#おうちで映画 新作篇 『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』
(監:アリス・ウー/2020年、アメリカ)
@Netflix
◯すべての「マイノリティ」に見てほしい傑作
もちろん、自分が「マジョリティ」だと思っている人にも。
カギカッコ付きにしているのはつまり、そういうことです(何がだ)。
筋書きはwikiでも参照してください。
同世代が、やれ何人付き合ってきたか、やれセックスは何回したんだとか、
そんな話で持ちきりのところ、自分にはそんな経験もない。
話を振られても話すことなんかないし、話せば馬鹿にされるに決まってる。
答えないでいると、しつこく掘り下げてくる。
ああ、もう、居心地が悪い。
この歳でそんななんだと、自分にすら嫌気がさしてくる。
そんな感覚を一度でも抱いたことのある人なら、まちがいなく共感してしまうだろう。
とはいえ、「マジョリティ」のフリをしている奴らも、実は皆それぞれ「マイノリティ」なのかもしれない。
変わったやつだと思われれば、孤立は必至だ。誰も彼も、ハブられないように必死なのだろう。
だから同じような服を着、同じようなアクセサリーを身につけ、
同じような髪型・髪色がトレンドとなり、便利なできあいの美辞麗句にすがる。
そしてダメ押しに、
少しでも「マイノリティ」な要素がわかりやす〜く出ているターゲットを見定め、
共同幻想の材料として(一見するとイジメとまでは言えない「ゆるふわ」な)スケープゴートに仕立て上げる。
この映画でそれを端的に表すのが「中国系アメリカ人」or「中国からの移民」という要素なのですね。
「チューチューポッポー!」←どこの国にもこういうのいるんでしょうね。
一方、映画の後半では「Chinese girl!」は賞賛の言葉へと変貌している。
エリーさん、白人至上主義的な空気の中で輝いてます。
「彼女、セクシーだな」
そういえばこの映画、アフリカ系の人が出てきませんね。昨今のアメリカ映画でなかなか珍しいのでは。
話を元に戻すと、
実はこの映画、叙情的でありつつもちゃんとカタルシスが用意されています。
既存の枠をぶち破ると言う意味で、エリーさんは本当にセクシーだし(この表現、小泉進次郎みたいで嫌ですが)、
綺麗にまとめようとした所に反証をぶちこんでいくのが最高にロックです。
キリスト教の文化圏の人間だったらこの辺り、もっとビビっとくるんだろうなぁ。
いままでだったら、武蔵野館あたりでやってそうな作品でしたね。
こんな時期に、よくこんな素晴らしい新作に出会わせてくれました。
Netflix、よき。