【一般公開前:ネタバレ注意】フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 (原題:The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)

画像1

総合:★★★★★
 ┝構成 :★★★★☆
 ┝演出 :★★★★★
 ┝映像 :★★★★★
 ┝音楽 :★★★★☆
 └独創性:★★★★★

ー基本情報ー
監督: ウェス・アンダーソン
出演者: ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、ティルダ・スウィントンなど
製作年: 2021年

★おすすめポイント★
①映画史に残る豪華な役者らが勢揃いした作品。
②ウェス・アンダーソン監督ならではの仕掛けが盛りだくさん。
③一回鑑賞しただけでは消化しきれない奥深さがある。

▼あらすじ

様々なジャンルを扱った雑誌、フレンチ・ディスパッチの編集長が急死した。その事により同誌の廃刊が決定する。最終号の内容とは。
(筆者が東京国際映画祭で本作を鑑賞した印象から)

▼構成

本作は3部構成になっている。最初のレポートを含めたら4部構成と言えるが、メインとなるストーリーは、「確固たる名作」、「宣言書の改定」、そして「警察所長の食事室」である。最初は、芸術に長けている囚人の話、学生運動に関する話、そして最後は、天才シェフの話だ。これだけで見ると一貫性のない話だが、フレンチ・ディスパッチは多数のジャンルを扱った雑誌という設定のため、この映画自体が複数のジャンルをお届けする雑誌みたいなものだ。

▼演出

話の一貫性はないが、監督の遊び心が満載の演出が盛りだくさんだ。クラシック映画みたいな雰囲気を出す白黒映像、水平線に進むカメラワーク、急に役者たちが静止しているシーン、コミカルなアニメーション、セットの色使いなどなど。最初から最後まで芸術さ満点の仕掛けがたくさん出てくる。美しい絵画をたくさん見ている印象だ。

▼キャラ

豪華な役者がカメオ出演しているが、本作は割と速めなテンポでストーリーが進んでいくため、少しでも気を抜けたらその人を気付くことなく本作を見終わってしまう。例えば、「007」シリーズやクエンティン・タランティーノ監督作品で存在感のあるキャラクターを演じたクリストフ・ヴァルツが出演しているが、彼のシーンはほぼ一瞬だった。他にも、エリザベス・モスやウィレム・デフォーといった豪華な方々が出演しているがいつ出てきたのかが分からない。一回見ただけでは把握しきれない。一般公開されたらもう一回鑑賞したいほどだ。

▼その他

独特なテンポでストーリーが進むため、すぐに置いてきぼりにされるのに、ものすごく楽しいと思える作品。豪華な役者とカラフルな演出が共に際立っていて、本当に素敵な作品に出会えたと思っている。筆者が本作を鑑賞したのは東京国際映画祭のガラ・セレクション(ガラとは特別興行みたいな意味)。本作が始まる前にウェス・アンダーソン監督からのメッセージ。「そっちに行きたかったけど、新作の準備で行けないんだ。」コロナという言葉を使わず、次回作の準備中と説明して喜ばしてくれる監督の優しさに感動した。監督の次回作に期待したい。

▼この作品が好きな人へのおすすめ作品

ウェス・アンダーソン監督作品から、
→ムーンライズ・キングダム(原題:Moonrise Kingdom)(2012)
→グランド・ブタペスト・ホテル(原題:The Grand Budapest Hotel)(2014)
→犬ヶ島(原題:Isle of dogs)(2018)

いいなと思ったら応援しよう!