悪魔か、バケモノか。リドリー・スコット監督『ナポレオン』評
・イントロダクション
こんにちは、入江悠です。
いきなり私ごとで恐縮ですが、先月、時代劇の撮影現場でまたひとつ年をとりました。
時代劇の撮影日記はこちらからお読みいただけます。
年をとると、老いてなお精力旺盛に頑張っている人をすごいな、と思うようになります。
そのひとりが、リドリー・スコット監督です。
彼が撮った代表作のひとつ『エイリアン』は、わたしがこの世にオギャアと生まれた1979年に公開です。
それほど短いとも思えないわたしが生きてきた時間、リドリー・スコットは現役監督として一線で働いてきたわけです。
信じらんねえ。
それだけで尊敬に値します。
・リドリー・スコット監督について
彼の重要な作品を中心にフィルモグラフィを振り返ってみたいと思います。
(かなり多くの映画を省略しつつご紹介していることをご了承ください)。
まずはデビュー直後の数年間。
1979年『エイリアン』
1982年『ブレードランナー』
1989年『ブラック・レイン』
すごいですね。
初期のリドリー・スコットは映画史に残る超重要な作品をたくさん残しています。
CMディレクターとしては有名だったとはいえ、映画監督デビューして数年でこの作品歴は異常です。
しかし、その後、危うい季節が訪れます。
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