◯新作篇006 『娘は戦場で生まれた』
(原題:『For Sama』
/監督:ワアド・アルカティーブ、エドワード・ワッツ/シリア、アメリカ、イギリス/2019年)
@kino cinéma 立川髙島屋S.C.館
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『1917』、『彼らは生きていた』、『名もなき生涯』。
2020年の上半期は、戦争を題材とした映画がアツい印象。
こんな状況ですが、可能な限りたくさんの人に見てほしい作品揃いです。(『彼らは〜』は未見ですが!)
さて、本作。
アサド独裁政権下のシリア。
反体制の人びとの街・アレッポを取り巻く状況が克明に記録されています。
感想は、逆説的ながら、ただ一つ。
とにかくこの映画を作る必要の無い世界を望みます。
とはいえ、未来永劫語り継がれてほしい作品でもある。
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爆撃の後、病院に担ぎ込まれたのは、妊娠9ヶ月の女性。
カメラは、
帝王切開の様子も、羊水で濡れたまま産声を上げない嬰児の様子も、覆い隠すことなく捉えていた(日本のテレビではまずボカし入れるでしょうね)。
作品全体としては、
反体制に燃える一介の学生が、
「母」になっていく物語(=それは同時に、
自分たちの勝利を記念するものとして撮られ始め、しかし結果的には、理不尽な力の前には自分たちは物凄く無力である事を提示してしまうもの)としての構造を持っています。
必見です。
キノシネマ立川、イメージフォーラム他にて上映中。
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