大阪ミニシアター巡り🚗第5弾【シネマート心斎橋】
こんにちは!映画チア部大阪支部の(なつめ)です。
久しぶりの大阪ミニシアター巡り🚗
今回訪れたのは、大阪・心斎橋にあるシネマート心斎橋です!
韓国をはじめ様々なアジア映画が数多く上映される、関西でも唯一無二の映画館です。
私もこれまで韓国や台湾、香港映画をたくさん観に行った思い出があります!
劇場内にはポスターや手書きのポップ、韓国の映画スターが大集合のバナー等が貼られていて、映画を鑑賞する前にいろいろ見て歩いては楽しくなる大好きな空間です。
そんなシネマート心斎橋は、10月24日(木)をもって閉館することが発表されました。
未だに信じられない気持ちと今から寂しい気持ちでいっぱいですが、24日までにもまだまだたくさんの映画が公開されるということで、この記事を通して今からでも一人でも多くの方にシネマート心斎橋の魅力が伝わればいいなと思います!!
9月某日、(なつめ・りょう・まる)の3人でシネマート心斎橋にうかがい、取材前には3人で『ボストン1947』(2023/カン・ジェギュ監督)を鑑賞しました。
ここからは、シネマート心斎橋の支配人である横田さんへのインタビューの模様をお届けします!
1時間半にわたってたくさんお話しいただき、楽しい時間を過ごさせていただきました…!
楽しんで読んでいただけると嬉しいです☺️
(聞き手:なつめ、りょう、まる)
シネマート心斎橋について
「アジア映画に特化した」映画館
チア部:シネマート心斎橋は「アジア映画に特化した」と言われますが、どういう基準で上映する映画を選んでおられるのか、その編成についておうかがいしたいです。
シネマート心斎橋支配人 横田さん(以下、横田さん):なんでアジア映画が多めになったかというと、株式会社エスピーオーがシネマート心斎橋を運営しているんですけど、エスピーオーはそもそもアジアのドラマとか映画とかコンテンツの権利を買ったり放送したりソフトを作ってレンタルしたりっていうのをやっていたんです。ペ・ヨンジュン主演の『冬のソナタ』(2002)で第一次韓国ドラマブームが起きて、そのときにたくさん韓国のコンテンツをエスピーオーが取り扱うようになりました。映画もそのときにたくさんあったので、これは他の映画館に上映してもらうより、自社で映画館を作ってそこで上映すればいいんじゃないかということで、シネマートが六本木、心斎橋、新宿、の順でできました。六本木はもう閉館して、心斎橋と新宿で18年やってきました。
最初はそんなふうにアジアのコンテンツが自社にたくさんあったので、アジアの映画を特集してたくさん上映していたんですが、他の洋画や邦画の配給会社さんからもシネマート心斎橋で上映してもらえませんかという依頼がきて、上映するようになりました。
チア部:権利とか配給とかが最初だったんですね。
横田さん:そうですね。大きい映画館でかかるような映画ではなくて割と小規模な、でも結構有名な人が出てるような韓国映画をいくつか集めて上映する「韓流シネマフェスティバル」をもともとはシネ・リーブル梅田(当時)さんでやってもらっていたんですけど、自社で映画館を作ってやりましょうとなって、オープンした2006年4月に「韓流シネマフェスティバル」として10本くらいの韓国映画を日替わりみたいな形で上映したのがシネマート心斎橋のはじまりです。それで割とお客さんたちの間では、アジア映画とか韓国映画をたくさんやってる映画館っていうことで認識されたかなと思います。
「サヨナラシネマート心斎橋映画特集」の映画たち
チア部:10月11日(金)から始まる「サヨナラシネマート心斎橋映画特集」にも韓国映画がかなり入っていますよね。
横田さん:ヒットした映画というよりは、私たちスタッフの印象に残る映画を選んだつもりです。
『1987、ある闘いの真実』(2017/チャン・ジュナン監督)とか『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2017/チャン・フン監督)とかは、今上映している『ソウルの春』(2023/キム・ソンス監督)ともつながるような話で、その前後を描いています。
朝鮮半島の南北問題を取り扱っているのが『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(2018/ユン・ジョンビン監督)。北のスパイ、南のスパイが出てくる映画です。
『サニー 永遠の仲間たち』(2011/カン・ヒョンチョル監督)はこれを基に日本でもリメイクされましたよね。学生時代の仲間たちが大人になって再会する話なんですけど、そこでちゃんと韓国の歴史も追っているし、すごく良い映画なのでぜひ観てほしいです。
公開した当時、何回もリピートしてくれるお客さんがいました。偶然話しかけてこられた30代後半くらいの男性のお客さんが「すごい気に入って何回か来てるんです」って言われたので、「何回目ですか」って聞いたら、「6回目です」って。
チア部:おぉ~~すごい!
横田さん:そういうリピーターをたくさん生み出した映画ですね。女性たちを描いた映画なんですけど、男性も泣きながら出てきたりとか……そういう方が多数いたというのでスタッフの記憶に残っている映画です。
最終日前日の『ノンストップ』(2020/イ・チョルハ監督)は、コロナ禍でまだ1席ずつ空けていた頃に公開した映画でした。世の中が暗いときってお客さんはエンタメに明るさを求めて来るので、コメディ映画の『ノンストップ』を観てみなさんめちゃくちゃ笑ってくれて、スタッフもすごく嬉しかった印象があります。
最終日の『エクストリーム・ジョブ』(2019/イ・ビョンホン監督)もコメディ映画でめちゃくちゃ面白くて、最終日は笑って終わりたいという意味で選びました。
あともう1本、『ミッドナイト・ランナー』(2017/キム・ジュファン監督)は、今をときめくパク・ソジュンが主演の映画です。当時パク・ソジュンがどれくらい人気なのかを正直私認識してなくて、他の映画もあるので1日2回上映を組んでたら、めちゃくちゃお客さんが増えちゃって(笑)。めっちゃ人気あるんだね!っていうファースト・パク・ソジュンの映画です。
なんとなくそういう、印象に残った映画を集めてやってみることにしました。
チア部:今Tシャツを着られている『ゴーストワールド』(2001/テリー・ツワイゴフ監督)も上映されますね。
横田さん:『ゴーストワールド』は私の偏愛映画なんです。ロードショーした当時私は観てなくて、話題になった後多分レンタルして観たんですけど、ちょっともう……めちゃくちゃ響いてしまって。
それから何年も好き好き言い続けてたある日、東京で『ゴーストワールド』上映決定っていうニュースが昼休憩中にTwitterで流れてきて、その何秒後かにはわーってどこが配給するのか調べて、電話したんです。そしたらつながらなくて、めちゃくちゃ長文のメールを書いて、「私は『ゴーストワールド』が昔から大好きで~~~……、大阪で上映館が決まってなかったらうちで上映させてください~~~……!!!」って送ったけど、それから何日かは連絡がなくて…。だめだ、もうどっか決まってたんだなとがっかりしてたら、返信が来て、「ぜひシネマート心斎橋さんで」ってなって、ちょっと……嬉しすぎて泣いたっていう映画です。大好き!
チア部:『ゴーストワールド』のどんなところがお好きなんですか?
横田さん:私は高校生の頃陰キャで、大学進学で田舎から大阪に出てきたんですけど、大学にも最初全然なじめなくて。女子大だったんですけど、本当におしゃれな都会の人たちばっかりで、自分はこの先も映画ばっかり観る人生だと思って、友達もそんなにいてなくて。
『ゴーストワールド』の主人公イーニドは全然人に合わせず自分を貫いているんだけど、ちょっとうまくいかないっていう割ととんがった性格。でも親友はちゃんと徐々に丸くなって社会人になってちゃんと働いて……みたいな、ずっと一緒だと思ってたのに、道が分かれちゃう。私は陰キャのほうなので、嫌なことが何個か重なると、『ゴーストワールド』の最後のバスに乗って私もいなくなればいいんだってすごい思っちゃって。どこか別のところに自分の居場所があるにちがいない、誰にも何も言われずになくなりたいって思ってた人だったんですよ。
そんなふうにすごい響いてたんですけど、なんだかんだあって、映画が好きなままでも生きていけるってちょっとずつ思うようになって、今こんなふうに生きています。だから私はきっと、バスが来たけど乗らなかったんだって思います。嫌なことがある度に、何回・何十回とバスに乗っていなくなりたいと思い出してたんですけどね。すごく思い入れがある映画です。
だから、上映できて本当に嬉しかった。しかも満席だったんですよ、初回が。昔の自分に教えてあげたいって思いました。
チア部:『ゴーストワールド』は自分(りょう)の友達でも好きな人が多くて、そういう人生の岐路に立ったときに悩むのを支えてくれるっていうか、それは全然年代を超えても変わらないものだなって思います。
横田さん:他にも人生に迷ったときとかつらいときに観る映画っていうか思い出すシーンやセリフはいくつかあるけど、『ゴーストワールド』はめちゃくちゃハマっちゃって。バスに乗って行くシーンは本当に、号泣しました。シネマート心斎橋で上映させていただくことになって、そのときに初めてお客さんと一緒にスクリーンで観たんですけど、それもすごい嬉しくて。
チア部:去年シネマート心斎橋で上映されているときに、『ゴーストワールド』の主演2人のコスプレをして来られたお客さんと一緒に撮った写真をインスタのストーリーで見ました!可愛いなぁと思って。
横田さん:そうなんですよ!「ゴーストワールド Tシャツ」って検索するとイーニドが着てたやつは買えるんですけど。もう1人のスタッフに、「私はイーニドやるから自分はスカーレット・ヨハンソンな」って言ってやってもらったんですけど。そしたら私たちよりも全然若い、皆さんよりは多分年上のお客さんが、もっと完成度の高い(笑)コスプレをして来てくれて、4人で写真を撮りました。すごい嬉しかった。世代を超えて通じることあるんだなぁって。
チア部:なんか……胸があったかくなりました……!
横田さん:もっと若い世代の人がいっぱい来てくれて、もっとみんなこういうの観ていいんだよって思いました。言い方はよくないかもしれないけど、SNSが世の中に定着してから、誰かが良いって言ってるものを調べて観る傾向があると思うんだけど、好きを貫いて良いんだよっていう気持ちです、今は。めっちゃ若いのに韓国映画めちゃくちゃ観てくれる子とかいるんですよ。いつも初週に来てくれる人もいて。そういう気持ちをなくさないでほしいって思います。
「楽しくやりたい、しかない」映画館の空間作り
チア部:『ゴーストワールド』が上映されている時はイーニドとレベッカ2人のスタンディがあったり、ウォン・カーウァイ特集のときは壁1面にポスターが貼られて圧巻だったり、壁にはいろんな映画の手書きのポップなどが貼られていたりして、いつもじーっと見ちゃいます。
横田さん:あれは私の希望なんです。支配人になったとき、目指す映画館像みたいなものがあるといいなと思って、「写真を撮って帰りたくなる映画館」を打ち出しました。今いるスタッフたちにも辞めていったスタッフたちにもそういうことができる人たちがいて、たくさんポスターを壁に貼ってくれたりポップを書いてくれたりしました。映画プラス、写真を撮ったり、ポップで監督の前作は何なのかとか誰が出てるのかとか知ったりして帰ってほしいっていうのがあって、やってもらっています。お客さんを楽しませるためにはスタッフも楽しくないとだめだと思っていて。お客さんもスタッフも楽しめる映画館が理想なんです。そういうところを目指したいという気持ちをみんなが汲んでくれました。
チア部:アルバイトスタッフも積極的に参加できるんですね。
横田さん:そうです!バイトの学生の子とかフリーターの子が作ってくれてます。私は「あんなふうにやりた~い」とか「こんなドリンク売りた~い」って言ってます(笑)。
チア部:ドリンクも!?
横田さん:そうです!あれも、スタッフが「こんなのやりたいんですけど」って考えてくれた企画を、配給会社さんに「こんなのやりたいんですけどいいですか」って聞いたり、「もしステッカーとか付けてもいいなら画像をいただけたらステッカーも作ります」って言ったりしてから、「画像もらったからステッカー作って~!」みたいな。本当にバイトの子たちが頑張ってくれてます。最初はお願いしていいものだろうかって思ってたんですけど、よく考えたら私も最初アルバイトスタッフとしてシネマート心斎橋に入って、ポスターにこんなの付けたらよくない?とかやってたから、一緒だなと思って。そういうのが得意な子がやってくれて、お客さんが「すご~い」って写真撮ってくれてるの見て嬉しそうだから、それもすごく良いなぁと思ってます。
チア部:実際にいろいろ手作りしていることで、あの劇場の空気感が作られているんだなってわかりました。
横田さん:今、「映画プラス何か」っていうのが世の中に求められていて、大きい劇場はIMAXとか4DXとか、映像をいかにして特別に見せるかみたいなことが問われていると思うけど、ミニシアターはそもそも機材面では全然シネコンにはかなわないし……。お客さんが金土日の3日間とか1週間のうち1日とか1回でもシネマート心斎橋に来て、映画を観てもらえるにはどうしたらいいのかっていうのを考えて、特別なものを出さないといけないと思ってやってます。ドリンクとかもあったらちょっと楽しいしね。なにぶん楽しくやりたい、しかない。みんなができるだけ楽しくやりたいという気持ちでやってきました。
チア部:すごくそれが伝わってくる劇場だなと、今思い返しても感じました。
「アジア映画」について
アジア映画の魅力とは?
チア部:次は「アジア映画」についていろいろうかがいたいと思います。
私(なつめ)自身韓国映画とか台湾映画とか、いわゆる「アジア映画」に括られる映画が好きでよく観るし、好きな映画何?って聞かれて「アジア映画」と返すこともあるんですが、そうは言っても範囲が広いな…と思うことがあります。
そんな「アジア映画」の魅力とは、横田さんは何だと思われますか?
横田さん:距離的に近いのに、全然知らないっていうことだと思うんです。ハリウッドとかディズニーなどの映画って、幼い頃から外国の文化として慣れ親しんでいるんだけど、韓国とか台湾とかは距離的には飛行機で1時間とかで行けるけど、全然知らないことがまだまだいっぱいあるじゃないですか。今日『ボストン1947』を観てもらって、ああいうことがあったっていうことを我々は全然知らない、隣の国なのに。韓国もだし、台湾とか中国とかタイとか。映画を観て初めて、「へぇ~そんなことがあったんだ!」とか「そういう習慣があるんですね」とか「めっちゃ美味しそうなものがありますね~」とか、初めて知ることが結構ある。近くて、近いのに、全然知らないものを、エンタメで知れるっていうのが魅力だと思います。
韓国とか台湾だったらすぐ行けるし!韓国ドラマブームがあったときに友達がすごいハマって韓国に一緒に行ったんですけど、ロケ地巡りを一緒にしたんですよ。そういうのも実際すぐできるし、すぐに行って確かめられる。うちに何年も来てくれているお客さんたちの中には、先に韓国で観てる人も結構いるんですよ。字幕がついてなくて細かいところがわからないからって、日本で公開されたらうちに来る人もいて。
そんなふうに、映画によって今まで知らなかったことを知って、どんどん距離が縮まっていく感じがしていて、それがアジア映画の魅力じゃないかなと思います。
チア部:私(なつめ)はアジア映画の冠婚葬祭……特にお葬式のシーンを観るのが好きなんですが、距離も近いし姿形もなんとなく似てるのに、日本とは全然違うこんなお葬式をするんだ!って知るのが面白いです。
横田さん:拝むときの姿勢とかも全然違うからね。そういうちょっとしたことで、映画を観ることでちょっとずつ距離が縮まっていく気がするので、みんなもっと近くの国のことを知る意味でも観てほしいですね。でもそれでも、昔よりだいぶ近くなった気がするんですよ。みんなくらいの年齢の人も観に来てくれるし。
特にエンタメ色が強いものの例で、アジアンホラーをやるとめっちゃ若い人が来てくれるんです。今年は『呪葬』(2022/シェン・ダングイ監督)という台湾ホラーを夏にやったんだけど、ビッグステップの上の階でやってた体験型お化け屋敷とコラボして、お化け屋敷でも『呪葬』をやって、その後の上映回のときに上映後キャストのお化けたちがわーって出てくるのをやったら、めっちゃくちゃお客さんが来てくれて、しかも若い人が。エンドロールが終わっても「すいません、停電して電気がつきません……」みたいな演出で、お化けの人たちが出てきて客席を回ってくれるんだけど、お客さんが「キャー!!」とか「ほんま無理やって!」とか大きい声で言ってるのが聞こえたりとかしてすごい楽しくて(笑)。ホラーが観たいのとお化けが出てくるっていう情報だけで来てくれたんだろうけど、ついでに台湾の何かも一緒に観れちゃうっていうのが、すごいなぁと思って。若い人たちはホラーであれば国は問わないというか、怖いものが観たいという気持ちで来てくれるんだろうなぁと思って、それは最近の発見です。
コロナ禍中に韓国のコンテンツがNetflixとか配信で観れるようになって、配信ドラマから入った人たちが、ドラマで観てた俳優さんの映画を今映画館でやってるんだ!っていうので来てくれる、逆の現象も起きましたね。それまでは映画が好きな人だけが来てくれてたけど、今やドラマ好きも来てくれるようになっていて、ちょっとずつアジア映画が認知されてきたかなっていう気はしていますね。Netflixは見るけど、お金払って時間割いてまでって人もいると思うけど……。それはそれで、本当に観たいものがやってたら来てくれるんだろうなと。
チア部:ホラー怖くて全然観たことないです……。
横田さん:アジアンホラーは結構面白いですよ。土葬と火葬とかも違うし。あと、タイのホラーもやったんですけど、宗教的なものが全然違うから、面白いですよ。
チア部:そういう宗教的な感覚の違いが一番現れるジャンルがホラーなのかもしれないですね。
横田さん:そうですね。韓国ってまだまだ祈祷師がいるらしくて、何かあると祈祷師が来てくれて祓ってくれるとか。そんな映画を上映したとき、「ちょっと前の話ですよね?」って配給会社の人に聞いたら、「全然今の話ですよ!」みたいな(笑)。ホラーからアジア映画に入ってみるのもいいかもしれないですね。
支配人横田さん的アツい!アジアの国々
チア部:横田さん的に「今アツい!」とか「ずっとアツい!」国や地域はありますか?
横田さん:オープンで韓流シネマフェスティバルをやった以降、うちでは韓国映画をほぼ途切れることなく上映してる、途切れたとしても2週間ぐらいで。1ヶ月韓国映画がまるまるなかったねっていう時はなかったと思うんですよ。それくらいやってるから、韓国映画は観れるのが普通って私の中では思ってます。
台湾映画は、めっちゃキラキラしてる!台湾っていう土地柄もあるのかもしれないけど、日本のキラキラ映画とはまた全然違う、めっちゃキラキラした成分が画面に映ってるんですよね。そういう意味でも台湾映画は若い人にもっと観てほしいです。
さっきは台湾ホラーの話をしましたけど、タイホラーでちょっと前に上映した『女神の継承』(2021/バンジョン・ピサンタナクーン監督)は、めちゃめちゃ怖いんですけど。タイって街中にお坊さんがいっぱいいるし、仏教の信仰も篤いし、宗教が生活と密接につながってる国だと思います。タイのお坊さんは女性としゃべったらだめらしいんですけど、昔タイの旅行中に洞窟の中にあるお寺を調べて行った時、入口がわからなくてどうしようってなってたら、しゅ~って音もなくお坊さんが来て、私と友達に手招きして黙ってずっと先を歩いてくれたんです。そういう神様の国っていうタイのイメージがすごいあって、タイの映画は結構好きかもです。韓国以外にってなると。すごい不思議な空気があります。あとタイのBLドラマが大ヒットして、タイのスターが出てる映画も結構日本に入ってくるようになったので、タイの映画は今からでも全然観やすいと思います。
チア部:私(なつめ)も3年前くらいに『2gether』(2020)にドハマりして、そこからタイ映画も観るようになったんですけど、面白くて好きです!
横田さん:日本に近いのに全然違うんやなぁって思いますよね。
シネマート心斎橋支配人横田さんについて
支配人になった経緯
チア部:先ほどアルバイトから支配人になられたというお話がありましたが、どのような経緯で支配人になられたのでしょうか?
横田さん:アルバイトのオープニングスタッフとしてシネマート心斎橋に入って、2人目の支配人が異動になったタイミングで初代の支配人が私にやらないかと言ってきてくださいました。私自身は全然出世欲なんてなくて、支配人をやりたいという気持ちも特になく、最初はえーという感じだったんです(笑)。もっと適任の人がいると思っていたんですけど、そうやって言われて、じゃあやってみようかなとなりました。
シネ・ヌーヴォの山崎紀子さんとはミニシアターの女性スタッフを集めたトークイベントがきっかけで仲良くなり、支配人にならないかという話があった時も山崎さんに相談しました。「いいやん、いいやん!やろう!やろう!」と言われて、背中を押され、支配人になりました。
チア部:山崎さんとはそのトークイベントからの仲なんですか?
横田さん:そうです。大阪のミニシアターの人は割とみんな横に繋がっていて、シネ・ヌーヴォさんとナナゲイさん、シアターセブンさんはそもそも繋がっていると思うんですけど、テアトル梅田さんも支配人の方とお話したり、お食事に行ったことがあります。映写機の調子が悪いときには相談したりとか、チラシを置いてくれないかとか、ポスター貼ってほしいとか、そういうのは相談してやっています。仲良しですね(笑)。
若者とミニシアター
横田さん:東京って映画館の数も大阪に比べてたくさんあるし、東京の名画座と呼ばれる、シネ・ヌーヴォのような役割をしている映画館が何館かあると思うんですけど、東京ではそういう映画館にも若い人がたくさん来ているんです。その一方、大阪では若い人とミニシアターがあんまり繋がっていない気がするんですよね。シネコンでかかるメガヒット作にはみんな行くけど、そうじゃない映画はあまりヒットしていないというか。これは他の映画館の人とも言っているのですが、昔は東京の動員数の半分ぐらいが大阪の動員数だと言われていたんです。それが3分の1になり、4分の1になり、今では体感10分の1ぐらいの気持ちです……。東京でいっぱい人が入ってとてもヒットしているという情報は流れてくるけど、いざ大阪で同じ映画をかけても、そんなにお客さんが来てくれないということがあって……。そこは大阪の若い人にこれから期待することかなと思っています。
チア部:普段、自分(りょう)もシネ・ヌーヴォで映画を観ていて、本当に若い人と会う機会が少ないなという感覚は確かにあります。私たち映画チア部自体も若い人たちをミニシアターに呼びたいという団体で、若い人たちがミニシアターと繋がるにはどうしたらいいと思いますか?
横田さん:そうだねぇ……。この間も他の映画館の人や配給会社の人と話してたんだけど、もう我々ではいくら考えても答えがでないから、多分同じ世代の若い人が自分たちの中で答えを見つけるんじゃないかなと。時代が変わって、若い人は配信ばかり観るというイメージがあるのかもしれないけど、自分が観たいものであれば、お金は出し惜しまないのではないかと思っています。例えば『ルックバック』(2024/押山清高監督)は58分で1700円均一だけど、それでも何回も満席になっている。それだけあの映画には人々を呼び寄せる魅力があるということだと思います。若い人は観たいコンテンツがあれば、お金を出し惜しむこともないし、時間をちゃんと取って観に行く。映画料金は高いとは思うけど、学生さんは割引があるし、1000円で観れる映画館もある。それでも来ないというのは、観たいものがやってないということなんだろうなと。でも、学生さんが観たいコンテンツを映画館がちゃんと分かって上映して、若い人がちゃんと来るようになるというのは、私たちより下の世代がやることであって、なんぼ年寄りが「これが良いねん」って言ったって、みんなポカンって感じだと思う。そこは世代交代なんじゃないかなというのが正直な気持ちです。
チア部:自分(りょう)的には昔の映画も今の映画に匹敵するような面白さがあると思うので、若い人たちが観たいと思う映画を映画館に観に来て、そこでまた昔の映画や自分たちより上の世代の人が良いって言っている映画と出会って、映画館自体にお客さんがつけばいいなと思います。
横田さん:そうねぇ……。ウォン・カーウァイ特集をしたときに『恋する惑星』(1994/ウォン・カーウァイ監督)だけめっちゃ若い女の子たちが来て(笑)。『恋する惑星』っていうタイトルとヴィジュアルを見て、みんな来るんだろうね。それきっかけで映画館に来て、楽しかったねって印象に残って、次の機会に「この映画あそこの映画館でやってるんちゃう?」ってまた来てくれるのが理想的なパターンではあるね。
チア部:確かにウォン・カーウァイはよくインスタグラムで流れてきます(笑)。
横田さん:『ゴーストワールド』の上映のときに作中のベンチを再現して写真を撮れるようにしたら、みんなめっちゃベンチに座って写真を撮ってくれました。でも、私たちがインスタグラムやツイッターで検索してもその写真を見つけることがなかなかできない。公開する人を制限したりしているんですよね。仲が良い人には自分が『ゴーストワールド』好きで観てきたよっていうのが広まって、友達の中から何人かが観に来てくれたりするかもしれないけど、広い拡散力はないというか。ストーリーとかには上げるけど、ちょっとしたら消えちゃたり、見られる人が制限されているところに上げたり……。スタッフと「あんなに写真撮ってるのに全然見つけられない!」って(笑)。何がきっかけでバーッて広がるのか分からないけど、ちょっとずつそういうのが私たちの時代の映画好きのやり方とは離れていっているのは感じているので、若いスタッフやチア部のみなさんなど若い世代の映画が好きな人たちが答えを見つけて盛り上げていってくれるのがいいんじゃないかなと思っています。
チア部:が、頑張ります……!
横田さん:旧作のアジア映画とかでも良い映画いっぱいあるもんね……。韓流ブームが最初に起きる前から私は一映画好きとして韓国映画を結構観ていたりしていたんですけど、本当に面白いから、韓国ドラマはおばちゃんたちが観ているという偏見を持った人たちにも韓国映画を観せたい!というのが最初の私の願望でした。「おばちゃんたちが観るやつでしょ」、「ヨン様みたいなやつでしょ」と言われたら、「全然違いますよ!男の人が観ても全然楽しいですよ!」って言って。そういうのが私の世代のやるべきことだったかなと思っています。だから後は今の若い人たちが自分たちで楽しい映画館を作っていけばいいのかなと思っていて、私たちはそれを違う面でサポートしていきたいです。
支配人のお仕事
チア部:先ほどオリジナルのドリンクを作ったり、『ゴーストワールド』上映の際にベンチを再現して設置したりというお話がありましたが、そもそも支配人さんってどういったお仕事をされているのですか?
横田さん:日々これが大変というのは、スケジュールを考えることです。昔支配人になりたての頃に、お客さんから「場所じゃない、時間や」と言われて。場所は梅田であっても十三であっても心斎橋であっても大阪市内であればあまり変わらない、やっぱり時間帯が大事だと思う、と。その時「確かに……。」と思いました。例えば、普通の台湾映画だと割と年配のお客さんが多いので午前中やお昼に上映していたのですが、台湾ホラーだと若いお客さんも多くいらっしゃるので、学校がちょうど終わるぐらいの4時ぐらいの時間帯に設定しました。でも、あまり遅すぎると年齢的に制限があるから来られなかったりする。そこを見極めるのが一番大事な仕事かなと思っています。
どの映画をどの時間帯に上映したら一番効率良く人が来てくれて、観て欲しい人が観に来られるのか、尚且つ土日とかだと例えば『ボストン1947』を観た後に『ソウルの春』とか『シュリ』(1999/カン・ジェギュ監督)が観られるように組めば1人で複数観てくれることもあるので、そういうことを考えながら、どれだけ上手くパズルみたいに当てはめていけるのかというのが一番大きい仕事だと思っています。
チア部:高校生のとき、自分(まる)の観たい作品がレイトショーにしかなかったり、平日にしかなかったりして、結構な数を見逃してしまいました。もうちょっと良い時間帯にあったら観られたのに……!という悔しい思いを何回もしていて。
横田さん:そうなのよね。各年代の人がそう思っていると思います。若い人は上映が遅くなってしまうと、青少年健全育成条例に引っかかってしまいますし、中学生でどうしてもホラーとかが観たい子が、「何時までだったら大丈夫ですか?」と前もって電話してきてくれることもありました。そういうのを聞くと、「来週はもっと早い時間にやってあげるからね……!」という気持ちになったりします。スタッフの管理など他の業務もありますが、大きくはお客さんがどうすれば来やすいようになるか考えることが仕事かなと思っています。
好きなことを仕事にするということ
チア部:横田さんは大学を卒業されてから映画関係ではない職業に就職されて、そこからシネマート心斎橋のオープニングスタッフとして映画館の仕事に就いたとお聞きしました。他のインタビューで映画関係の仕事に就く前から映画を観ることだけはやめなかったということをおっしゃっていましたが、好きなことを仕事にするってどういう感じなのでしょうか?
横田さん:私は就活を始めるのが本当に遅くて、今みたいにSNSもない時代だったから、映画の配給会社ってどんなところがあるのかも全然分からず、大手映画会社も受けたのですが、全然だめでした。だから一旦は映画を観続けられれば良いと思い、映画関係ではない職業に就職しました。会社での営業がつらいときはたくさん映画を観に行っていました。その後も何回か転職したのですが、その間もずっと映画が観られれば良いという気持ちだったんです。5時に仕事が終わったら、ダッシュで映画館に向かって、どこの映画館に行ったら何が観れるかというのをずっと考えていました。観ることがそもそも楽しかった。でも、学生のときに映画館でアルバイトしていて楽しかったことをずっと覚えていて、シネマート心斎橋がオープンするときにアルバイトでも良いからと応募して入りました。
映画の近くで働けている、好きなものの近くで働けているというのはもちろん楽しいんですが、何の仕事をしていても絶対に嫌なことってあるじゃないですか。上手くいかないこととか、自分の思った通りにいかないこととか、お客さんから思いがけないことを言われたりとか、めっちゃ良い映画なのにお客さんが来ないとか……。日々、色々な嫌なことはあるんですが、私はそういった嫌なこともほぼ映画でしか解消できないんですよ。だから本当に嫌になったらシネマートでやらないような映画を大きな映画館に観に行ったりしています。日本のキラキラなアイドルが出ているような映画を(笑)。だから、映画を観ること自体は絶対嫌いにならない。たくさん映画を観るのが一番楽しい。息がつまりそうになることはあるけど、不思議とそれは映画を観ることには影響しないんです。
家でも時間があれば配信で映画を観たりもしています。映画を観るにあたってあまり構えたりしない。友達がおすすめしたものを軽率に観ています。そういうスタイルなので、映画を観ることは全然嫌にならない。私は全然映画のこと知らないんですよ。若いときからずっと映画館にいた人とか、昔映画を作っていて、今は映画館の運営側に回った人とか、芸大で映画について学んでいた人とか、そういう人たちが持っている知識を私は全然持っていないので。ただただ映画を観るのが楽しい。だから長続きしているのかもしれません。
チア部:映画を観ることが好きというのがずっと原動力になっているんですね。
横田さん:他にすごい得意なこともないし、ずっと長く楽しんでいるものも映画の他にないので、映画は”生活”みたいな感じです。
チア部:「構えずに観る」というのがすごいなと思って、私は「長そうだな」「重そうだな」と考えちゃって観られていない映画がいっぱいあります。
横田さん:考えなくていいんです。それこそ、時間が合うからとか、目に留まったから観るでいいと思います。
チア部:僕らの世代は映画館を特別視して構えてしまう傾向が強い気がします。なかなか気力がないと映画が観れないというか。
横田さん:映画を観る前に点数を確認したりとか、今の若い人の一部はネタバレとか読んでも平気と聞きます。私は映画を観る前にそんな色々しなくていいと思っていて、友達やSNS上で信頼を置いている人のおすすめを軽率に観に行くぐらいでいいと思います。前知識がとか、前作を観ていないからとか、全然思わなくていいんです。
チア部:その方が色んな作品と出会えたりしますよね。
横田さん:そうそう。自分が好きなものって傾向が出ちゃったりするので……。これは仕事としてという面もありますが、自分が良いと思うものばっかり、みんなが良いと思うわけではないので。普段、自分が好きなものじゃないものも意識的に観るようにはしています。そうすることで「意外と面白かったな」と気分が晴れやかになることもあります。
「分からないんじゃないか」とか「難しいんじゃないか」とか思わなくていいと思います。私も全然分からない映画とか普通にあるので。女子映画館スタッフのトークイベントの時に、1人1本ずつ自分の人生を変えた映画を言う機会があったんです。私は山崎さんが言った監督名も作品名も全然分からなかった。他のメンバーもみんなすごいタイトルを言っていて、私の番が来た時に「『スター・ウォーズ』です。」って言うとみんなちょっとザワッってなっちゃって(笑)。トークの後で山崎さんにもう一度、監督名と作品名を確認しました。3回ぐらい同じことを聞いて、3回目にやっと覚えて観ました、アンドレイ・タルコフスキーの『ノスタルジア』(1983)。でも全然分からなかった。とても綺麗な映画だったけど、何回も眠くなっちゃって、4回目ぐらいでやっと最後まで観れた。好きなものって個人によって全然違うから。そういうのが好きな人は全然そういう作品を追いかけていけばいいし、私みたいになんでも観るエンタメ派の人もいるし、若いうちは自分の好みも定まっていないと思うから、偏見のないうちに色んなものを観た方が良い気がします。分からなくても、全然恥ずかしくないよ!
チア部:お話を聞いていて、ご自身が映画に対して感じたことを本当に大切にされているんだなと思って、映画に対してこう思った自分を認める、というのが、それでいいんだと勇気をもらえました。
横田さん:そうなんですよ。うちの若いスタッフでタルコフスキーみたいな旧作をたくさん観て詳しい子がいて、たまに「支配人なのにそんなことも知らないんですか!?」と言われたりして(笑)。そういう古いものも認めて、楽しめるという感性を持っているのは素晴らしいと思うけど、全然分からないっていう人のこともお互い否定しないというのが良いと思っていて、「あなたは私が観るような映画は全然観ないと思うけど~」と前置きして作品をおすすめすることもあります。
全然映画について知らなくても観ていくうちに「この人、前も出てた!」「そういえばこれ同じ監督じゃない?」みたいに徐々に積みあがっていくものがあって、最初に「小津は観とかないと!」みたいなところから入るとしんどくなっちゃうから(笑)。自由に観ればいいのです。
学生時代に観た映画
チア部:横田さんが学生時代に観た作品で、印象に残っている、影響を受けた、という作品があれば教えてください。
横田さん:そうですね、最初にびっくりしたのは『スター・ウォーズ』(1977/ジョージ・ルーカス監督)です。私はそれまで親に連れてもらったりして子ども向けの映画しか観てなかったので、「うわぁ~……!」ってなって。すごい、おもしろい!特撮!すごいね!って。
大学生くらいのときにいちばんハマった映画といえば……。大学生のときに、三宮にあった「阪急会館」っていう映画館でアルバイトしてました。もう今無いんですけど、おっきいスクリーンが3つあって、東宝系の映画がかかるような映画館で。
そこにアルバイトとして入るまで、私はもう世界一映画観てる人!って思ってたんですよ、自分のこと(笑)。入ってみたら、田舎から出てきてることもあって、もうぜんっぜん、大阪で育った人たちと映画を観ている本数が違って。こちらはもういっぱい劇場も知ってて、尚且つレンタルとかも田舎より全然整ってて、もうすぐに鼻をへし折られてしまったんですけど。
でもその人たちがみんなもうめっちゃ優しくて。いろいろ連れて行ってくれたんです。ここにミニシアターがあるんやで、こういうのやってるんやで、みたいな。それがもう、すごい楽しくて!めちゃくちゃ田舎者で何も知らない私のことを、すごい案内してくれて。
そのときに連れて行ってもらった劇場でかかっていた『プロヴァンス物語 マルセルの夏』(1990/イヴ・ローベル監督)と『プロヴァンス物語 マルセルのお城』(1990/イヴ・ローベル監督)という映画があって。すごくいい映画なので、ぜひ観てほしいです。
田舎の、大作映画しかやってないような、夏休みこども映画まつりみたいなやつとかしかやってないような映画館で育ったから、ちっちゃーい映画館のちっちゃーいスクリーンでそれをやっているのを観て……、もう、すごい!なにこのおしゃれ空間!!と思って(笑)。こんな映画館もあるの!?ってなって。映画の内容もよかったし。
大学生のときだったと思うんだよね……、初めて心が、こう、扉が開かれたっていうか。すごい、ミニシアター!って。「ミニシアター」って言葉も全然知らなかったので、それはすごい印象に残っています。
その2作は、マルセル少年の、かわいい子ども映画なんですけど、お母さんの体がちょっと弱くて、フランスのプロヴァンスの田舎へ静養に行く先で起きる大事件みたいな、かわいい映画で。なにこれ!?ってなって!それまではほんとに、ハリウッドでつくった大規模映画みたいなのばっかり観てたから。すごい、こんな世界があるの~!?って思って、めちゃくちゃうれしかった記憶です。
学生にオススメの映画
チア部:すでにいろいろ作品をご紹介いただいているのですが、とくに学生にオススメという作品があれば教えていただきたいです。
横田さん:そうですね、若い人に特に観てほしい作品……。まぁでも、せっかく「シネマート心斎橋」って映画館が存在してたっていう意味も込めて、韓国映画はお勧めしたいかな。韓国映画をたぶん日本一上映している映画館として。
1本ってなると……。私自身がびっくりしたのは、『殺人の追憶』(2003/ポン・ジュノ監督)っていう映画なんですけど……。
あっ!大学生におすすめのありました!!『建築学概論』(2012/イ・ヨンジュ監督)です。観たことある?
チア部:韓国映画ファンの間でずっと有名ですよね。いつか観なきゃ!って思っていてまだ観れていないです。
横田さん:ぜひぜひ!配信にもあったと思うので、観てもらえたら。『建築学概論』は、大学生時代の初恋の男女が、大人になって再会するんだけど……。初恋がうまくいかず、甘酸っぱい思い出のまま終わって。大人になって再会したときに、それぞれここまでの間の人生があって、しかもこっから先の人生もある、っていう分岐点みたいなところで再会するっていう、とてもいい映画。大人になって振り返るみたいな。
その中のセリフで、初恋の男女の女性のほうが大人になったときに若干つらい境遇にあって、「人生は、辛い鍋。具材がなにかは、その都度変わってわかんないけど、人生は辛い鍋よ。」っていうセリフがあって。それに引き換え大学生のころの思い出が、めちゃくちゃ素敵なの、2人の初恋の過程が。うまくはいかないんやけど、すごく良い青春振り返り映画。私は大人になってから観たから、大学生の立場から観たらどう思うのか分からないけど……。「建築学概論」っていう授業で出会うんです。授業で課題をふたりでやらなきゃいけなくって……っていう。
最高です!!ぜひぜひ、観てみてください。
最後にメッセージをお願いします!
チア部:それでは最後に、シネマート心斎橋さんからメッセージをお願いします。
横田さん:18年間、いろいろ上映してきましたけど、この度閉館することになりまして……。でも最後は、そんな湿っぽい感じじゃなくて、シネマート心斎橋の雰囲気そのままの、楽しい雰囲気で笑って終わりたい!と思っているので、閉館の特集「サヨナラ シネマート心斎橋映画特集」にも、ぜひみなさん来てもらいたいです。そして、笑って終わりましょう、という気持ちです!
チア部:ありがとうございました!
映画愛・アジア映画愛・シネマート心斎橋愛が溢れる横田さんのお話を聞いて、終始胸がいっぱいの部員たちでした……。
シネマート心斎橋という映画館や、そこで働く方たちの空気感が伝わっていれば嬉しいです!
そしてぜひ、劇場に足を運んでいただきたいです!!!
今後の上映作品、上映スケジュール等については、シネマート心斎橋公式サイト/各種SNSをチェックしてみてください👀