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社会人10年で5回も転職した話#1〜空港で"嫌われる仕事"についてしまいました①〜


私は昔から「空港」と「飛行機」が好きだった。
正しくは「飛行機」が好きだったから、「空港」も好きになった。
これはニワトリ卵の解釈で、別に大したことでは無いけれど、こんな理由があったから新卒の会社を「航空系」にしたのだと思う。
ちなみに今での飛行機は好きで、空自のブルーインパルスが好きすぎて、遥々入間の航空祭まで足を運んだこともあるし、いまだに「エアバス」「ボーイング」と聞くとテンションが上がります。

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さて、今日は前回に引き続き転職を5回もする羽目になった記念すべき第1社目の話をしようと思う。

私の新卒の就職先は、空港の保安検査員だった。
これだけを聞くと、専門性も高そうだし、何か特別な技術が必要そうに聞こえるが
そんなことは入社したらみっちり会社が教えてくれるので全く必要ない。
強いていうなら、英語はやっぱり必要だったなくらいである。
では、具体的にどんな仕事なのか簡単に説明してみる。

まず、大前提として国際的にも下記のような文言のもと、保安検査は行われる。

<保安検査の目的>
"ハイジャック・テロ等の航空機強取行為を未然に防止すること"であり、そのためには、"航空機内に凶器や危険物、爆発物等を持込ませないこと"
出典元:成田国際空港公式WEBサイト:保安検査について(https://www.narita-airport.jp/jp/security/ss_passengers/)

ちなみに、転職のたび職務経歴書に「ハイジャック・テロにおける~」という文言でこの仕事を記載するのだけれど、日本はあまりハイジャック・テロの被害に遭ったことがないせいなのか、
面接官はことごとく「へえ、ハイジャックか・・・」みたいな平和ボケみたいな現実味のない感想がくる。(個人差あるけど)

この内容からわかるように、国際的に決められた機内に持ち込めないものを、事前に検査するので
金属探知機(手持ち型も含む)や「X線手荷物検査装置」の操作や、必要であればボディの接触検査、乗客の鞄の開披作業も行い、そこに怪しいものがあれば国際基準に基づいて、その場で破棄するか、何か違う形で郵送するかなどのご案内をする。
いわゆる「他人の所有物をを法の基に破棄させる」のである。
本当これは気をつけて欲しいけど、大事なものであれば破棄されるのもムカつくと思うので、海外旅行に行く際は特に注意してほしい。
何が危険物として持ち込めないかは政府広報オンラインでも発信してるので、面倒くさがらずに確認した方がいい。元保安検査員が言うのだ。絶対だ。
後悔するぞ(圧)

閑話休題。

と言うことで、私たち社会に出たことないのに、
いきなり人に嫌がられそうな仕事をする羽目になるのだけれど、何が機内に持ち込めないのかや、基本的な機器の操作、危険物の破棄におはける対応の仕方などは1ヶ月という時間の中でみっちり叩き込まれる。
この間、専門知識的な研修ばかりで、世で当たり前に新入社員研修に組み込まれていそうな「マナー」は少し触れる程度(記憶にないだけかな)や「ロジカルコミュニケーション」みたいなものはなかったような気がする。
まあこう言う場面で使われる敬語は、決まりきったものが多いし、あまり長ったらしい説明も必要ないから深くやらなかっただけかもしれない。
そもそも乗客の6割くらいは海外の人だから、英語の決まり文句を覚える方が多かったように思える。
保安検査自体の知識、機器の操作、危険物の条件や内容は、生きていてもなかなか学ぶこともないと思うのでこの研修は結構興味深かったし、無駄にサバイバルゲームやキャンプで必要そうなものに詳しくなってしまったのが、今思うとわりと笑える。
全然必要ないけど、知っていると雑学王みたいになれるからね。

さて、私たちが配属されたのはまさに皆さんが海外に行こうとするGW直前だったので、右も左も分からないまま空港の保安検査場に立つこととなった。
ここで配属してから困ったことが3つある。

①朝が早くて、夜が遅い。残業はあたり前、体調管理が至難の業。
②配属されるチームによって明暗が分かれがち
③保安検査場が広すぎて、普通に迷子になる
では、その詳細。

①朝が早くて、夜が遅い。残業はあたり前
空港は朝から動いているので(当たり前)、早番、遅番、そしてその中間見たいものがあり
基本は8時間勤務で、形態は4つくらいあったと思う。いわゆるシフト制である。
所属の課ごとに時間が決まっていて、シフトを組んで行う。
一番早い時は6時半くらいに到着する便もあるので、会社に向かうバスに乗るのは朝5時の時もあるし、
夜勤であれば14時くらいの時もあり、最初はリズムを整えるのが難しかった。
若くないとできないな、と今になってもしみじみ思う。
帰りも14時~22時近くもあり、一般企業に勤めている友人とは全く合わなかった。
この不規則さのせいで、私はこれまで生きていて本当にしんどかった風邪を経験するくらい。(一人暮らしだってしね)
それまでは健康だけが取り柄みたいな人だったのに、私自身も驚愕した記憶がある。

②配属されるチームによって明暗が分かれがち
チームは複数あり、そのチームリーダや課長の性格によってだいぶ明暗が分かれる。
新入社員に対してものすごい手厚いサポートをしてくれるチーム、チーム員同士が仲良すぎて、プレイベートも遊ぶチーム、課長やリーダーが怖くて、空気が微妙なチーム、いつぞやの学生時代よ?ばりの上下関係を強制するチーム・・・と
とにかく、色々な考えと対応をしてくるチームがたくさんいる。
特に最後の2つに当たるとまさに新入社員にとっては地獄。
いかに先輩たちに気に入られるか、媚を売るのも仕事の一つになる。
幸い、私は会社内で一番優しいと言われているチームリーダーの元に配属になったので、こればっかりは運が良かったとしか思えない。

③保安検査場が広すぎて、普通に迷子になる
空港が大きければ大きいほど、保安検査上の数は比例し多くなる。
フロアの上下を行ったり来たり、東西南北走り回ったりするので時間と自身の体力勝負。
そして、複雑な構造のため最初のうちはかなり迷う。
その間も制服は着ているので(航空会社みたいに可愛くないけど)同じく迷っている乗客に道を聞かれたり、お店を案内したり、迷子を連れて行ったり、と違う仕事も増える。
今となっては覚えていないけど、当時は学生自体のどの友人よりも空港に詳しかったので、海外旅行や、飛行機を伴う国内旅行の時は結構重宝した知識でもある。

こんな感じで1年目から繁忙期の空港を走り回り、なんとかチームに溶け込み、もちろん業務も何とかこなすのだけれど、1年目ができることはほとんどないので、最初の案内係しか1~2ヶ月くらいはできなかった。
その後、社内独自の試験を終えて、金属探知機の接触検査や、荷物検査のモニター係、最終的に開披、そして全体の指揮とパワーアップするのだけれど
ひとまず今日は新卒早々の社会人経験の話をしました。
(ちなみにこの時点で5人くらい辞めてたし、GW終わったらさらに辞めててなかなかカオスでした)
一旦、私の話はここまでにして、次回は

実際何が危険部として持ち込まれた?
どんな人がいた?を中心にお話しして、
「嫌われ者になった理由」を具体的にお話しします。

では、また!

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