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映画『室町無頼』公開記念ー「才蔵1カット長回しアクション」の作り方
はじめに
前回、映画『室町無頼』の「二条通りの一揆シーン」の作り方について書きました。
記憶があいまいになる前に、もうひとつ、ぜひとも振りかえっておきたいことがあります。
クライマックスにおける「才蔵の1カット長回しアクション」です。
才蔵、とは、長尾謙杜さんが演じた役です。
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長回しは大変です。
『SRサイタマノラッパー』シリーズや『太陽』でも長回しを使いましたが、いつも大変です。
みんなでヒイヒイ言いながら撮ります。
長回し、とは、長く回す。
長いのです。
失敗したら途中からやり直す。
みたいなことができず、0からやり直さないといけません。
なので、メジャーな商業映画では避けられる傾向にあります。
「何度も同じカットを撮り直している場合じゃない、スケジュールを考えろ」と怒られたりするからです。
一刻も早く、先に進め、と。
でも、『室町無頼』は「長回しをやろう」と最初から決めていました。
プロデューサーがわたしの『SRサイタマノラッパー』の長回しを褒めてくれたからでしょうか。
脚本の初稿を書いたのはもう9年前なので、記憶があいまいです。
ドン底でふんばっている人が、最後の最後でグッと立ち上がる、という意味で、両作が似ていると思ったからかもしれません。
その決意を、脚本の初稿に書きました。
では、いきます。
1、脚本のはなし
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