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映画『あんのこと』公開日記【03】ー稲垣吾郎さんのこと
こんにちは、入江悠です。
わたしが監督・脚本をした映画『あんのこと』。
6月7日より全国劇場で公開になります。
今回は、”桐野”という記者役を演じた稲垣吾郎さんのことを、脚本執筆や撮影時を振りかえりつつ、自身の備忘録もかねて記してみたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1716627353437-nhX4ATFdAk.jpg?width=1200)
1、桐野という役柄について
稲垣吾郎さんに演じてもらった記者役は、実在の方がモデルです。
劇中では雑誌記者という設定にしていますが、実際は新聞記者さんでした。
その記者さんが書かれたひとつの記事、それをわたしが読んで映画にしたいと思ったのでした。
2020年のコロナ禍について書かれた記事です。
薬物依存から更生し、夜間中学に通うようになった女の子についての記事でした。
彼女が前を向いて歩み始めた矢先、コロナ禍に見舞われてしまいます。
その記者さんには、何度も何度も、お話しを聞かせていただきました。
最初はわたしが、次に主演の河合優実さんと。
「あん」のモデルになった女の子のこと。
彼女が薬物を断つための支援をしていた刑事のこと。
どのような気持ちで取材をし、記事を発表したのか。
さまざまな角度からお話しを聞かせていただき、それが脚本のベースになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1716627943457-H4s1VntlVE.jpg?width=1200)
わたしにとって、桐野という人物像はその記者さんのイメージが基礎にあります。
やがて、脚本を読んだ稲垣吾郎さんが演じてくださるということが決まり、稲垣吾郎さんに合わせて<当て書き>のような作業をしていきました。
稲垣さんだったら、この記者をどう演じてくださるだろうか。
心の葛藤をどのような形で表現してくれるだろうか。
そんなことを考えながら、脚本を直していき、最終形になりました。
ここらへんは、監督が脚本を兼ねているメリットですね。
楽しみながら書いた記憶があります。
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