフの端々からもそれが伺えます。

生まれ持ったステータスを壊そうとする蔵之介の在り方はドラァグ的?

蔵之介は、家族に「男」で「政治家の跡継ぎ候補」としてのみ認められている自分の価値を、女装して、さらにファッション業界を目指すという夢を持つことで壊そうとしています。
これを踏まえ、私は、蔵之介の女装は、女装ではなく「ドラァグ」として見て良いのではないか?と思うようになりました。
女装とドラァグの違いってなんぞや……私も絶対これ!という定義は示せないのですが、こんな感じです↓

女装は、単に「女性のような恰好をしている」こと全般を指す
ドラァグは「パフォーマンスや美意識を通してジェンダーを脱構築する破壊的アート」「男性らしさと女性らしさ双方にある「もろさ」を浮き彫りにするパフォーマンス」

蔵之介は別にド派手なメイクとかしてるわけじゃないんですが、精神論とか在り方・ふるまいがドラァグ的だなと私は思いました。

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菅田将暉さん本人がどこまでそれを意識して演じているのかわからないけれど、蔵之介の表現を「キレイな女の子の恰好をしている」という段階で終わらせていないところがすごい。

(蔵之介の来ている服、ビビットで奇抜でかわいくてかっこいいのですが、衣装デザインの方を調べても残念ながらあまり情報を得られませんでした。悲しい。
とにかくこの衣装が似合うところもすごいです。)

蔵子に扮する蔵之介の姿は性別の枠を超えた「強さ」が表現されていると思います。

月海たちに「天水館がなくなってもいいのか」「お前たちにとって大切な場所なんじゃないのか」と野太い声で迫る様子は、「女性になりきろうとしている」キャラクターとして処理するには多少無理があります。それでも違和感が無いのは、蔵之介がしているのが「女装」ではなく「ドラァグ」だからなのではないでしょうか。

演技としてこういう表現をしている菅田将暉さんが本当にすごいですし、かつ、高校の時にはそんなこと思ってもみなかったけど何年も経って私自分がその解釈に行きつく事ができて良かった!と個人的に思います。

蔵之介が見つけた居場所

キラキラしていて強くて皆を引っ張っていく存在で、月海達にとってはまぶしい存在の蔵之介ですが、一方で彼は傍からはわかりづらい暗い過去や闇・弱い部分を持っています。ドラァグ状態の蔵子としては「強さ」を表現できるけれど、蔵之介としては底知れない「弱さ」を抱えているのです。
しかし、「政治家の子供」「男」というプロフィールを抜きにしても自分自身を認め、受け入れてくれる月海達と出会った事で、彼ははじめて居場所を見つけ、救われるのです。

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『海月姫』は月海の成長を描いた物語ですが、実は蔵之介の救済の物語でもあるのだと思います。
この、蔵子の強さと蔵之介の弱さのバランス感がうまく表現されているところもすごいなと思います。

最後に

余談として?去年舞台「カリギュラ」を観に行って、そこで菅田将暉さん演じるカリギュラが真っ黄色のチュチュで出てくる場面がありました。
何がはじまるのか…とびくびくする家臣たちの前に突然チュチュを着て出てきておもしろおかしく踊る、という、まあ爆笑のシーン(かつ突然空気を壊す不気味なシーン)だったんですけど、それもすごいドラァグ的だったので、この人やっぱりわかってらっしゃる…と思いました(笑)

『海月姫』、最初に記載したようにだいぶ色々なところで配信されているようなので、もしご興味あればぜひに。

(藤原)


参考・引用




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