In the right place at the right time...
今回もまた、Facebook が思い出させてくれた2年前の今日。その3日前に取材通訳の依頼があり、2日前に取材が実施されて、帰りにファミレスで録音を聴きながらライターさんと編集者さんと3人で和訳を確認し、ライターさんが一夜でまとめて編集者さんと仕上げたのが CINRA の記事でした。その時の通訳リストに私の名前があったこと、依頼の電話にすぐ出られたこと、打ち合わせも含めるとかなり長い拘束時間だったけれども他に仕事が入っていなくて対応可能だったこと。幸運に幸運が重なっての大役でした。
ポール・マッカートニーが文字メディアの取材を一本だけ受ける、となった時に担当者が信頼する媒体を選び、媒体が信頼するライターを選び、最後の最後に現場でポンッと乗っかってくる通訳者って、皆んなが積み重ねてきた準備を一瞬にして台無しにしてしまいかねない危ない人かもしれない。皆さん実はヒヤヒヤしてるんじゃないかしら。つくづく通訳は日々に積み重ねの上の瞬発力勝負。ファミレスで確認を終えたら後はライター & 編集者チームにお任せで、ノホホンとご飯を食べて帰って寝て起きたら記事ができていたわけで、彼らのご苦労たるやいかばかりか、通訳としましては想像するのみです。
取材の2日後に観たライヴの感想を Facebook から以下にコピペしました。毎度のことながら、取材時には目の前にいた人がライヴになると小指のサイズに縮んでしまう。そしてこれも毎度のことながら、こういう熱いファンの想いに応えて音楽をやっている人の言葉を伝える仕事をしているんだという実感に心がキュキュッと引き締まるのです。
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Paul McCartney @ Tokyo Dome (Nov 1, 2018)
開演前、2列前のオッサン2人組に頼まれてとびっきりの構図で満面の笑みを写真に収めて差し上げた。そこから数えてちょうど3時間、歌い続けた76才。音楽界のレジェンドの中でも、この人が背負うものは最大級だと思うんだけど、この前のカープールカラオケで見せたアラヨっと軽やかな担ぎっぷり & 引き受けっぷりには感服いたしました。重たいけどずっと背負ってきたから慣れたのか、麻痺したのか、そもそも力持ちなのか、実は重たくないのか、近年はクラウドに預けたのか。
終演時、2人組オッサンの片方がやおら立ち上がり、「ポールーッ、ポールーッ、サンキューッ、サンキューッ」と絶叫し始めたその声が裏返るのが、今宵最も涙腺にきました。
一昨日、恐れ多くも通訳しました CINRA による取材でサーが「17才の自分が正しい答を教えてくれる」みたいなことを言っていますが、17才の歌はビートルズもジャニス・イアンも南沙織も歌っているし、若さの象徴として無意識に言った数字だろうと思う一方、サーにとってはビートルズじゃない自分、という意味もあったのかな。私の17才は今みたいな仕事に憧れ始めた頃だから、初心という意味では確かに指針。忘れちゃいけない…けど、あの頃は知らなかった、インタビュー起こしがこんなに辛いなんて…。
しかし立派だ。小首をかしげりゃ可愛いくて、白シャツも黒デニムも立ち姿も若々しくて。あのシャツは奥さんがアイロンしてるのかな。それくらいしてもバチは当たらんよねー、あんなに素敵な曲を書いてもらったんだからさー。