『アテナ』
監督:ロマン・ガブラス / 2022年 / フランス
2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品。
Netflixで2022年9月23日から配信。
せっかくALEXA65で撮影しているというのに、IMAXとか極爆上映で観られないのが本当に残念な一本。
『ROMA』や『ドント・ルック・アップ』みたいに、3週間限定公開でもしてくれればいいのですが。
配信で小っちゃな民生テレビだと、どうしても暗部のブロックノイズに限界を感じます。
しかし、それを補って余りある転がし方。のっけから感嘆してしまいました。
ワンショット長回しはもう陳腐?
いやいや、そんな事ございません。度肝を抜かれるとはこの事です。
だいたい、私なぞ見る目がないし、映像に関する知見も乏しいし、一眼カメラもなりでしか使えないので。
いつも「どうやって撮ったのー⁈」とアホみたいに口ポカンと度肝抜かれていますが、それでもこれは桁違い。
撮影手法について町山智浩さんが詳しく述べられていたので、こちらをご参照ください。日本の映画予算じゃ撮れない(そもそもカメラレンタルでお金が爆発する)という悲しいおまけコメント付きです。
暴力の連鎖というのは、元の要因とは関係なしに見境無くなっていくものであり、負の連鎖とはこの事であると。
それをワンショット長回しと、カット割の段とを上手に使い分けて、この上ない説得力を持たせている。
憎悪が再生産、増幅、肥大化していく様を、実にシンプルに描いています。
それを「単純化しすぎ」と見る向きもあるようです。
確かにこうした「暴動」というものは、実際にはそう綺麗に割り切れるものではないだろうとも思いますが、とはいえまずは、このボリュームを90分強の尺に落とし込んだ監督以下撮影・編集スタッフたちの手腕に敬服するのみです。
Netflixに入っている方は是非ご覧ください。