おおさかシネマフェスティバル2023
京都支部の今村です!みなさんいかがお過ごしでしょうか。
今回は先日参加させていただいた「おおさかシネマフェスティバル」について、表彰式の様子を皆さんにお伝えします!
おおさかシネマフェスティバル2023
3月5日に、大阪・堂島のホテルエルセラーン大阪にて「おおさかシネマフェスティバル2023」が開催されました。
1976年から40年以上の歴史を持ち、毎年定番となっている映画の祭典を今年も豪華ゲストが彩りました。
表彰式内では作品賞をはじめ、監督賞やワイルドバンチ賞といったユニークな賞まで多くの表彰が行われましたが、今回はいくつか厳選して皆さんにお届けしたいと思います。(今回紹介しきれなかったものはまた別の機会で……)
作品賞
前回、2022年には『ドライブ・マイ・カー』が受賞した作品賞、今年は金沢知樹監督の『サバカン SABAKAN』が選ばれました。
『サバカン SABAKAN』では、長崎の海街に住む小学生の久田が、貧乏なためにからかわれている同級生の竹田と、ひょんなことからイルカを見るために「ブーメラン島」を目指す冒険に出ます。しかし、深まったはずの絆にふとしたことで亀裂が入り、悲しい出来事が起こってしまうというストーリー。実際に僕も見ましたが、みずみずしい映像と二人の少年の姿にはどこか懐かしさを感じ、つい自分の子供時代を思い返してしまうような演技がとても印象的でした。
急遽客席から登壇した金沢監督曰く、貧乏でからかわれる竹田は自分と重ねることができるとのこと。小学生時代、竹田のようにランニングばかり着ていた自分に貧乏だと噂が立ち、学級会が開かれることもあったと裏話をし、会場全体の笑いを誘いました。
新人男優賞
今年の新人男優賞は、先に紹介した『サバカン SABAKAN』より、主演を演じた番家一路さんと原田琥之佑さんに与えられました。登壇時にはなぜか客席にいた金沢監督に気付き驚いている様子でした(笑)。
それぞれ映画での演技が初めてにも関わらずフレッシュな名演を見せた二人、監督の演技指導について聞かれた際には、お互いを見ながら「何も言われなかったよね(笑)」「自然体でいろと言われた」と振り返ります。浜村さんも二人の演技を「感性豊か」だと称賛していました。
途中からは浜村さんに呼ばれ再登壇した金沢監督と漫才のような掛け合いを披露し、会場は大いに盛り上がりました。
新人女優賞
新人女優賞に選ばれたのは、映画『マイスモールランド』より嵐莉菜さんでした。ピンクの華やかなドレスに身を包み登壇した彼女は、まず監督にお祝いの言葉を述べました。演技をする上での苦労を聞かれると「自分の知らない出来事における感情の出し方に苦労した」と答えていました。
それでも確かな演技力と美貌で主人公サーリャを表現した彼女に浜村さんも「あまりに美しくて、一歩後ろに引いちゃいました」と鑑賞時の印象を熱心に語っていました。
助演女優賞
助演女優賞は、またまた『サバカン SABAKAN』より「おおさかシネマフェスティバル」常連でもある尾野真千子さんでした。
さすがの常連、浜村さんとの掛け合いは爆笑必死でした。浜村さんに「かたっぱしから賞を取っている。家の中トロフィーだらけでしょ?」と聞かれると、尾野さんは食い気味に「そうですね!」と答え笑いを誘いました。
今回は母親役で受賞した尾野さん。いつの間にか母親役をやるようになったことには思うところもあるようで「いつからセーラー服を着なくなったのか……」と残念そうに話していました(笑)。
とはいえ、安定の演技力はさすがと言えるもので同じ母親役だと『こちらあみ子』も記憶に新しいですね。
助演男優賞
助演男優賞は尾野さんに続き、過去にもおおさかシネマフェスティバルの受賞経験がある桐谷健太さんでした。
登壇して早々、浜村さんにショートメッセージを求められると「ショートメッセージ?浜村さんのショートはショートじゃないと思うんですけど(笑)」と戸惑いをみせ、会場を沸かせました。
今回は二宮和也さん主演の『ラーゲリより愛を込めて』からの受賞となった桐谷さん。作品作りにおいては「苦労すらも楽しみたい、充実した撮影にしたい」とのことでしたが、テーマの重い今作においては「撮影途中で絶望を感じた」「闇を感じ、セリフを言えなくなった」と難しさがあったことを明かしました。
トーク中には浜村さんが急に映画のクライマックスをネタバレしたため、桐谷さんも「それ言うんですか!?」と驚き。結局は「言いましょう言いましょう!」とそれに乗っかっていました。
主演女優賞
今年の主演女優賞は『ハケンアニメ!』より情熱あふれる新人アニメ監督を演じた吉岡里帆さんが受賞しました。
尾野さんや桐谷さんの掛け合いがあまりにも盛り上がっていたため、舞台袖で「面白すぎて、怖い……」「(バラエティ)番組じゃないですよね?」と笑いながら不安を吐露。また浜村さんが急に吉岡さんの出身高校を挙げると「高校バラしちゃうんですね!(笑)」と驚きをみせました。
撮影で難しかった点については「監督とプロデューサーの意見が食い違うとき」だと語っていました。
主演男優賞
最後に発表された主演男優賞は、『夕方のおともだち』よりマゾヒスティックな性癖が醒めかかっている男という難しい役どころを演じた村上淳さんでした。
登壇して早々、「吉岡さんに続いてモニターを見ていて……。何か面白いことを言わないと」と同じく不安を抱えていたことを口にしました。
今回はSMがテーマとなる作品、村上さん曰く演技自体に抵抗はなかったそう。浜村さんに「実際にSMのシーンはやったのか」と聞かれると、ほとんどが演技用の道具を使っているが、共演した鮎川桃果さんに叩かれるシーンだけは実際に行ったとのこと。あまりにも遠慮なく叩き、すぐにケータリングを食べる鮎川さんを見て「女優って怖い(笑)」と感じたと裏話を披露し観客の笑いを誘いました。
ちなみに実際にSMに目覚めているわけではなく、今回の撮影には「目覚めたらラッキー」と思って臨んだそうです(笑)
以上、簡単にではありますが「おおさかシネマフェスティバル2023」の様子をお届けしました。
ここでは紹介しきれなかった他の受賞は次のようになりました。
監督賞:高橋伴明(『夜明けまでバス停で』)
脚本賞:梶原阿貴(『夜明けまでバス停で』)
撮影賞:斎藤幸一(『とんび』)
音楽賞:大島ミチル(『サバカン SABAKAN』)
新人監督賞:川和田恵真(『マイスモールランド』) 山﨑樹一郎(『やまぶき』)
ワイルドバンチ賞:『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』
公式サイトでは、今回の表彰式内では紹介されなかった「ベストテン作品賞」なども紹介されています。ぜひチェックしてみてください!
編集後記
今回初めての参加となった表彰式。お話をいただいた段階から、どんなものなのかわくわくが止まらず当日を迎えました。
いざ表彰式が始まると、司会の浜村淳さんの映画愛溢れるトークで会場は大いに盛り上がり、僕自身も終始笑いっぱなしの時間を過ごしました。(カメラの調子が悪くいい写真が取れずに残念でしたが……。※写真はオフィシャル画像を提供していただきました)
「シネマフェスティバル」なんて聞くと、映画を最近見始めた人にはなんとなく敷居が高く感じるかもしれません。しかし僕は今回のようなイベントこそ、映画に興味を持ち始めた人におすすめだと思いました。
演者や監督から直接お話を聞ける機会は、普段はスクリーン越しである映画の世界と皆さんの距離をぐっと縮め、さらに映画を好きになるきっかけになるでしょう。この記事を読んで、来年の「おおさかシネマフェスティバル」はもちろん、全国各地の映画祭などに足を運んでもらえると嬉しいです。 今村