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社会人10年で5回も転職した話#1〜空港で"嫌われる仕事"についてしまいました②〜

空港はかなり広いですが、お客様が普段行きそうにもない絶妙な場所(最上階横のスペースとか)に空港従事者専用の休憩所があります。
特に私が利用していたのは、とあるカフェの奥まったスペースなのですが、そこが一番静かで、人が来なくて仮眠を取るには最高だったわけです。
カフェもあるので、いつもそこでコーヒー買っていたら、従業員さんに顔を覚えられてそのお店のドリンクが安く買えるクーポン券をいただいたことがあります。
今でも何故くれたのかは不明なのですが、ありがたかったです。
あの若い女性の店員さん、多分バイトだからもういないと思うけど良い思い出です。

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さて、本日は実際に空港に持ち込まれていたものや、困った人などの話もしたいと思います。
まず「こんなもの、本当に持ち込まれるの?」と言ったものをご紹介いたします。

<実際に持ち込まれたもの>
1.空薬莢
2.神戸ビーフ(A5ランク・塊)
3.雪肌精や、SENKAのPerfect Whip
4.謎の変な色した中国のお茶
5.大人のおもちゃ

あとはライターやアーミーナイフは数え切れないほど破棄するし、夏になると日焼け止めや制汗剤スプレーなどもしょっちゅう出てきます。
あとは外国人が面白がって買ってかえる日本刀風のおもちゃとか、手榴弾型ライターなんてものも割とよく発掘していました。
それ以外なら上記のものは驚いたものです。

1.空薬莢
主に沖縄に飛ぶ国内線で、担当すると必ず1回は見ます。
銃の所持が違反になる日本では、たとえ使用済みの空薬莢でも、発掘されたら警察を呼びます。
こんな物騒なものなぜ持っているのかというと、沖縄に基地を持つ米軍が帰るときにポケットに誤って入っているということがほとんどです。
本人はもちろん無自覚で、わざとではないのですが空薬莢がある=銃があるかも?と考えられるため
念の為、警察を呼んで対応してもらうことが義務付けられているのです。
ほとんどが訓練で使用したあと、ポケットに入れっぱなしにしているみたいで、自分が米軍基地の人間であることを調べたり、危険性がないと確認できたりするまでは、警察とその場で拘束。
その時のアメリカ人の「やっちまった!」の苦悶の表情はなかなか忘れられません。

2.神戸ビーフ(A5ランク・塊)
X線で旅客の荷物を見ていると、キャリーケースの80%くらいを閉めている大きな塊が映ることがあります。
お米を買って帰る人も多いので、どうせ米だろと思って鞄を開披検査すると・・・
なんとA5ランクの神戸ビーフ!(推定3万~5万くらい)
これは感染症対策の観点からほとんどの肉類は持ち込みがNGとなっています。
発見されると税関職員と連絡を取り、持ち込めない旨を説明して破棄いただくか、
動物検疫を通過し、証明書をもらわないといけないのでかなり時間がかかります。
そういうものを持ってきている人はなぜか出発時刻ギリギリに荷物検査に来るので、当然間に合わないとしてその場で破棄いただくことがほとんどです。
その時のこの世の終わり・・・みたいな表情を見ていると同情します。
皆さんも気をつけてくださいね。

3.雪肌精や、SENKAのPerfect Whip
これは一部例ですが、この2つは海外の方にかなり人気です。
現在は働いていないので不明ですが、そう変わらないと思うので、多分今でも持ち込もうとしている人はいるのではないでしょうか。
そもそも液体類の持ち込みは100mlまでという国際規定があります ※国内線は関係ありません
洗顔料のように少し粘度が高くても液体物の扱いなので、持ち込む際は100mlに収まっているトラベル用のものを持ち込むか、100mlだと分かる容器に入れ替えてください。
ちなみに、透明のジップロック、またはポーチにまとめなければならないのですが、これは1人1つまででチャックは必ず閉めてください。(縦横20cmまでで、1Lは超えてはいけません)
この条件を無視しますと、見事に目の前で破棄されます。ご注意ください。
乗り換え便をご利用の場合は、空港内の免税店で配布されておりますSTEBs(Security Tamper-Evident Bags)の袋に入っていればそのまま持ち込めます。(検査は必要ですけどね)

4.謎の変な色した中国のお茶
そもそもお茶は500mlが多いし、ペットボトルならそのまま捨てられるのですが、困るのは中国人が持ち込む率が高い、保温性の高いボトルに入った謎の色をしたお茶です。
中国ではかなり有名なお茶らしいのですが、ボトルに入っている場合は中身を捨てないと搭乗できません。
それを必ず案内する際に「ある?」と聞くのですが、大体ないと言われるので信じてしまうと地獄を見ます。
彼らは日本語を理解していないし、なぜダメなのかもわかっていません。
大体X線に通すと一発でバレて、開披検査→その後破棄となります。
ちなみに変な色してお世辞にも美味しそうには見えないし、匂いも独特です。
あれは一体どんなお茶なのだろう・・・と考えるのですが正解は未だに分かりません。(笑)

5.大人のおもちゃ
これが出てきた時は、X線の形だけでは判断できず開披検査へ。
何を察したのか、当時の班長が開披担当の女性職員と代わって検査したこともよく覚えています。
別に持ち込むのは問題ではないですが、X線越しだと液体物にも見えたので現物を検査する羽目になりました。
ぜひ機内持ち込み荷物ではなく、ぜひチェックインの時にスーツケースと一緒に入れて預けてください。
(死ぬほど恥ずかしいと思うので)

次に私が実際に接客して、これは参った!でありますとか、無駄にメンタルが強靭になった出来事を4つご紹介します。

1.中国人と手荷物検査場で互いの母国語でバトった話
まず、一番最初に「ご案内」としてフロントに立つ業務があるのですが、母国語しか話せない方にも伝わるように、持ち込み禁止のものをイラストにしたものを持って指差しで確認したり、ポケットを叩いて何もあない?といったジェスチャーをして確認したりします。

この作業で一番苦戦するのが後にも先にも中国人の旅客。
彼らは母国語しか話せないので、基本はそのイラストやジェスチャーで確認するしか方法がありません。
そこで私は当時よく、中国人が金属探知機でひっかかる「ポケットにiphone」をかなりしつこいくらいに確認していました。
金属探知機が反応すると、原因がわかるまで延々と繰り返すためこの作業はかなり重要です。
もはやそこにホスピタリティ精神はありません。
なぜなら出発時刻との勝負になるからです!!!!
私)「ないよね?iphonetとか、デジカメとか。ないよね?」
中国人)「メイヨー(日本語でないって意味です)」
私)「(あからさまに右のポケットが膨らんでる・・あれ絶対iphone・・・)ねえ本当にない??」
中国人「メイヨー!メイヨー!(半ギレ)」
金属探知機)「ピーっ!!!!!」
私)「ほら、ポケット見せてみ(右ポケットを指差す)」
中国人「Oh・・・(iPhone登場)」
私)「はあ・・・だから言っただろ・・」
ここまでで無駄に5分経過。これだけの時間でも長蛇の列です。

2.中国人と手荷物検査場で互いの母国語でバトった話2
実は中国人とのバトルはこれだけではありません。
こんなマジな喧嘩もしたことあります。
案内係)中国人旅客のカバンをX線に流す
検査担当)「液体物ですね。開披してください」
私(開披担当)「(めちゃめちゃ謎の色したお茶の入ったペットボトル)これですね。破棄していいですか?」
中国人「○×*?!△・・・(中国語で何を言っているか不明だが怒っている)」
私)「いや、だから持ち込めないので、捨てますね!!!(イラスト付きパウチを指差し)」
中国人)「○×*?!△・・・(中国語で何を言っているか不明だが、ヒートアップ)」
私)「だーかーらー!これは持ち込めないって言ってるでしょ?飛行機乗れなくてもいの!?(ペットボトルを逆さにして捨てるジェスチャー)」
中国人)「○×*?!△・・・(激おこ)」
私)「こっちも仕事なの!!捨てて!みんなに言ってるの!これ規程なの!!!!(激おこ)」
中国人)「・・・・OK」
私)「おお~謝謝!(満面の笑み)」
中国人)「○×*?!△・・(満面の笑みで握手をされる。多分「お前もやるじゃん」みたいなこと言われる」
といったように中国人の勢いに負けない、強さで母国語でキレると中国人がめっちゃ笑顔で「やるな~」みたいに言ってくれて、結構笑顔で去ってくれるのです。
これは本当不思議なんだけど、中国人旅客はこういうパターンが多くて、なんだかんだで協力してくれるところは結構好き。

3.韓国人は引き下がらない(人によりますので、全員じゃないです)
とにかく同じ熱量で話せばわかる中国人と違って、一部の韓国人旅客には手を焼きます。
もちろん全ての韓国人の方がそうではないし、とても感じの良い人もいましたし、そういう方がほとんどです。
韓国人と当時ばと当時私と同じチームに所属していた英語ペラペラの先輩。
乗り換え便の担当で、STEBsに入った液体の検査に当たった時です。
この袋に入っていても、他国からの乗り換えの場合念のために液体を検査します。
袋はもちろん新しいものを用意し、入れ替えてお渡しすれば普通に持ち込めるのですが・・・
この袋を開封するのをかなり嫌がるお客さんは多いです。
多分、一回検査を通ったのに再度確認されるのが気になるんでしょう。
しっかり説明すれば、みなさん納得しますし、私たちも問題がなければそのまま袋を閉じてお返しします。
でもこれ、とある韓国人旅客にやったら、英語でかなりクレームを言われ喧嘩を売られたのです。
そんなことで心を折れていたら、この仕事はどうしようもないのでその先輩なんと英語で応戦!
10分くらい英語で言い争った後、なんとか検査して韓国人旅客に持たせました。
この方だけかもしれませんが、いまだに日本人が英語を話せないと思っていて、少し強めに行ったり、馬鹿にしたりしたら引き下がるだろう、と考えてクレームをつける人も残念ながらいます。
今は分かりませんが、異文化の理解というものは難しいな・・・と感じたエピソードです。

4.フランス人はフランス語がお好き。
実はわたし、フランス語を大学で学んでいて少しだけ話せるのです。
皆様のフランスのイメージは「英語は話さない」といものが多いと思いますが、実際は英語で対応してくれる時もあります。
でもそこでフランス語で少しだけでも声をかけるとこれまたかなり好意的になるのです。
案内係が英語で対応した後、フランス人の手荷物検査に開披しなければならないものがありました。
どうやら、鍵束かもしれないが映る影がナイフにも見える・・とのことで、私が対応しました。
もちろん鞄の開披は応じてくれましたが、どこかご不満の様子・・・。
しょうがなく、フランス語で「鍵束見たいのあります?」と聞くと、急に顔をぱあっと輝かせて
「鍵?あるわよ!このこと?」と位置を教えてくれました。
それを抜いてもう一度検査をするとOKが出て、お荷物を返すときにフランス語でお礼を言いました。
すると満面の笑みで(さっきまで不機嫌とは思えないごどの)
「あなたフランス語話せるのね!素敵!仕事がんばってね!」とめちゃめちゃ手を振ってくれるのです。
同じレーンにいたメンバーは驚きながらもその代わりように苦笑していました。
その時くらいですね、後にも先にもフランス語学んでよかった、と思ったのは(笑)

それぞれの国の文化と、考え方で全く違う対応が見られましたが、荷物検査とはお客様の荷物を法のもととはいえ、開披して検査するものですので、あまりいい気分はしないと思います。
それでも、国ごとの特徴や文化を踏まえて対応すればうまくいくこともあります。
そういう意味では異文化理解することの大切さを学んだ気がします。
ただ、中国人と喧嘩するのはできれば避けたいところです・・・笑

と、ここまで私が実際発見した危険物と、対応したお客様のお話をしました。
こう考えると知識だけではとてもではないけれどこなせない仕事です。
この仕事をしてからというものの、外国人の方に話しかけられても怖く無くなったことはいいことかもしれませんが(渋谷とかいるとあるあるですよね)
積極的に経験したいことでもないかな・・・とも思います。
結局お客さんのものを破棄することには変わりないですし。

この一連の出来事も含め、次回はなぜ辞めることにしたのか?
というものをお話ししたいと思います。

それではまた。

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